ロシアとウクライナの戦争は、すでに4年半にわたって続いている。双方とも相当数の死傷者を出し、自国の男性の多くが国外へ逃れ、兵力不足も深刻化していることから、外国人の募集を始めている。
ウクライナ軍も現在、深刻な兵力不足に直面している。志願して参戦する意思のある人の大半はすでに入隊しており、現在の兵員は長期にわたる戦闘で疲弊している。多くのウクライナ人男性が戦争を避けるために身を隠したり、国外へ逃れたりするようになり、ウクライナ軍は今年から中国人の募集を始めた。
中国共産党(中共)はロシアの最大の盟友であり、中国人がウクライナ軍のために戦うことは、明らかに中共の方針に逆行する。このため、いずれも人知れず行われている。ウクライナ軍と中国人義勇兵は外部の取材を受ける際、不要な問題が生じるのを防ぐため、いずれも匿名を求めている。
ウクライナ軍の中国人兵士の中には、無人機の修理班がある。班のメンバーで、英語の仮名「Tim」を使う44歳の中国人男性は、英紙ガーディアンに対し、両親が毎月、生活用品を送ってくれており、その中には大好きな中国の龍井茶も入っていると明かした。
中国人の募集を担当するウクライナ軍の指揮官「Muse(コードネーム)」は、ウクライナ軍の最優先の任務は、これらの中国人兵士の安全を守ることであり、同時に、その家族の安全を守るためでもあると述べた。
Museによると、所属部隊はかつて中国人男性5人を募集した。多大な労力を注いで訓練を終えた後、5人全員が中共当局の圧力によって中国への帰国を余儀なくされ、非常に残念だったという。身元が明らかになるにつれ、部隊に現在所属する約12人の中国籍兵士の中から、さらに離脱者が出る可能性もある。
戦場の中国人義勇兵 Muse「1人で10人分」
ウクライナ軍には現在、約1万6千人の外国人兵士がおり、総兵力に占める割合は3%未満である。ウクライナのミハイロ・フェドロフ前国防相は、今年7月に解任される前、外国人の入隊手続きを簡素化するため、複数の改革を推進した。前線部隊や突撃部隊では、外国人の割合が50%に達する可能性があると予測していた。
しかし、中国人がウクライナ軍に加わるには困難が伴う。その1つが、中共当局からの大きな圧力である。中共は国民を厳しく監視している。中共の法律は国民の外国軍への入隊を明確には禁じていないが、中国人義勇兵の中には、本人や親族が中共の国家安全機関から、ウクライナでの活動状況について質問を受けたと明かす人もいる。
中共は、中国国民に対し、武力紛争地域に近づかず、いずれの側の軍事行動にも参加しないよう公に求める一方、ロシアとウクライナの戦争中、ロシアに大量の軍事的・経済的支援を提供している。中共は中立を維持していると主張するが、2022年以降、中ロ貿易は過去最高を記録し、外交面でもロシアを繰り返し支持してきた。
中ロが高いレベルの軍事協力も進めていることは、メディアがこれまでに何度も報じているが、中共は一切認めていない。
しかしウクライナ軍の中国籍兵士が中共に軍事情報を提供する可能性を懸念する人もいる。あるウクライナ軍将校は、中国人を募集するのであれば「慎重に検討する」と述べた。
しかし、Museは懸念していない。ウクライナ軍は現在、深刻な人手不足に陥っており、入隊を希望する人は誰でも歓迎すると語った。さらに、中国人は非常に熱心に働き、中国人1人でウクライナ人10人分に相当するという。
中国人は通常、交流サイト(SNS)や口コミを通じて、Museの所属部隊を見つける。ウクライナ側は中国人に簡単な身元調査を行う。MuseはTimを非常に信頼しており、面接と選考の主な作業をすべて任せている。
Timによると、面接で最も重視するのは、応募者がウクライナの民主主義と主権を支持しているか、円滑に意思疎通できるかという点である。一方、中国に強い不満を抱く人は断固として受け入れない。今年1月にウクライナ軍に入隊して以来、30人以上の中国人応募者を断っており、犯罪歴のある人も、できる限り選考から外すようにしている。
ただ、ウクライナ軍に所属する中国人の事情は複雑である。現在の中国では生活の負担が大きく、収入も以前より大幅に減っていることを背景に、仮想私設網(VPN)でインターネットの検閲を回避し、ロシアとウクライナの戦争に関する報道を見て「民主主義と自由の理念」に触れ、同時に軍事にも関心を持っている人がいる。
また、長年にわたりインターネット上でウクライナ支持を発信してきた、著名なネット上の論客もいる。こうした人は、ロシアのネット工作員とみられるアカウントから攻撃を受け、最終的に志願して参戦することを決めた。しかし、その結果、ネット上での嫌がらせがさらに増え、指名手配を模したポスターを作成・公開され、実名や生年月日、写真をさらされた。
ある中国人義勇兵は、すべての中国人がロシアを支持しているわけではなく、多くの中国人は自分と同じように善良で、ウクライナを助けたいと願っているとも述べた。
中国人義勇兵は全員、中国共産党当局の監視と審査が厳しく、今後は帰国することが難しくなるだろうと考えている。しかし、今帰国すれば、その後再び国外へ出ることはさらに難しくなるという。
中国人の戦友が攻撃で死亡したことに強い恐怖を感じ、離れることを選んだ中国人義勇兵もいるが、多くの人は残り続けることを選んでいる。
戦場の台湾人
ウクライナに参戦しに行ったのは、中国本土の人だけではなく、台湾人もいる。現在公になっている情報によると、ロシアとウクライナの戦争が始まった後、早い段階から、台湾の退役軍人や軍事愛好家の一部がウクライナの国際義勇軍に加わり、前線で歩兵、偵察、無人機などの任務を担っていた。
英BBCによると、比較的早くから注目を集めたのは、台湾の退役海兵隊員、李成零氏である。李氏は2022年、ウクライナの国際義勇軍に加わり、前線で偵察や対装甲兵器の訓練任務に従事した。李氏は当時、ウクライナへの参戦は主に人生で特別な経験を残したいと考えたためであり、台湾を代表して参戦したわけではないと述べた。
台湾の外交当局は、2022年11月、曾聖光という台湾籍の義勇兵がウクライナの戦場で戦死したことを確認した。台湾籍義勇兵の死亡が当局によって確認された初の事例となった。2024年には、別の台湾人義勇兵、呉忠達氏がロシア軍の砲撃で死亡した。
台湾で今年2月に報じられたニュースによると、現在も台湾籍の義勇兵がウクライナで戦っている。台湾軍で4年間勤務した経験を持つ台湾人義勇兵は、現在のロシアとウクライナの戦場では、無人機を中心とする戦闘形態への移行が明確になっていると明かした。香港の義勇兵の中には、無人機の攻撃を受けて負傷したと明かす人もいる。
台湾政府は現在、住民のウクライナ渡航を奨励していない。台湾外交部は今年4月も、ウクライナを渡航警戒情報のレベル4に当たる「赤色」に指定し、台湾人に渡航しないよう呼びかけた。
責任編集:孫芸
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