トランプ米大統領が11月のAPEC首脳会議に出席する予定となるなか、米国務省高官と中国、日本、韓国などアジア10か国に駐在する米国大使、米国インド太平洋軍司令官らが10月7日、東京で緊急会議を開いた。専門家は、対中戦略や北朝鮮問題、同盟国との連携について幅広く協議したとみている。
韓国紙「朝鮮日報」は10月10日、複数の外交筋の話として、米国務省が招集した会議が在日米国大使館で開かれたと報した。
出席したのは、米国の駐中国、駐日、駐韓大使のほか、フィリピン、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナムに駐在する大使ら。米国のASEAN大使や米国在台協会(AIT)台北事務所長も参加した。
会議翌日の8日には、米側の一行10人が茂木敏充外相と会談した。茂木氏は、日米同盟の重要性は言うまでもないと強調した。
報道によると、米韓関係は最近、韓国ネット通販大手クーパンをめぐる問題や、戦時作戦統制権の移管、北朝鮮の核施設に関する米国の機密情報が韓国側から流出したとされる問題などを背景に緊張が高まっている。
台湾国防安全研究院戦略資源研究所の蘇紫雲所長は、会議では各国駐在の大使が、それぞれの国が中共側に傾くのか、民主主義・自由主義陣営に立つのかを分析し、米国が政策を進めやすくなるとの見方を示した。
「簡単に言えば、北京版の遠交近攻だ。中共は周辺の日本、台湾、フィリピンには軍事的な威圧や圧力を加える一方、域外の国々とは関係を深め、一帯一路を通じて影響力を拡大している」と述べた。
同研究院の沈明室研究員は、米国がインド太平洋諸国との同盟協力を強化し、中共と北朝鮮への政策を同時に調整できれば、中共による経済的、軍事的な圧力への対抗につながると分析した。
「これまで米国の同盟関係は、日米、米韓という二国間の枠組みが中心だった。現在は複数国による同時協調へ移行しており、分散していた同盟網を、多国間の防衛協力体制へ再編しようとしていることが分かる。 中国(中共)による台湾海峡や南シナ海での軍事・経済活動に対するけん制は一段と強まり、第一列島線を突破する能力も、米同盟国の防衛協力によってさらに制約を受けることになる」と指摘した。
報道では、今回の会議で対中戦略や北朝鮮情勢、地域の同盟国との協力策に加え、地域安全保障や軍事面での対応についても協議したとしている。
中共による台湾やフィリピンへの軍事的な威圧に加え、北朝鮮問題も大きな焦点となっている。
北朝鮮は10月2日早朝、日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射し、日本政府は厳重に抗議するとともに強く非難した。
また、9月21日には南北軍事境界線周辺の非武装地帯で、北朝鮮側が設置した地雷が爆発し、韓国軍兵士3人が負傷した。このうち2人は重傷を負った。
蘇氏は、米国が太平洋地域で軍事・外交政策を調整するうえで、北朝鮮との関係が極めて重要だとみている。北朝鮮はロシアによるウクライナ侵攻を支援しているほか、最近では台湾へのF-16V戦闘機の引き渡しに反対する中共の主張にも同調しており、平和を脅かす動きを相次いで見せているとした。
また、「北朝鮮、中国(中共)、ロシアは、いわば三兄弟。もともとはイランを含む権威主義の四兄弟だった。現在、イランは米国との対立が続き、ロシアはウクライナとの戦争を続けている。一方、中共と北朝鮮は関係をさらに強めている。なかでも中国の国力はその中でも突出しているため、両者を一体として見る必要がある」との考えを示した。
米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官と、在日米軍のスティーブン・ジョスト司令官も会議に参加した。
パパロ氏は会議で、中共軍の最新動向について説明したほか、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するため兵力を派遣している北朝鮮の動きについても報告したという。
パパロ氏は以前、中共が台湾に侵攻した場合、米軍は無人水上艇や無人潜水艇、ドローンを数千機直ちに投入して対抗するとの考えを示している。
沈氏は、今回の会議は外交面の調整にとどまらず、具体的な軍事展開や緊急時の連携体制にまで及んでいるとみている。「会議では、台湾海峡や南シナ海、朝鮮半島で衝突が起きた場合、米軍が日本、韓国、フィリピンの基地にある戦力やドローン部隊をどのように動かし、共同でどう対処するかを非公開で調整していると思う。これは、議論が朝鮮半島だけに限られていないことを示している」としている。
沈氏によると、北東アジアの安全保障情勢は、一つの地域で起きた事態が周辺全体に波及する構造にある。
台湾海峡で軍事衝突が起きれば、在日米軍や在韓米軍の基地は支援拠点としての役割を担う一方、北朝鮮から強い軍事的圧力を受けることも想定される。中国と北朝鮮は地理的に隣接しているだけでなく、中共の経済力と北朝鮮の軍事的な威圧が補完し合う関係にある。そのため、両国を切り離さずに分析することが、実効性のある抑止戦略を策定するうえで重要だと沈氏はみている。
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