3月3日の東京株式市場において、日経平均株価は前日比1778円19銭(3.06%)安の5万6279円05銭と大幅な続落を記録した。取引時間中には下げ幅が一時1900円を超える場面も見られた。東証株価指数(TOPIX)も126.25ポイント安の3772.17となり、東証プライム市場に上場する全銘柄の95%が値下がりする全面安の展開となった。
中東情勢緊迫化と原油依存の弱点
この大幅下落の主因は、米国・イスラエルとイランとの間における戦闘継続への懸念である。投資家の間でリスク回避(リスクオフ)の動きが急速に強まった。トランプ米大統領がイランでの軍事作戦について長期化を示唆したことで、事態が早期に終結するとの市場の期待は後退した。
前日の米ダウ工業株30種平均は下げ渋りを見せていたが、東京市場はその流れを引き継げなかった。背景には、原油輸出国である米国と異なり、日本が原油輸入の約9割を中東地域に依存しているという経済構造の違いがある。原油価格の高止まりが日本企業の業績を押し下げることへの強い警戒感が、日本株を直撃した形だ。
海運・石油株の反落とインフレ懸念
セクター別に見ると、33業種すべてが下落し、石油・石炭製品、輸送用機器、空運業などの下落率が特に目立った。 前日に運賃上昇や採算改善の期待から上昇していた海運株や石油株も、3日は反落した。イランの革命防衛隊によるホルムズ海峡の封鎖が明らかになり、川崎汽船などの海運各社や、アラブ首長国連邦(UAE)で油田権益を持つINPEXなどが売られた。輸送の停滞による事業全体への悪影響が懸念されたためである。
さらに、エネルギー価格の上昇による輸入インフレへの不安も市場に影を落としている。燃料コスト増の懸念から日本航空やANAホールディングスが続落したほか、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスやイオンといった海外からの輸入品を多く扱う小売大手各社の株価も下落を余儀なくされた。
不透明感の中での資金退避先
幅広い銘柄が売られる中、一部の銘柄には逆行して資金が向かった。東京ガスは、米国や豪州からの液化天然ガス(LNG)調達基盤を持つことから、原油の代替としてのLNG需要増加を見込んだ買いが集まり逆行高となった。 また、フジクラや住友電気工業といった電線株が上場来高値を更新する動きも見られた。中東情勢の影響を受けにくい人工知能(AI)関連の筆頭として、投資資金の退避先として選好されている。
市場関係者からは、イラン指導部の空白などにより短期間で情勢が正常化する可能性は低く、市場の変動が継続するとの見方が出ている。機関投資家にとっても安易な押し目買いが難しい状況が続いており、中東情勢の行方を注視する神経質な相場展開が予想される。
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