米報告書 中共が「影の船団」を通じて制裁対象原油を購入

2026/04/03
更新: 2026/04/03

ロシア・ウクライナ戦争および中東情勢の影響を受け、西側諸国はロシア、イラン、ベネズエラなどに対しエネルギー制裁を実施している。しかし、米下院「米中戦略競争特別委員会」が3月31日に発表した報告書は、北京が「影の船団(シャドー・フリート)」を通じて制裁対象原油を大量に取り込み、安価なエネルギーを獲得するのみならず、西側による専制政権への圧力をも弱体化させていると指摘した。

この『原油の意図(Crude Intentions)』と題された報告書によると、中国はすでに制裁対象石油の主要な受け皿市場となっている。制裁対象原油は中国の石油輸入総量の約5分の1を占めるという。2026年初頭までに、中国の原油備蓄は約12億バレルに増加し、海上輸入の約109日分に相当する水準に達した。

この制裁回避体制の中核をなすのが、いわゆる「影の船団」である。所有権が不明で偽の旗を掲げたタンカーで構成され、洋上での積み替えにより産地を隠蔽する仕組みである。委員会は、こうした船舶がエネルギーだけでなく、機密機器や人員、さらには武器を輸送している可能性があると警告した。

公表された情報によれば、昨年12月から今年2月にかけて、米国が拿捕した影の船団のタンカー9隻だけでも、それ以前に約40億ドル相当の制裁対象原油を中国に輸送していた。

他の買い手が撤退するにつれ、中国は割引原油の「最後の買い手」となりつつある。委員会の推計では、2024年だけで関連する割引により中国の精製企業は120億~150億ドルの利益を得ており、同時に輸出国の中国への依存も深まっている。

台湾国防戦略・資源研究所の蘇紫雲所長は次のように述べた。

「第一に、中共がこれら制裁対象国から購入するグレーゾーンの石油は『割引油』と呼ばれている。百貨店の年末セールのように、機に乗じて買い入れているのだ。第二に、影響力の拡大である。制裁を受けたこれらの国々は、中共にとって各地域における足掛かりとなる。中共への依存が生じるからだ。中共政府側は安価な原材料を得て経済に活力を注入し、その結果、民主主義国家に対しては損害をもたらす。一つは経済制裁の効果を突破するものであり、もう一つは中共が安価な原材料で生産した製品が市場破壊力を持つという点で、二重の打撃となる」

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は次のように述べた。

「中共とこれらの制裁対象国は利益共同体を形成し、西側の価値観に対抗する、あるいは西側諸国の制裁に対抗するもう一つの共同体を形成している。当然、国際秩序に影響を及ぼし、潜在的な衝突が発生する可能性がある」

報告書は、中共政府が多層的な制裁回避体制を構築していると指摘した。洋上での船から船への積み替えによる産地隠蔽、香港やアラブ首長国連邦のペーパーカンパニーを通じた非ドル建て決済などが含まれ、制裁の実効性を低下させている。一部の拠点が制裁対象となっても、ネットワーク全体は速やかに再構築が可能だという。

報告書は米当局に対し、打撃範囲を拡大してタンカーを標的とし、陸上の支援体制についても責任を追及するよう求めた。

蘇紫雲所長は、鍵となるのは民主主義国家が協力を強化し抜け穴を塞げるかどうかであり、さもなければ制裁効果は引き続き弱体化すると指摘した。

蘇紫雲所長は次のように述べた。

「第一に、米国の情報能力は確かに非常に強力であり、中国の影の船団のみならず、違法なグレーゾーン石油が中国のどの省に流入しているかまで統計を出している。第二に、トランプ大統領はこうした影の船団の封じ込めを進めている。ホルムズ海峡について同盟国に自ら責任を負うよう促す一方、実質的には中共を砲撃しているのだ。現在、中共のホルムズ海峡におけるタンカーや貨物船も影響を受けており、中共政府に経済的打撃を与えることになる。今後は、主に民主主義国家の協力体制がどうなるかにかかっている」

対外的に制裁対象エネルギーを低価格で購入する動きとは対照的に、中国国内では航空燃油サーチャージの急騰が生じている。4月1日、複数の航空会社が国内路線の燃油サーチャージを引き上げると発表し、最高100元、値上げ幅は最大5倍に達した。

ネット上では「5倍の値上げだが、原油はせいぜい倍になっただけだ」「口実を作って無理やり値上げしているだけだ」といった批判が上がった。

沈明室研究員は次のように述べた。

「中共の原油は、ホルムズ海峡を100%通過できないわけではない。加えて影の船団もあり、理論上、原油価格の上昇や供給不足の影響はそれほど大きくないはずだ。しかし現在、第一に値上げのコストを政府補助ではなく民間に転嫁している。それが中共政権の本質である。第二に、こうした時機を利用してエネルギー安全保障のための備蓄を加速的に増やしている可能性も排除できない。各国で原油供給が不足した際には、将来的に放出して高い利益を得ることもできるし、地政学的衝突が発生した場合には、より高い作戦継続能力を備えることになる」

観察筋は、こうした「対外的には操作し、対内的には転嫁する」というモデルこそ、中共体制の運営の縮図であると指摘している。