クエイ氏 ファウチ氏後任のNIAID所長に浮上 コロナ研究所流出説を一貫主張

2026/08/05
更新: 2026/08/05

製薬会社幹部で、新型コロナウイルスが中国の研究所に由来するとの説を一貫して主張してきたスティーブン・クエイ氏(Steven Quay)が、アンソニー・ファウチ氏(Anthony Fauci)の後任として、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長に就任する公算が高まっている。

NIAID所長職は、年間65億ドル(約1兆252億円)に上る医療研究予算を統括する重要な役職である。事情に精通した関係者2人がPolitico紙に語ったところによると、クエイ氏の任命は現在、最終審査の段階に入っているという。人事がまだ正式発表されていないことから、取材に応じたのは米保健福祉省(HHS)高官1人と非政府関係者1人の計2人で、いずれも匿名を条件としている。

Politico紙の報道によれば、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官は、自らの考え方に近い人物としてクエイ氏を選んだという。

クエイ氏は早い段階から、新型コロナウイルスの中国研究所起源説を唱えてきた人物である。2021年には著書『ウイルスの起源――数百万人の命を奪った微生物に隠された真実』(The Origin of the Virus: The hidden truths behind the microbe that killed millions of people)を出版し、本年に入ってからも『証拠としてのゲノム――COVIDの遺伝情報はいかに実験室起源を物語るか、そして次なる感染爆発をいかに防ぐか』(The Code as Witness: How the Covid Genome Reveals its Lab Origins and How to Prevent Future Outbreaks)を上梓している。

同氏はまた、米国の科学者らが真相の隠蔽に加担したとも主張している。

2024年6月、上院で開かれた新型コロナウイルスの起源を調査する公聴会において、クエイ氏は「こうした公聴会が開かれる理由の一つは、多くのウイルス学者が公の場と私的な場とで異なる発言をしてきたことにある」と述べた。さらに書面証言では「これは学術上の不正行為であり、決して看過されてはならない」と踏み込んだ発言をしている。

クエイ氏は医師であり、病理学者でもある。正式に就任すれば、製薬業界出身者としては初のNIAID所長となる。

新型コロナ起源論争、実験室流出説と自然感染説の対立

ファウチ氏は今週木曜日、先週の上院公聴会で新型コロナウイルスの起源やパンデミック対応をめぐる質問への回答を拒否したとして、上院委員会で議会侮辱決議の採決に直面する見通しである。

クエイ氏が唱えるパンデミック起源説は、ファウチ氏がパンデミックにおいて果たした役割をめぐる超党派の論争を、一段と激化させる可能性がある。

現在、中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)、エネルギー省を含む米国の複数機関は実験室流出説を支持する傾向にある一方、多くの科学者は動物から人間への自然感染のほうが可能性が高いとみている。

8月2日、2022年から2023年にかけてバイデン政権下で新型コロナ対応を統括したアシシュ・ジャ氏(Ashish Jha)はCNNの取材に対し、現在得られている状況証拠は実験室流出説を最も強く裏付けていると語った。

米国、機能獲得研究への連邦資金提供を禁止

NIAID所長のポストは、ケネディ長官が昨年、当時所長だったジーン・マラゾ氏を解任して以来、空席が続いている。マラゾ氏は2023年に就任し、2022年末に退任したファウチ氏の後任を務めた人物である。

クエイ氏は本年6月、ワシントン・ポスト紙への寄稿で、政府は高リスク研究を審査する第三者委員会を新設し、遺伝子操作された病原体に由来研究所を追跡できる「電子透かし」を組み込むなど、防止措置を一段と厳格化すべきだと主張した。

ケンタッキー州選出の共和党上院議員で、上院国土安全保障・政府活動委員会委員長を務めるランド・ポール氏は、公衆衛生に潜在的リスクをもたらすとみなされる研究への助成金を審査する、大統領任命による委員会の新設を提案している。

トランプ政権は7月28日、高リスク生命科学研究に対する新たな一時停止方針を発表した。この新方針は、国内外を問わず危険性の高い機能獲得研究への連邦資金提供を禁止し、一部の高リスク生命科学研究に厳格な独立審査制度を導入するものである。

クエイ氏は本年7月、X(旧ツイッター)への投稿で、NIAIDは「治療法の迅速な開発」と「高リスク病原体研究の透明な管理」に注力すべきだと述べた。また、感染症を引き起こす薬剤耐性菌への対策強化も提言している。

ファウチ氏は、共和党・民主党合わせて歴代7人の米大統領の下、38年間にわたりNIAID所長を務めた人物である。

唐鳳