中国で恋愛にもリスク 中共 公務員の結婚・交友関係まで厳しく管理

2026/08/20
更新: 2026/08/20

習近平体制下で、中国の公務員は恋愛にもリスクが伴う。近年はそれだけでなく、中国共産党(中共)体制内の関係者に対する私生活への統制が一段と強まり、内部では不満や反発も出ている。

中共 公務員の私生活を厳しく管理 結婚から同僚の付き合いまで

CNNは8月16日、「中国で共産党員が恋に落ちることの危険」と題する記事を掲載し、習近平体制下の政治環境を分析した。

記事は、中共の政府機関に勤めるある女性の事例を紹介している。女性は海外の空港で知り合った外国人男性との結婚を控えていたが、同僚から祝福されるどころか、部署責任者の指示を受けた同僚らから、結婚について再考するよう促された。

CNNによると、中共は以前から、公務員や「重要機密」を扱う職員が外国人と結婚することを制限してきた。特に習近平が2012年に政権を握って以降、共産党員や体制内の職員は、離婚や旅行、交友関係など私生活のさまざまな面で、より厳しい管理を受けるようになった。

記事は、こうした措置について、習近平政権が掲げる「国家安全保障上のリスク低減」や「腐敗根絶」の一環だと指摘する。一方、数千万人に上る体制内の人々にとっては、個人の自由と「党への忠誠」を両立しにくい状況を生んでいる。

CNNはまた、中国では官僚の離婚も当局の調査対象となることがあると伝えた。

中共当局はこれまで、官僚が離婚を利用して不正に得た財産を隠したとする事例を公表している。2014年には、安徽省含山県のある官僚が紀律検査当局の調査を前に妻と「偽装離婚」し、財産を移したうえ、金銀を庭に埋めていたと報じた。

また、高級官僚や副庁級の退職官僚が離婚訴訟で互いの不正や内情を暴露し、1億元を超える巨額資産の出所が不明だとして、公安当局や紀律検査・監察機関に送られた例も報じている。

近年、失脚した官僚について、党に「不誠実」だったとする当局の発表が相次いでおり、婚姻状況の変更を隠していたことを問題視した例もある。

恋愛や結婚をめぐっては、中共軍の軍人が通常、さらに厳しい制約を受ける。中央軍事委員会が2021年に発表した規定では、軍人は結婚前に相手の情報を提出し、政治的背景の審査を受けなければならない。

離婚の場合は手続きがさらに複雑になる。夫婦双方が軍人の場合、上官が調停に介入し、軍の承認を得て初めて民事上の離婚手続きを進めることができるため、通常より長い時間を要する。

中国で、年配の世代は、こうした制度を覚えているだろう。1950年代初頭から2003年9月まで、結婚する際には勤務先や中共の党組織が発行する紹介状が必要だった。計画経済時代の名残である。

中国問題専門家の李林一氏は大紀元に対し、習近平が「国家安全保障」を理由に進める現在の管理は、ある意味で、こうした非人間的な国家統制に逆戻りするものだと指摘した。

さらに、同僚同士の交友関係まで監視の対象になるという。

ある情報筋はCNNに対し、同僚同士で食事をしたり雑談したりすることが減り、同僚との関係も疎遠になったと語った。

「同僚と親友になろうとは、もう思わない」

一部の職員は他人に見られるのを避けるため、深夜に職場から離れた場所で会うことさえある。

締め付けが強まる中 それでも「体制内」を目指す理由

中国では、権力を持つ人のほとんどが党員であり、党籍を剥奪されれば政治生命は事実上終わる。

他国の政府にも公務員に対する規則や公開している要件はある。しかし、中共による管理は対象範囲が広く、影響を受ける人の多さも際立っている。しかも対象は公務員だけにとどまらない。

CNNが引用した復旦大学の論文では、2020年時点で、公立病院や学校、大学、国有企業などを含む政府関連部門の職員は約7千万人に上ると推計している。

2023年以降、中共当局は「反スパイ運動」を拡大し、海外とのつながりに厳しい目を向けている。国家機密が国外に流出することへの警戒が背景にある。

一方、習近平が「反腐敗」を掲げて進める粛清では、中共への絶対的な忠誠を強く求めている。

中共第20回党大会以降、習近平自身が昇進させた高官を相次いで「粛清」し、中央軍事委員会の委員7人のうち大半が対象となった。かつて24人いた政治局員も現在は21人に減っている。

CNNは、安定した政府系の仕事を得るため、個人の自由を犠牲にしたという複数の中国人に匿名で取材した。

ある情報筋は、その理由をこう説明した。

「権力の誘惑があまりにも大きい。体制内に入ることは、ほとんど官僚になるのと同じで、官僚になることは人より上の立場に立つことを意味する」

近年、中国では景気が低迷し、民間部門での雇用機会が縮小している。世界経済の不安定化に加え、不動産危機や若者の高い失業率も重なり、安定を求めて政府機関への就職を目指す人は少なくない。

昨年は約370万人が国家公務員試験を受験し、約3万8100人の採用枠を争った。単純計算では、1つの採用枠を100人近くが争ったことになる。

官僚の出国を厳しく管理 退職者も対象 不満広がる

近年、中国では体制内でキャリアを送ってきた高齢世代が海外に出ようとしても、移住を考えているわけではないにもかかわらず、しばしば出国を阻まれている。

中国の元公務員はCNNに対し、ヨーロッパの名門大学に通う息子の卒業式に出席するため、航空券まで購入していたものの、所属先に出国申請を拒否されたと明かした。この元公務員は、出国には承認が必要だと理解しており、6か月前に申請すれば十分だと考えていた。正規の手続きを踏めば認められると思っていたが、最終的には出国を禁止された。

本人によると、組織の責任者を含む複数の関係者に掛け合ったが、いずれも「これは越えてはならない一線だ。誰もこの一線を越えようとはしない」と答えた。

中共は以前から官僚の海外渡航を制限してきたが、近年、その対象はさらに広がっている。先月末、中共は新たな出入境規定も発表し、現場の出入国管理担当者に大きな裁量を与えた。担当者がある人物について「国家安全や産業安全を害する可能性がある」と判断すれば、県レベルの機関でも出国を制限できる。

中共の権力部門はこれまで、「天網」や「猟狐」と呼ばれる海外での不正資産追及作戦を展開し、着服した公金を持って国外へ逃亡した官僚らを追跡してきた。一方、近年は現職や退職後に海外へ出た体制内関係者が、反中共の立場を表明するケースが増えている。こうした人々は、中共による追跡を越境弾圧だと批判している。

関連機関の規定では、中共の国家機関や公共機関の職員は、一部退職者を含め、個人のパスポートを預け、一括管理を受けなければならない。海外へ出る際は、事前に申請し、保管されているパスポートを一時的に「借りる」必要がある。

CNNによると、情報筋や公開している規定から、この手続きは複雑で不透明だという。申請者は渡航先や期間、予定している活動など、あらゆる詳細を申告しなければならない。一度承認を得ても、許可なく予定を変更することはできない。

手続きがあまりに煩雑なため、多くの人は申請する気にもならない。

また、体制内で地位が高い人物や、機密情報に触れる機会が多い人物ほど、厳しい制限を受ける。司局級(局長級に相当)以上の官僚は、退職後も恒久的な海外渡航制限を受けることが多い。

前述の元公務員は、今年の夏にヨーロッパへ行き、息子と過ごすための申請を再び出したが、これも却下された。当局は、あと数年待てば承認が不要になると説明した。

元公務員は、「自分はもう高齢だから、数年待てばまた旅行できるかもしれない。しかし、もし自分が30歳だったら、60歳を過ぎて退職してから、さらに何年も待たなければならないことになる」と語った。

大紀元は今年2月、湖南省などで中共の退職官僚に対する出国管理がさらに厳しくなっていると独自に報じた。

体制内の関係者によると、一部地域では、それまで局級の退職官僚を主な対象としていた管理が、重要部門の処級(部長に相当)、さらには科級(課長に相当)の職員にまで拡大している。

こうした人物が退職後に出国する場合、従来のような所属先への「届け出」ではなく、「審査・承認」が必要になった。

今年に入ってからは、中国各地で退職した元幹部に対する管理も強化している。

居住地を離れて生活することや私的な海外渡航への規制を強めるだけでなく、「思想動向」の把握にも重点を置いている。毎月の定期連絡や四半期ごとの訪問に加え、海外にいる退職幹部については定期的なオンライン連絡制度を設け、生活状況や思想動向を随時把握する措置も取っている。

政治評論家の陳破空氏は以前、大紀元に対し、当局がこうした措置を取る背景には3つの「不安」があると指摘した。

「第一に、元幹部が出入国することで、情報漏洩の源になり得る。第二に、元幹部は党内事情を知っているため、反習近平の動きの源になり得る。第三に、海外勢力と結びつく源にもなり得る。習近平には極端なまでの不安感があり、ますます疑心暗鬼になっている。元幹部に外部と接触する勇気があるかどうかに関係なく、習近平は恐れている」

習近平 忠誠を確保できないと知りながら統制を強化

2017年の中共第19回党大会では、「党政軍民学、東西南北中、党はすべてを指導する」というスローガンが党規約に盛り込まれた。党・政府・軍・社会・教育など、あらゆる分野、あらゆる地域で共産党が指導するという意味だ。

CNNは学者の分析として、習近平がこれほど厳格に統制手段を行使するのは、すべての党員が自らの望むような忠誠心を持つことは保証できない。それでも、可能な限りその目標に近づこうとしているという。

習近平は近年、中共が現在、「風が強く波が荒い、さらには激しい嵐のような重大な試練に常に備える必要がある」と繰り返し述べている。

オーストラリア在住の法学者、袁紅氷氏は大紀元に対し、こうした表現は、中共政権が現在、前例のない内外からの圧力にさらされ、「重大な終末的危機」に直面していることの反映だと分析した。

袁氏によると、習近平は共産党を徐々に自身の個人独裁体制へと変えており、それが党内で強い反発を招いている。

習近平は巨大な国家安全保障、監視、紀律の各体制に依存して個人支配を維持している。その一方で権力を高度に集中させたことで、中共内部の各派閥や官僚機構にも広く反発が生じている。

多くの官僚が職務に消極的になり、責任を負うことを避けるようになった結果、行政効率も低下している。袁氏は、こうした現象は習近平の統治基盤が大きな圧力にさらされていることの現れだと指摘した。