サッカーのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で2度優勝した広州恒大のオーナーで、中国不動産大手・中国恒大集団の創業者、許家印被告に対し、広東省深圳市中級人民法院は8月20日、違法な資金調達や業務上横領など8つの罪で無期懲役を言い渡した。政治的権利の終身剥奪と全財産没収も命じ、恒大集団と恒大地産には計158億2000万元(約3734億円)の罰金を科した。
中国中央テレビによると、広東省深圳市中級人民法院は20日午前、恒大集団有限公司、恒大地産集団有限公司、許被告に対する第1審判決を言い渡した。
裁判所は、恒大集団に罰金88億2000万元(約2080億円)、恒大地産に罰金70億元(約1650億円)を科した。許被告には無期懲役と全財産の没収を言い渡した。不法所得は追徴し、追徴しきれない分については返還を命じた。
起訴内容によると、許被告は恒大集団の実質的な支配者として、グループ全体の経営を取り仕切っていた。また、恒大地産や恒大財富、恒大南昌などを管理・支配し、不動産や物件管理、金融の分野に投資していた。
検察側は、2016年から2021年にかけて、恒大集団、恒大地産、許被告が大規模な財務不正を繰り返し、資産を水増しする一方、負債を隠していたと指摘した。その結果、違法に預金を集めたほか、資金調達詐欺、証券の不正発行、重要情報の虚偽開示・不開示などに及んだとしている。
また、恒大集団と許被告は、贈賄などを通じて金融機関に働きかけ、融資資金や保険資金を不正に恒大集団に流入させたとされる。裁判所は、法人贈賄、違法な融資の実行、資金の違法運用などの罪が成立すると認定した。
中国当局は、許被告が恒大地産の会長という立場を利用し、財務不正を主導したうえで、配当を装って会社の資産を横領したと主張している。
資金調達詐欺など8つの罪、裁判所が認定した内容
裁判所は、恒大集団と許被告について、違法な預金の吸収、資金調達詐欺、違法な融資の実行、証券の不正発行、重要情報の虚偽開示・不開示、法人贈賄の罪が成立すると判断した。許被告については、これに加え、資金の違法運用罪と業務上横領罪も成立すると認定した。恒大地産については、証券の不正発行罪が成立するとした。
国営メディアによると、同日、深圳市中級人民法院と深圳市南山区人民法院は、恒大集団に関係するほかの事件についても判決を言い渡した。違法な預金の吸収や資金調達詐欺、資金の違法運用などに関わったとして、56人に、懲役1年10か月から18年の刑と、罰金または財産没収を科した。不法所得は追徴し、追徴しきれない分については返還を命じた。
恒大集団では2021年、巨額の債務問題が表面化した。許被告は2023年9月、警察当局に連行され、「指定場所での居住監視」の措置を受けた。2025年3月に公表された最高人民検察院の活動報告によると、恒大グループに関連して42人が起訴されたが、許被告の事件は別に扱われていた。
今年4月、恒大集団、恒大地産、許被告の事件は深圳市中級人民法院で審理された。当局は、許被告が違法な預金の吸収など8つの罪に関わったとして起訴し、許被告は法廷で罪を認めたとされる。
許被告と中国共産党の有力者一族との関係を指摘する見方もある。江沢民派とされる曽慶紅・曽慶淮兄弟や賈慶林の一族に加え、4月に失脚したとされる中国共産党政治局員、馬興瑞の名前も挙げられている。
2002年8月、恒大集団に中国共産党委員会が設けられ、広州市で初めて民営企業内に置かれた党委員会となった。許被告は自ら書記に就任し、自身と恒大の成功は中国共産党の指導と支援によるものだと語ってきた。恒大集団の党委員会と、その下部に置かれた38の二級党委員会、1133の党支部には、計1万2075人の党員が所属していた。
独立系評論家の杜政氏はかつて、「中国共産党の基準で見れば、許家印は党への忠誠心が極めて強い民営企業家だった」と述べた。党の本質を理解し、その力を利用して企業帝国を築いたものの、最終的には党の牢獄に入ることになったとの見方を示した。
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