自衛隊 海外で初の空中消火へ インドネシア森林火災にヘリ3機派遣

2026/09/11
更新: 2026/09/11

インドネシアで相次ぐ森林・泥炭地火災を受け、陸上自衛隊のCH-47輸送ヘリ3機を搭載した海上自衛隊輸送艦「くにさき」が西カリマンタン州に到着した。自衛隊が国際緊急援助として海外でヘリによる空中消火を行うのは初めてで、約330人がインドネシア軍・国家防災庁と連携し、延焼防止にあたる。インドネシアでは2026年1~7月に約2千平方キロが焼失し、煙害は周辺国にも広がっている。

陸上自衛隊のCH-47輸送ヘリコプター3機を搭載した海上自衛隊の輸送艦「くにさき」が9月10日(現地時間)、インドネシア・西カリマンタン州のキジン港に到着した。

国際緊急援助隊として派遣した自衛隊が、海外でヘリコプターを使った消火活動を行うのは初めてである。小泉進次郎防衛相が11日の閣議後記者会見で明らかにした。自衛隊による海外での消火活動は初めてで、CH-47から水を投下して火災の拡大防止にあたる。

派遣した隊員は約330人である。到着後、ヘリコプターの整備を進め、準備が整い次第、消火活動を始める予定だ。活動はインドネシア軍や国家防災庁(BNPB)と連携して行う。派遣は、茂木外務相と小泉防衛相の協議を経て、国際緊急援助隊派遣法に基づき8月28日に決定していた。

インドネシアの森林・泥炭地火災 焼失面積は東京規模

インドネシアでは、カリマンタン島やスマトラ島を中心に、森林や泥炭地で火災が相次いでいる。焼失面積は約20万ヘクタールに達し、東京都の面積にほぼ匹敵する規模となっている。

煙による被害はマレーシアやシンガポールにも広がっている。火災は、農園開発に伴う火入れや違法な焼却に加え、エルニーニョ現象による乾燥が重なって拡大したとみられる。

西カリマンタン州では、呼吸器症状を訴える住民が増えているほか、絶滅危惧種のボルネオオランウータンの保護施設近くまで火が迫っている。インドネシア政府は消防や軍による消火活動を進めているが、対応が追いつかず、日本政府に支援を要請した。

今回の焼失面積は、約2万6千平方キロが焼失した2015年の大規模火災を下回っている。一方で、昨年の同じ時期を上回るペースで火災が広がっている、乾期のピークとなる9~10月にかけて被害がさらに拡大する恐れがある。

国内の災害対応で培ったCH-47の空中消火能力

小泉氏は今回の派遣について、「自衛隊の装備を用いて、国際緊急援助活動として消火活動を実施するのは今回が初めて」と説明した。

日本は1997~98年にかけて発生したインドネシアの大規模火災の際にも、国際緊急援助隊を派遣した。しかし、自衛隊のヘリコプターを使って空中から消火活動を行うのは今回が初めてである。

自衛隊は、地震や豪雨、噴火など国内で相次いだ災害への対応を通じ、ヘリコプターによる放水や大規模な部隊の展開、補給に関する経験を積んできた。今回の派遣では、こうした能力を海外での人道支援に生かす。

人道支援を越える意味 日インドネシア防衛協力を具体化

今回の派遣は人道支援であるとともに、日本とインドネシアの防衛協力を具体化する動きでもある。

両国は2023年、関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げした。今年5月には、小泉防衛相がジャカルタでシャフリィ・シャムスディン国防相と会談し、防衛協力取決め(DCA)に署名した。

DCAには、人道支援や災害救援の分野で協力を進める方針が盛り込まれている。小泉氏は今回の派遣について、この取決めの趣旨に沿うものだと説明した。

両国は高官級の「統合防衛対話メカニズム」を設けることで一致している。また、防衛装備・技術協力の拡大についても、事務レベルで協議を進めている。インドネシアは、日本のシーレーン(海上交通路)に近い場所に位置しており、日本にとって安全保障上、重要な国の一つである。

大臣間の信頼関係

小泉氏は、インドネシアのシャフリィ国防相との信頼関係が、今回の派遣につながったと説明した。

小泉氏によると、派遣にあたってはシャフリィ氏から直接連絡があり、必要とする支援や日本側が対応できる内容について、両大臣が迅速に意見を交わしたという。

両氏は5月のDCA署名後、6月にも東京で会談している。小泉氏は「個人的な信頼関係の構築が、実質的な防衛協力の拡大につながる例になった」と述べた。