韓国「国際医療事業支援法」 外国患者誘致を促す

2015/12/13
更新: 2015/12/13

韓国の「国際医療事業支援法」が正式に韓国国会を通過した。この法案は朴槿恵(パク・クネ)政権の経済活性化法に分類されるものの一つで、韓国の医療機関の海外進出を支援し、海外からの患者誘致を活性化するために制定された。

この法律の規定によれば、韓国の医療機関は免税店、空港、港などに広告を出し、海外からの患者を積極的に受け入れることが可能となるほか、医療機関が海外市場に進出する際には、資金や税金面で優遇される。外国人患者の受け入れ実績の高い医療機関には、さまざまな宣伝広告、専門家によるサポート支援といった優遇措置が取られ、外国人患者は自国にいながらビデオ通話で医療相談や指導を受けることができる。

韓国政府はこの法律で「医療の韓流ブーム」を起こそうとしている。昨年、治療のために訪韓した外国人患者数は約27万人。韓国保健福祉部(日本の厚生労働省に相当)は、2017年にはこの数字が50万人に達すると予測しており、海外市場へ進出する韓国の医療機関の数も、昨年の125から2017年には160に増えると期待を寄せている。

韓国保健福祉部はさらに、医療の韓流ブームが広がるにつれ、医療翻訳、医療コーディネーター、国際看護師といった職業分野はもちろん、旅行、製薬、医療器機、航空、交通、飲食、建築業などの業界も含めて毎年新たに5万件の雇用が生まれ、3兆㌆(約316億円)の経済効果が生まれるともいう。

また、韓国の病院経営は着実に力を増しているため、より質の高い医療を提供できるとも強調している。

中国の黒社会の非法な介入を阻止し、医療秩序を整える。

ここ数年、韓国の医療観光は発展めざましく、美容成形、韓国伝統医学、歯科、癌治療などの分野は、特に中国人の間で人気が高い。

その中国人患者の増加にともない、中国の黒社会が病院経営に介入するケースも見られるようになった。病院で法外な料金を請求される、あるいは医療事故の発生といった事件が、韓国の医療業界に暗い影を落としている。このことは、韓国政府が国際医療事業支援法を成立させなければならない主な理由でもある。

韓国政府はこの法律を成立させることで、医療市場に新たな秩序を構築することを目指している。また、外国人患者の利益の保護、医療機関の経営システムをさらに整えることにも役立てるとしている。

(記者・洪梅、翻訳・桜井信一)

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