共産主義の終焉 終焉の共産主義

衝撃の現代史 20世紀で犠牲者最多の殺人とは?

2017/04/09
更新: 2017/04/09

ガンからコレラなどの病気、地震や津波などの自然災害まで、20世紀に多くの人々を死亡させた出来事は何だろうか?

世界で一億人もの命が失われた、共産主義である。大紀元は、共産主義運動の歴史にスポットをあてる。「財産共有」「ユートピア(理想郷)」「一律均等」など、うわべを飾る言葉を掲げるが、この思想は世界で独裁と殺りくの地獄絵図を描いてきた。

1933年のソビエト政権下のウクライナ。人工的に作り出された飢餓により、路上で飢え死にする人々
(memorial exhibition, Widener Library, Harvard University. Cambridge)

他を排斥し独裁体制をつくる共産主義

共産主義は、他の考えを「殺害」するように否定し、魂や神仏、心など目に見えないものを否定し、共産主義を否定する者を厳しく罰する。

『共産主義宣言』を打ち出したカール・マルクスは、「地球上のユートピア」を約束した。 すべての人は革命を通じて支配階級を覆すことができ、伝統的価値を放棄して、一律に「平等」を手にするというものだ。

この「楽園への道のり」の名のもとに、共産主義の指導者たちは、法的支配を無効化し、市民に財産所有権を放棄させた。新しい社会秩序は、血塗られた「赤」と呼ばれる。

アドルフ・ヒトラーによるナチス政権は、恐怖政治の代名詞であるように伝えられているが、ソ連と中国の共産主義革命による死傷者の数は、ヒトラーの大量虐殺をはるかに上回る。

なぜなら、ヒトラーがユダヤ人を標的にしているのに対して、共産主義者は社会全体の職位を対象としており、その母数は幅広いからだ。

革命家は血を好む。マルクス・レーニン主義は、革命的思想が浸透するまで、殺りくの波が起こると説いている。事実、死は「革命の成功」に必要だと共産主義は主張する。

1989年の民主運動「64天安門事件」は、丸腰の市民が軍事力でもって鎮圧された(公開資料)

ナチ被害を圧倒 共産主義による死者は1億人

フランスの歴史研究家ステファヌ・クールトア(Stéphane Courtois)氏の著書『共産主義黒書』によれば、共産主義運動による死者は1億人。米国の歴史学者RJ・ランメル氏も、著書『政府による死』で、同様の数字を出している。ナチス政権による虐殺、飢餓、病気などの犠牲者は1000万人以上。たとえば、世界中の肺ガン、糖尿病、殺人など20世紀での死者数は、共産主義による被害を超えない。

20世紀の共産主義の独裁者・毛沢東やスターリンらは、これまで歴史上にない早さで人々を殺害した。 なかでも最も殺人を犯したのは、中国の毛沢東だ。犠牲者の推計は6000万~8000万。この数字は、第一次世界大戦(3700万)と、第二次世界大戦(6600万)により奪われる命の数さえ上回る。

どうして人々は毛沢東と共産党の元で死んでいったのか。国民党との内戦や、土地改革で殺害された地主、大躍進失敗での飢餓、紅衛兵による教師ら「知識人」と家族の大量殺害、ほかにも神仏信仰者の迫害、文化財の破壊など極左思想の横行で、抗争が絶え間なく続いたことによるとされる。

前出のクールトア氏は、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンが殺害したのは2000万人としているが、この数は情報源に応じて1000〜6000万人に変わる。「一人の死は悲劇だが、100万人の死は統計」というスターリン自身の言葉の通り、スターリンは何百人もの人々を「反革命罪」「反ソ扇動罪」で処刑した。

独裁者スターリンは、ソ連で唯一の権力者となるために、他の知識者や政治家を殺害した。彼らの写真や記録さえ抹消し、「いなかったもの」とするために大粛を行った。

共産主義の独裁者たち(左から右へ)毛沢東 (Print Collector/Getty Images)ヨシフ・スターリン (rps/ullstein bild via Getty Images)ポルポト (Rolls Press/Popperfoto/Getty Images)

人々を消す 共産主義政権下の飢餓

「人民共和国」を謳う共産主義者が、逆に市民の意志を殺して、痛めつける方法に、飢餓がある。

毛沢東の大躍進政策は、中国経済を現代化するための方法だった。農場から労働者を奪い、鉄鋼業に従事することを強制した。このため、食糧生産人口が大幅に減り、中国に大飢饉をもたらした。専門家は、死者は3000万~4000万と見ている。

ウクライナでは、集産化とソ連工業化で、250万~750万人が人工的な大飢饉で死亡した。

カンボジアでは、元フランス共産党メンバーであったポルポトによる共産主義革命が起きた。「資本主義の産物」である機器を放棄された国民は、重労働を手作業で行うよう強いられた。

ポルポトは、例えば弁護士、医者、哲学者など知識階級の人々を殺害した。彼らを「資本主義的による悪の根源」と呼んだ。

1975~1979年のポルポト政権時、農業では重労働と食物不足により飢饉が起きた。カンボジア全人口の2~3割にあたる150万~200万が殺された。

北朝鮮、エチオピアでも、それぞれが共産主義政権下の飢餓により200万人が死亡した。

すべての人々が自由と繁栄の下での暮らしを望むなか、共産主義の支配下では大虐殺が引き起こされ、人々が持つ善良さと誠実さを、横暴や嘘へと置き換えた。

ヨーロッパ、アジアとアフリカの過去を通じて、共産主義は世界で計1億人の命を100年足らずで葬った。人類史上、先例のない凶悪なイデオロギーに基づく殺人である。

(翻訳編集・佐渡 道世)

関連特集: 共産主義の終焉