危険なシルクロード

カタール断交、中東の不安定浮き彫り 「一帯一路」リスク鮮明

2017年06月14日 07時00分

 ペルシャ湾産油国のカタールは現在、外交危機に陥っている。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)など5カ国はこのほど、カタールが「テロ支援」として、カタールとの国交関係を断絶すると表明した。中国当局が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」沿いの重要地域である中東情勢の不安定は、同政策のリスクを浮き彫りにした。

カタールと中国の関係

 カタールが過去政治的に安定し、投資環境も良好だったため、中国当局は金融と交通の面で中東地域へと勢力拡大していく中での重要な玄関口と見なした。

 交通の面では、世界航空会社ランキングで1位を獲得したことのあるカタール航空は、中国北京、上海など7都市との直行便を就航している。サウジアラビアなどとの断交で、カタール航空が他国への航空便の運航が中止され、中国人乗客がカタールで「新シルクロード」の他の国に乗り継ぐことができない。このため、中国当局にとって、カタールの一帯一路の「玄関口」機能は果たすことができなくなる可能性が高まってきた。

 また金融の面では、カタールは近年「東を見よう(Look East)」との政策の下で、現在の首長タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニーが2014年11月中国を訪問した際、カタールと中国は戦略的パートナーシップを構築すると共同発表した。当時、両国は350億元規模の人民元通貨スワップ協定を締結したほかに、中国4大国有銀行の一つ、中国工商銀行のカタール・ドーハにある支店で人民元決済業務も直ちに始められた。

 カタール政府系投資ファンドである「カタール投資庁」はすでに中国著名企業、「アリババ集団」、「中国工商銀行」、「中国農業銀行」などに投資し始めた。

 資産規模1700億ドルのカタール投資庁が14年に中国金融大手の中信集団と署名した覚書によると、双方がそれぞれ50%を出資し、100億ドル規模の地域投資ファンドを設立していく計画がある。

 カタールは中国当局が提唱する一帯一路構想を最も早く支持を示した国の一つで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも早く加入した。カタールと中国当局は、一帯一路をめぐって協力備忘録も締結している。

2016年5月、カタールのドーハを訪問した王毅・中国外交部長(外相、右から2番目)と中国訪問団(STR/AFP/Getty Images)

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