マレーシア新首相、「中国からの投資を見直す」

2018/05/11
更新: 2018/05/11

9日投開票のマレーシア議会下院選挙で、マハティール元首相(92)が率いる野党連合が過半数議席を獲得して勝利した。元首相は10日、首相に就任した。マレーシアでは1957年の独立以来、初の政権交代となった。新政府は、マレーシアへの影響力を増す中国当局に危惧し、中国からの投資を規制するとみられる。

地元メディアによると、下院定数222議席のうち、野党連合・希望連盟(PH)は115議席を獲得した。与党連合・国民戦線(BN)は79議席にとどまった。選挙前は与党連合の圧勝が予想されていた。

マハティール氏は1981~03年まで首相を務めた。今回の当選で、世界最高齢の指導者の一人となった。ナジブ政権の巨額汚職疑惑などを理由に、野党陣営に加わった。

時事評論家の曹長青氏は、政権交代はマレーシアで影響力を増す中国当局に大きな打撃を与えるとの見解を示した。ナジブ前首相は中国当局と非常に近い関係にある。ナジブ前政権の下で、中国の対マレーシア投資は急増した。

ロイター通信によると、首相に再任したマハティール氏は10日、ナジブ前政権が批准した中国資本の投資案件について見直す考えを示した。また、中国当局の「一帯一路」経済圏構想を支持するとしながら、マレーシア側の債務が増えることを懸念し、再交渉すべきだと強調した。

マハティール氏は選挙活動中に投資マネーをばら撒いた中国当局に対して批判を強めた。  

今年4月、マハティール氏はブルームバーグに対して、「中国人投資家が来ても、国民の雇用は改善されておらず、われわれの企業も(インフラ建設プロジェクト)に参加できなかった。何も得るものがない」「彼ら(中国企業)は税金も納付しなかった」と指摘した。

取材の中で、スリランカを例に、進出を加速化させる中国当局に強い警戒感を表した。中国からの巨額融資を返済できないスリランカ政府は、「中国と長期間の土地租借契約を結むことになり、多くの土地を失った」と指摘した。

マハティール氏は、中国の不動産企業が同国で次々と高級住宅物件を開発・建設していることに異議を唱えていた。中国企業の投機活動で地元の不動産価格を押し上げたと非難した。

新政府は、マレー半島を横断する「東海岸鉄道」(総距離688キロ)の建設を見直す公算が大きい。中国インフラ建設大手「中国交通建設」が受注し、17年8月に着工した同建設工事でマレーシアは中国から低利で130億ドル(約1兆4235億円)を借り入れた。

シンガポールとマレーシアを結ぶ新幹線建設にも注目が集まる。日本勢と中国勢が競い合うなか、ナジブ前首相は国内の新幹線建設について、中国勢に軍配を上げた。

一方、マハティール氏は、ナジブ前首相が政府系ファンド「1MDB」の資金を不正流用した疑いについて、調査を行うことを明らかにした。前首相は数十億ドル(数千億円)規模の資金を米国などでの別荘購入などに使ったとの疑いをもたれている。

(翻訳編集・張哲)

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