ま え が き

2019/08/02
更新: 2019/08/02

2010年のノーベル平和賞にノミネートされたカナダの人権弁護士、デービッド・マタス氏と「臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)」の米国執行長、トルステン・トレイ(Torsten Trey)医師が共同で編集した『State Organs: Transplant Abuse in China』(邦訳『中国の移植犯罪 国家による臓器狩り』)が2012年に出版されて以来、世界の医療界、法曹界ならびに政界に大きな反響を巻き起こした。人々はこの残酷な事実に驚愕し、中国で起きている臓器狩りに注目するようになり、ヨーロッパやアメリカの国会など、世界各地でこの迫害を制止するためのシンポジウムや公聴会が開かれてきた。中国大陸の民衆も迫害される危険を冒しながら、制止のための署名運動を行っているが、中国での臓器狩りは今なお続いている。

 その根本的な原因は、中共当局による法輪功に対する残虐な迫害が今なお続いているからである。中国の法輪功学習者は、中国大陸最大の移植臓器供給源であり、臓器狩りの主たる被害者である。ならば、この迫害が終わらない限り、臓器狩りの暴挙も終わらない。
 そこで、トルステン・トレイ医師と人権活動家の朱婉琪弁護士が、臓器狩りの根本的問題である「法輪功迫害」について深く探求した本書を共同で編集した。長年来中共当局の法輪功に対する迫害に関心を持ってきた世界各国の著名な専門家、議員、弁護士、医師及び人権活動家に呼びかけて、政治、社会、経済、医学、法律、メディア、文化等の異なる角度から、中共前党首の江沢民が発動した法輪功弾圧が21世紀の人類の様々な局面にもたらした影響について分析してもらった。

 欧米とアジアの19人の執筆者による客観的な分析から、「法輪功に対する迫害」は、ただ単に一億人におよぶ法輪功学習者の基本的人権を剥奪しただけでなく、この残虐な迫害が長期的かつ広範囲にわたって行われていることによって、人類の良知が毒され、道徳の普遍的価値観が完全に破壊されてしまったことがわかっていただけるであろう。それが人類にもたらした影響は計り知れず、世界中の人々がこの未曾有の邪悪な迫害に巻き込まれているのである。

 この本のタイトルを『かつてなき邪悪な迫害』としたのは、迫害の正確な事実を以って人類の良知を呼び覚ますことによって、21世紀最大の痛ましい人権災難を直視し、一刻も早く終結させたいがためである。

目      次

まえがき 

第一章 メディア
独裁者のロジック (呉葆璋)   
完全なるメディア支配:中国政府と中国共産党に対して最も批判的かつ懐疑的な反対者を操る効果的な方法 (クライブ・アンスレイ )
真相を抑圧する邪悪の根 (張錦華)

第二章 政治、社会、経済
法輪功はカルトではない (デービッド・キルガ)
中国の政治に対する法輪功の影響 (袁紅氷) 
国力をかけて行ってきた迫害 (章天亮) 
平和的な者たちへの弾圧に対する政治的応答 (エドワード・マクミラン-スコット)
精神と肉体を絶滅する手段-洗脳と転向- (夏一陽)
暴露された残忍さ:中国における臓器強制摘出の衝撃的な事実 (カトリナ・ラントス・スウェット)  
沈黙の暴行 (滕  彪) 
天に唾する中共赤色資本主義のならず者経済 (呉恵林)

第三章 医学
臓器狩りという前代未聞の邪悪:精神の死または身体の死の選択 (トルステン・トレイ) 
中国での「処刑=移植」制度と国際機関:癒着関係の考察 (カーク C. アリソン) 
生体からの臓器狩り-中共政権下の移植濫用- (黄士維) 

第四章 法学
見過ごされている「臓器のための法輪功学習者殺害」 (デービッド・マタス) 
人間性を滅ぼす江沢民の最大の悪 (朱婉琪) 
地球上の極悪 中国の集団殺害への注意喚起と行動 (カルロス・イグレシアス) 

第五章 文化
中国の古典舞踊から見る神伝文化の中国と海外での異なる運命 (李維娜) 
神韻の輝く光を恐れる卑しい中共政権 (楊憲宏) 

執筆者プロフィール  

訳者あとがき