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北越製紙600円割れも、業界の魅力低下の声=王子TOB断念で

 王子製紙<3861.T>が北越製紙<3865.T>の株式公開買い付け(TOB)を断念したことで、北越の株価は目先600円割れも視野に入るとの見方が市場関係者の間で出ている。三菱商事<8058.T>による第三者割当増資の引き受けで北越の発行済み株数は、増資前から約30%増加。その分、北越株の1株利益(EPS)は希薄化が起きているだけでなく、製紙業界の再編機運が大きく後退し、需給や価格コントロールの改善につながりにくい環境が収益を圧迫するとの懸念がつきまとうためだ。製紙業界全体の評価にも懸念の声が出ている。

 <理論上は1株540円まで値下がりも>

 ある外資系証券の製紙アナリストは、EV(企業価値)倍率から計算した北越の理論上の株価は540円と試算した。国内系の製紙業界アナリストは、TOB不成立なら「北越株は600円前後に落ちるだろう」と予想する。

 明治ドレスナー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネージャー土屋道氏は、証券会社などセルサイドのアナリストが示すほど厳しい見方はしていないと指摘。そのうえで「妥当なEBITDA(利払い前・税引き前・償却前営業利益)倍率を6.5倍とすると理論上の妥当な株価水準は623円だろう」と述べた。

 ただ、機関投資家や株主などに対する説明が不十分だったとの批判も浴びていることが足かせとなり「一時的に600円を割っても不思議ではない」(土屋氏)とみる。

 北越の株価は前週末からTOB価格(800円)を下回って推移し、29日は758円で引けた。アナリストや運用担当者の見解に、540─623円という開きはあるものの、北越株は現行水準から2─3割売られる可能性があるとの見方が多い。

 市場関係者が北越株の目先の下落要因として指摘するのは、1)反王子で北越株を買ってきた投資家による買いが終わった、2)機関投資家の買いインセンティブが後退しているため売りが出ると値を下げやすい、3)第三者割当て増資の実施でEPSの希薄化が見込まれる株価を織り込みに行く──ことなどが背景にある。

 こうした理由以外に、明治ドレスナーの土屋氏は、北越の収益構造が1)塗工紙や白板紙などに偏っている、2)すでに合理的な生産拠点を持つため、さらなる合理化は他社に比べてしにくく、かえって投資、増産、収益拡大のサイクルを繰り返さざるを得えなくなる、という2点を挙げた。

 北越の他社との収益力格差は縮まってきており「将来的には単独で生き残っていけるか疑問。今回は(王子に)統合してもらった方が良かったのではないか」(土屋氏)と話す。

 北越は、王子が8月2日から1株800円でTOBすると発表し買い上げられたため、現行水準はTOBプレミアムがついた格好。このため市場関係者は、TOBが不成立で「プレミアムがはげ落ち、適性水準に収れんする」(アナリスト)と見通しているわけだ。

 <業界全体に悪材料、投資妙味低下の指摘も>

 業界の再編機運の後退で、需給バランスや製紙価格のコントロールが効きにくくなることも株価にはマイナス要因。紙の供給過剰と価格の値上げの難航が予想され、下期以降に実施する見込みの製紙価格の値上げが困難になる可能性があるためだ。

 こうなると「今年2回目の値上げ実施を前提に立てている業績予想の達成は難しくなる可能性が高まり、セクター全体の投資妙味が薄れる」(ドイツ証券)という。

 重油やチップなどの原燃料費の上昇が続いていることも経常利益の圧迫要因となり、大和総研では「向こう2─3年は製紙パルプ業界の株式は投資対象としての魅力が低下する」とみている。

(ロイター29日=東京)

 (06/08/30 08:06)  





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