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『財経』誌の胡舒立編集長(左)と元社長の呉伝暉氏

中国有力経済誌、編集長と部員150人辞職 新疆事件報道が導火線

 【大紀元日本11月13日】中国の経済誌の中で最も影響力の高い「財経」誌は、9月末に社長などの主要経営スタッフが辞職したのに続き、編集長の胡舒立氏と編集部スタッフの9割が辞表を提出した。広報担当者が9日発表した。今回の人事大地震は、新疆7・5抗議事件の報道規制が直接の導火線となったようだ。

 報道規制の厳しい中国で、独自のスクープ記事を出すなど革新的だった同誌は、9月末、政権樹立60周年の直前に、呉伝暉社長を含む経営陣約70人が辞職するという事態となった。業界内では「奇跡の崩壊」と嘆く声が聞かれる中、編集長である胡氏の動向が注目されていた。

 関係者の間では、胡氏は親会社の「聯弁集団(SEEC)」との間で、編集方針や経営などの対立から辞職に踏み切ったと見られているが、「聯弁集団」の総責任者・王波明氏は、「舒立さんとの間に根本的な隔たりはない」と否定した上で、胡編集長の辞任理由について、「中国では、すべての記者活動は、国が容認する範囲内で行われるしかない」と洩らした。

 聯弁集団のもう一人の取締役である章知方氏は、10日に開かれた社内会議で、新疆7・5事件の報道で、胡氏とその記者らが、「報道の紀律」に違反したと指摘した。

 新疆7・5事件が発生した後、胡氏は数名の記者を新疆現地に派遣して取材をさせた。しかし、その取材報道は発表されなかった。更にこの取材問題で親会社の聯弁集団が、政府から批判を受けたという。

 胡氏のほか、戴小京・副編集長、王爍也・執行編集長なども辞表を提出したという。

 王爍也執行編集長は11日、あるTwitterサイトで、辞職したスタッフは、現時点で147人いると公表した。新疆7・5事件後、「聯弁集団」から最終通達を受け、すべての特集記事、敏感な話題の報道及び経済以外の報道を「聯弁集団」に提出し、審査を受けてから発表するよう要求されたという。

 ネット上に流出した金融報道記者・付濤氏の辞職表明では、「中国のメディア人に、汚くてもいいが、綺麗にしようとする細い道をいくつか残してくれ」と嘆いている。

 「南方週末」の編集者・鄢烈山氏は、「財経」の今後について、これまでのように権力者を恐れずに腐敗を暴き、真実を報道するという特徴を保てるか不安だと述べ、「大きな人事異動が政治的な圧力によるものだったとすれば、(報道の特徴が)大きく変わるだろう」と話した。

 胡舒立氏は1998年、「財経」の創刊と同時に同誌の編集長を務めてきた。多くの政府批判や党幹部の腐敗に関するスクープを報道してきた胡氏は、米誌「ビジネスウィーク」で「中国で最も危険な女性」と称賛され、「財経」は国際的にも一躍有名となった。

 一方、「財経」誌の広報担当者は、胡舒立氏の今後について、噂されていた新雑誌の創刊という計画はなく、大学教授に就任する可能性が高いと述べた。この発表について鄢烈山氏は、中国の報道界にとって大きな損失だと話している。

 同誌の新しい編集チームの人事について、聯弁集団は「具体的にはまだ決めていない」としながらも、あらゆる分野から人材を取り入れるとしている。

 同誌は来年、香港の大富豪・李嘉誠氏の次男・李澤楷氏が率いるIT企業「盈科拓展集団」と提携し、「財経」英文版を出版する計画があった。同誌の経営陣や編集チームが大勢辞職したことを受け、提携計画は難航しそうだ。

(翻訳編集・張哲)


 (09/11/13 08:03)  





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