THE EPOCH TIMES

薄氏妻殺人案 問われる不審点

2012年08月21日 13時00分
【大紀元日本8月21日】2年間の執行猶予付きの死刑判決。重慶市元トップの薄煕来氏の妻・谷開来被告に対するこの判決に、専門家らは「想定内」(北京の弁護士)と口を揃えている。9日に開かれた公判前にはリハーサルが繰り返され、検察側の訴状にも多くの不審点を残したままの判決は、事前にシナリオが周到に用意されたショーだと批判されている。

 法廷審理の事前リハーサル

 英紙デイリー・テレグラフは情報筋の話として、9日の法廷審理の前に、何度もリハーサルが行われたと伝えている。2人の中国政府関係者が、審理に傍聴予定の英国外交官2人を演じるなど、谷被告の法廷での応対などが繰り返し訓練されたという。

 殺人の作られた背景と動機

 この殺人案の背景や谷被告の殺人動機について、検察側は訴状で次のように説明した。

 ヘイウッド氏と谷開来被告とのビジネスが2011年に挫折した後、ヘイウッド氏は谷被告の息子・薄瓜瓜氏を人質にとり、3千万ドルを要求した。精神状態が崩壊寸前の谷被告は愛息を守るため、ヘイウッド氏の殺害を計画・実行した。

 このことを立証する唯一の証拠は、昨年11月にヘイウッド氏が瓜瓜氏に送った電子メール「あなたは破滅に向かう」という言葉である。

 しかし、「妻子とともに北京に住むヘイウッド氏は、どうやって米国留学中の薄瓜瓜君を人質に取ったのか」、この極めて重要なポイントについて法廷審理は触れていない、とカナダ紙ザ・バンクーバー・サンは疑問を呈した。

 一方、ロサンゼルス・タイムズ紙は8月初めの関連報道で、薄煕来一族の側近の話を伝えた。この側近はこの人質事件をまったく知らないと証言し、「これは殺されたヘイウッド氏への濡れ衣であり、狙いは谷被告の罪を軽減させること」との見方を示した。

 ザ・バンクーバー・サンは、「懸命にわが子を守る母親のイメージが、彼女に有利な状況を作っている」「当局の脚本は、1人の疑わしい外国人のイメージを作り上げた。つまり、彼は自分の死に自己責任をも負うべきというメッセージだ」と記した。

 谷被告の精神状態は本当に異常なのか

 当局の診断によれば、谷被告が躁うつ病と中度の精神分裂症を患っている。だが、訴状はこのような精神疾患罹患者の谷被告の供述に基づいている。証人による証言も行われない中で、谷被告の記憶が確実であるのか、或いは、精神疾患自身が嘘ではないかとも問われている。

 主要関係者2人への証人喚問はない

 今回の殺人事件の重要証人で、薄氏の元腹心の王立軍氏が今年2月に米国領事館に駆け込んだ後、ロサンゼルス・タイムズは5月23日に、「王立軍氏はヘイウッド氏の遺体から採取した血液サンプルと体の組織を専門家に分析を依頼し、その結果を米総領事館に提出した」と有力な情報筋の話として伝えた。

 さらに、瓜瓜氏が人質に取られたことが事実であれば、父親である薄煕来氏はその事実を知らなかったのか、さらに、妻の殺人計画も知らなかったのかについても問われている。

 「もっとも証人喚問すべき人物は薄煕来と王立軍だ。妻のヘイウッド氏殺害について、薄煕来は事前に知っていたかどうか、関与したかどうか、それとも事後に知り事実関係を隠したのか、これらの問題を説明すべきだ。王立軍はこの殺人案件について、知っているすべてのことを証言すべきだ」と、元ジャーナリストで中国問題専門家の姜維平氏は指摘した。

 一方、大紀元(中国語版)が入手した情報によると、薄煕来夫婦による囚人の臓器と死体の大規模密売に関与したヘイウッド氏は口封じのために殺された。薄煕来夫婦の側近である王立軍氏も、彼らの機密情報を多く知っており、ヘイウッド氏のように殺されるのではないかと恐れ、米国領事館に駆け込んだという。

 中国当局は現時点で、取り調べを受けている王立軍氏と薄煕来氏への対応をまだ示していない。

 

(翻訳編集・叶子)


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