長江転覆事故、当局奮闘記の讃歌へ 世界を欺く中国のプロパガンダ

2015年06月08日 21時42分
【大紀元日本6月8日】中国湖北省荊州市の長江で456人が乗った客船の転覆事故で、当局は6日に引き揚げた船内の捜索をほぼ終了した。これまでの捜索・救助活動においての中国当局の露骨なプロパガンダ(政治宣伝活動)に、国内外から注目や批判が集まっている。

 7日付香港メディア・東網は論評記事を掲載し、船舶事故として1949年の共産党政権樹立以来、最大級の惨事となる同事故への救助活動で、中国当局が救助した人数はわずかだったが、プロパガンダにおいては多大な成果を収めたと指摘した。

 中国政府発表によると、7日までに432人の死亡が確認され、生存者は14人、行方不明者は10人。中国政府は警察や軍など約3000人態勢で捜索に当たった。生存者14人のうち、船長や機関師ら7人は自力で脱出し、5人が長時間の漂流から救出され、直接当局の救助を受けたのは2人だけだった。

 にもかかわらず、政府系マスコミの宣伝は、救助の結果とのコントラストを鮮明に浮かび上がらせている。あらゆる報道は与党への讃歌となり、煽情的内容が記事のタイトルから始まる。

 たとえば、「中国人に生まれてなんと幸せ!」(国営新華社通信のニュースサイト・新華網)、「救助現場、最もハンサムな男たちがここにいるよ」(中国共産党機関紙・人民日報)、「世界は客船転覆事故で中国の決心が分かる」(人民日報の国際版・環球時報)、「『東方之星』が沈没しなくてよかった無数の理由」(人民日報のニュースサイト・人民網)、「何度も悲しみの水域を泳いでありがとう」(政府出資の上海地元紙・澎湃新聞)等々。

 事故発生後、中国の共産党中央宣伝部は数回にわたって報道禁止令を通達した。事故翌日の2日午前、宣伝部は地方政府や国内の報道機関に対し、独自の取材や報道を禁じ、現場に派遣されたすべての記者を撤収させ、事故の報道は新華社などの国営メディアや当局が発表した内容のみを使用するようにと指示。

 また、2日夜「類似事故を網羅しないこと。コメントしないこと」「事故原因や死傷者数などは厳密に新華社通信に従って報道すること」「生存者や乗客の家族を取材しないこと。新聞のレイアウトには当局を重視し、救援活動を中心にすること。悲惨な状況を過度に表現しないこと」「違反した者は厳しく処分する」など、宣伝部は国内メディアに要求した。

 事故現場で指揮をとる李克強首相は3日午前、犠牲者に黙とうした。多数の死傷者を出した天安門事件26周年を4日に控え、「天安門事件の被害者への謝罪」と誤解されないように宣伝部は国内メディアに対して黙とう写真の掲載を禁止した。

 一方、中国の国内メディアは事故現場に近づくこともできなかったが、中国当局は外国メディアに対して現場での取材や報道に「招待」した。中国国営中央テレビ局(CCTV)は3日、「長江客船転覆後、42の外国メディア、記者75人が救援現場で最新の救援状況を伝えている」と報じ、外国人記者の「中国政府の迅速な対応と救助を評価する」とのコメントを紹介した。

 中国当局が事故現場の封鎖やメディアの制御などの報道規制を強化しているため、国民は真実の情報を得ることができない。政府系メディアは、今回の救援活動を「全国を感動させた」と報じ続けたが、それは厳しい言論統制下にある中国から生まれた虚像であり、自国民や世界の人々を欺くものに過ぎない。

(翻訳編集・王君宜)


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