大紀元時報

焦点:新型ウイルス禍の香港、行政府や中国への感情さらに悪化

2020年03月02日 10時00分
香港で、行政府と中国への不満は、新型ウイルスの流行によってさらに拡大している。写真は4日、中国本土との境界封鎖を求めストに参加した医療関係者(2020年 ロイター/Tyrone Siu)
香港で、行政府と中国への不満は、新型ウイルスの流行によってさらに拡大している。写真は4日、中国本土との境界封鎖を求めストに参加した医療関係者(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

Sarah Wu

[香港 21日 ロイター] - この1カ月、香港の街から民主派の抗議活動参加者の姿はほぼ完全に消え去った。住民が新型コロナウイルスを避けようとしているためだ。だが、香港行政府と中国への不満は、新型ウイルスの流行によってさらに拡大している。

一部の企業経営者や親中派の政治家までが民主派や労組有力者に加勢し、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官率いる香港行政府による一貫性のない新型ウイルス対応や、中国本土との境界封鎖の拒絶を批判している。

雑貨店チェーン阿布泰國のマイク・ラム最高経営責任者(CEO)は、「政治的な立場を問わず、香港の人々はすでに現行政府を信頼していない」と語る。

ラム氏の経営するチェーンは、新型ウイルスによりかなりの混乱を味わっており、最近では、3400箱しか在庫のない手術用マスクに対して、10万件近い購入希望があったという。

750万人の香港住民は、状況を沈静化させようという行政府の努力をほぼ無視して主食やトイレットペーパーの買いだめに走っており、マスクやハンドソープを購入できる数少ない店舗には長い行列ができている。

活動家たちは、これによって行政府への怒りが拡大しており、この夏には抗議行動が再燃するだろう、と話している。

12月31日の設立以来、320人の加入者を集めた香港製薬・医療機器産業労働者総合組合のクレメント・チュン会長は、「もう現実には政治の問題ではなく、生活そのものの問題になっている」と話す。

「新型ウイルスは、反行政府感情という点で、香港のすべての人々を結びつけた。人々は失望と怒りを抱き、何かを変えたいと考えている」と彼は言う。

<「境界封鎖で香港を救え」>

ラム行政長官が中国本土との境界を完全に封鎖することを拒否したのは、もっぱら中央政府に対する譲歩だと見られているが、これが多くの香港住民を刺激した。

基本的には企業寄りで、香港行政府・中国支持の姿勢をとる香港自由党の現・元党首4人は今月、新型ウイルスへの対応に関してラム長官を批判した。

4人は今月、ラム長官に送った書簡のなかで「新型ウイルスは中国本土で大混乱を引き起こしており、唯一正しい判断として、ただちに境界を封鎖すべきだった」として、長官の対応は腰が引けていて効果が薄かったと評した。

香港民意研究所が今月初めに発表した調査によれば、香港住民の4分の3は、こうした批判に同意している。

2月第1週、新たに結成された病院機関職員連合(HAEA)に所属する医師、看護師、医療従事者8000人が5日にわたるストライキに参加し、「境界封鎖で香港を救え」と声をあげた。

ストライキの開始から数時間後、ラム長官は、さらに4カ所の中国本土との検問所を閉鎖すると発表したが、全面的な封鎖には至らなかった。現在、13カ所の検問所のうち10カ所が閉鎖されている。

だが、住民のいら立ちが今年の夏に向けて広がるのを食い止めるには、これだけでは十分ではないかもしれない。

かつて民主派の政治家だった労働運動家のリー・チュクヤン氏は、「今高まりつつある怒りは、行政府に対する、また民主主義を求める今後の抗議活動に火をつけるだろう」と語る。

リー氏は、次回の抗議デモは、英国が香港の施政権を中国に返還した23回目の記念日である7月1日に始まる可能性が高いが、ウイルス禍が収まれば、もっと早く再開されるだろうと話す。

<反中ムード>

ラム長官は、境界の全面封鎖について、差別的かつ非現実的だとして拒否している。香港行政府は、決定は世界保健機関の指針に基づいており、政治的な動機によるものではないとしている。

行政長官の事務局はロイターに対して「感染に対処するうえで行政府はただ公衆衛生だけを考慮しており、その行動は、確固たる科学的かつ専門的な勧告に裏付けられている」と述べている。

またラム長官は、ウイルスのまん延に対処し、企業の財務的な打撃を緩和するための措置に300億香港ドル(約4260億円)を投じると約束している。

すべての香港住民が行政府を批判しているわけではない。香港荷主協議会でエグゼクティブ・ディレクターを務めるサニー・ホー氏は、ラム長官が取った措置に満足していると述べ、「(批判派は)行政府が考慮しなければならない困難をひどく過小評価している」という。

だが、このように理解を示す人は少ない。香港住民の多くは、2003年にやはり中国本土で始まり、香港でも300人近い死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を記憶している。

一部では、中国本土の住民や来訪者に対する敵意にまで転じている。

ソーシャルメディアで流布しているリストには、コロナウイルスのリスクが高いと見なされる地域からの来店客を拒否しているレストラン34店が記載されている。一部のレストランの店頭には、健康上の懸念を理由として「本土出身者お断り」の貼り紙が見られる。

美容室エッジー・サロンはフェイスブック上で「香港住民限定」で営業すると発表し、クォン・ウィン・ケータリングは、「境界が封鎖されないので、当店を封鎖します」と掲示している。

民主派のフェイスブックページでは、中国本土からの観光客をだまして、品薄になったハンドソープと見せかけて性的な用途のローションを売りつけた話が投稿されて人気を集めている。

<「新たな最前線」>

先週、政府が所有する公共住宅の一部を新型ウイルス検疫センターに転用する計画について、住民との協議が不足していることに怒る反対派の抗議集会が、少なくとも3地区で行われた。

1月には、抗議参加者の一団が転用対象ビルのロビーに放火した。

2019年末以降に結成された40余りの民主派労働組合の一部は、新型ウイルス流行に対してより組織的なアプローチを主導しており、現在の勢いを生かして香港行政府にさらに圧力をかけていこうと計画している。

医療従事者のストライキを企画したHAEAのウィニー・ユー会長は、労働組合を「我々の抗議活動の新たな最前線」と呼んでいる。

前出のチュン氏は、新たに結成された組合の大半は加入者をもっと増やさなければ変革を強いる力にはならないとしながら、他組合も「リレーのバトンを受け継いでストライキを継続して」ほしいと期待している。

新たに結成された会員数450人強の香港ホテル従業員組合のアレックス・ツイ会長は、HAEAのストライキについて、「香港人はストをやらないという思い込みを打破した」と話している。

(翻訳:エァクレーレン)

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