大紀元時報

中国企業、安倍前首相含む海外240万人の個人データを常時監視 親族や交友関係も

2020年09月16日 21時21分
9月16日、総理官邸を後にする安倍晋三前首相(GettyImages)
9月16日、総理官邸を後にする安倍晋三前首相(GettyImages)

中国軍と情報機関につながりのある深センのデータ管理企業・振華數據は、全世界の影響力ある政治家や実業家、軍人、信仰指導者、暴力団などの240万人の個人情報を収集している。監視対象者の人脈や指揮系統を把握し、中国共産党の浸透工作のターゲットにする狙いがある。オーストラリアや英国のメディアが9月14日に報じた。

報道は内部告発者によるリーク情報を伝えた。これらの影響力ある人物の友人や家族、同僚のデータも収集されており、対象の指揮系統の動きを予想し、あらゆる可能性のある「浸透ネットワーク」を作っている。

暴露されたデータベースに登録されている各国要人のなかに、5万1000人の米国人、4万人の英国人、3万5000人のオーストラリア人、5000人のカナダ人、558人の日本人のデータが収集された。読売新聞やNHKは、日本人のリストには安倍晋三前首相も含まれているという。数百万人の国籍不明者のリストもあるとされる。

暴露された振華數據のデータベースについて、英フルブライト大学ベトナム校のクリストファー・バルディング教授と、豪セキュリティ会社Internet 2.0の共同設立者ロバート・ポッター氏が調査を行った。2人は世界大手の報道媒体と協力し、データベースに関する調査結果を公開した。

「これは、中国が諜報活動や影響力行使のため、外国人個人や機関を監視し、データを収集しているという初めての直接的な証拠だ」と、バルディング教授とポッター氏は共著論文で述べた。

「中国が民間企業と協力して情報収集などの国家活動に従事する『軍民融合』は憂慮すべきだ」「機密性の高い分野や影響力のある分野で働く個人や機関は、中国がどのような作戦で標的にしているかを認識する必要がある」と警告を発している。

バルディング教授は、今回の大規模なデータ流出は、中国のサイバー軍が仕掛けたサイバー攻撃を裏付けるものだとした。また、この報告書から中国共産党政権と人民解放軍がどのように民間のハイテク産業を利用して、「超限戦」を展開しているのかを垣間見ることができる。

深セン市拠点の振華數據は、2018年後半に設立されたスタートアップ企業。創業者は米技術大手IBMの元エンジニアである王雪峰氏。 同グループの顧客は、主に中国共産党、中国中央政府、中国軍だ。同社の具体的な投資背景などの詳細は明らかになっていないが、同社は中国軍に協力していると宣伝している。

報道によると、振華数据が軍に提供している主なサービスは、「海外重要情報データベース」(OKIDB)と呼ばれる情報収集システムだという。基本的にはTwitter、Facebook、LinkedIn、Instagram、TikTokなどソーシャルアカウントの活動記録と、表記された生年月日、ID、住所、家族の状況、経歴などを統合したもの。関連情報のほとんどはインターネットから収集されている。しかし、純粋なデータの収集とは異なり、この統合は、対象者間の対人関係、さらには対象者を中心とする人物関係図にある全員に対して情報監視を行う。対象者の健康情報、心理評価、裁判情報などもデータのリストに登録されている。

調査に参加した英紙デイリー・テレグラフによると、振華数据の情報システムが告発者により盗まれたのは今年初め。その後、米英加豪ニュージーランドで結成された多国籍情報網ファイブ・アイズに調査のために転送された。

デイリー・テレグラフによると、リストには、各政党党首のほか、華為技術を調査する英国会の委員会のメンバーも徹底した監視を受けている。ほかにも、カンタベリーの英国国教会大司教と英国ユダヤ教指導者の大ラビなどがリストにある。

豪メディアABCとAFRの調査報道によると、オーストラリアの監視対象者は数人の元首相、閣僚、軍将に加えて、ウラン採掘と原子力エネルギー産業、司法も標的にされていることがわかった。 同時に、「鍵となるターゲット」とラベルされた数百人の特別リストの中には、その家族、友人、親戚、さらには「親戚の親戚」も記録され、情報収集の対象となっていた。

中国が宿敵とみなす米国に関しては、情報セキュリティ侵害はさらに深刻とみられている。ABCによると、リスト登録された米国民は5万人だが、重要人物のほか、政府の下請け企業の従業員、若手テクノロジー技術者、米軍の中堅将校なども含まれている。例えば、ある海軍大佐について「原子力空母の艦長に昇進する可能性が高い」と具体的に記されていた。

読売新聞は入手したリストとして、日本人は安倍前首相ら558人の政治家や企業経営者らが「重要公人」として記載されていたという。前科のある暴力団組員ら358人もリスト化されていたと報じた。

オーストラリアと日本には犯罪者データが多く含まれていて、これらの人物を監視する目的は不明だ。何らかの犯罪行為を通じた戦略的な必要性があるとの見方もある。

振華數據は内部資料の中で「各国にある20の海外情報処理センター」を情報収集拠点としている。しかし、その存在について具体的な情報はない。

家族とともに監視リストに名前を登録されていた英保守党ボブ・シーリー(Bob Seely)議員は、この監視リストについて「中国政府は、このデータベースを作るために多くの時間と資金を投資している。その目的は友好的ではないだろう」と英メディアに語っている。

(翻訳編集・佐渡道世)

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