「ビデオ会議」は既に日常、最大限に活用する方法は

2020/10/19
更新: 2020/10/19

[ニューヨーク 13日 ロイター] – 助成金申請代行の仕事に携わるダイアン・レオナードさんは先日、ある会議に出席した。いつもの流れだ。基調講演を聞き、他の出席者たちと交流し、友人に出くわす。

だが、これまでの会議と大きく違う点が1つある。自分は米ニューヨーク州クレイトンの自宅にいて、お気に入りのコーヒーを飲み、足元にランニング・ウオーキングマシンが付いた「机」に向かい、傍らには愛犬オリーがいる。

レオナードさんが出席したのは、クラウドコンピューティング会社が主催したIT関連の会議。今年開かれている多くの会議と同様、完全なビデオ会議だ。

「ここ半年で、この種の会議への出席は40回を超えたと思う。もうすっかり日常の一部だ」とレオナードさんは言う。

「ミィーティング・プロフェッショナルズ・インターナショナル」が夏に実施した調査では、回答者の86%が今後1年間で現実空間イベントへの出席は減ると予想した半面、87%はバーチャルイベントへの出席が増えるとの見通しを示した。

バーチャルイベントをプロデュースするディジメンターズ社の共同創業者、スリー・スリーニバサン氏は「この半年間、バーチャルイベントを運営してきて気付いたのは、現実空間で開く会議との違いが20%ほどあるということだ。だが、その20%が決定的だ」と語る。

「新しい日常」になじむのは大変だが、ある意味では簡便さが増したとも言える。人との接し方、有意義なコンテンツへのアクセス、参加することで得られる「収穫」の最大化などの面で、まったく新しい戦略が必要になる。

「バーチャルイベントでは、出席者による準備と行動が、より多く求められる」と語るのは、投資調査会社・モーニングスターの幹部、レスリー・マーシャル氏。9月に米国で約3000人を対象にオンライン会議を主催したばかりで、今後は世界規模のバーチャルイベントを計画中だ。

しばらくの間、バーチャルイベントが常態化するのは間違いないだろう。教育コンサルタント会社・タゴラスによると、ビデオ会議を開催した人の92%は、今後も開催する計画を立てている。

というわけで、会議出席者がバーチャル空間で処していく上でのヒントをいくつか紹介しよう。

<ツールを味方につける>

ビデオ会議の運営者は、ネットワーキングや双方向性を確保するために大変苦労して最新のツールを生み出しているので、これらを活用しない手はない。

基調講演の間は、チャットボックスを使えば他の参加者と感想を共有したり、質疑応答時間向けの質問を投稿したりすることができる。「ブレークアウト(グループ分け)」機能を使えば、特定の関心事項についてのチャットルームを開設したり、1対1の対話を行うことも可能だ。

モーニングスターは、仮想現実(VR)の採用まで試みている。9月の会議では参加者数十人にOculusのゲーム用VRヘッドセットと3Dゴーグルを手配し、実際に現場にいるような気分を味わってもらった。

<前もって準備を>

実際に人と会う会議の方が、ビデオ会議よりずっと「ゆるい」ものだ。知り合いに出くわし、ホテルのバーで一杯やり、会場で別れ際に夕食の約束を取り付けられる。しかし、オンラインで会いたい人と会うためには、ずっと入念かつ戦略的な準備が必要になる。

参加者リストを点検し、接触すべき展示者あるいはスポンサーを調べ、講演者やプレゼンターとつながる。

会議の後、ツイッターやリンクトインなどのソーシャルメディアに感想やまとめを投稿すれば、今後も長続きする関係を築くための土台となる。

<邪魔は最小限に>

快適な自宅のキッチンから会議に参加することには、多くの利点がある。出向かなくて済むし、感染リスクもなく、経費は抑えられる。

モーニングスターのマーシャル氏は「現実空間の対面型の会議では、その間に他の一切から離れ、会議だけに集中することができる」と認める。

「自宅では、気が散るものをすべて遠ざけるのが難しい。だから時には携帯電話をオフにすること。そして常にマルチタスクをしようとするのは、やめた方がいい」

愛犬や子供たち、仕事上の電子メールなどの邪魔や中断はつきものだが、オンライン会議なら後からまた戻って、コンテンツにアクセスすることが可能だ。

<長所に目を向ける>

コストの低さもビデオ会議のメリットだ。タゴラスによると、ビデオ会議の約70%は従来の会議よりもコストが低く、しかも「大幅に」低いことが多い。

スリーニバサン氏は「以前ならできなかった事が、できるチャンスと考えよう。こうしたイベントは以前、密室で行われ、チケット代は高く、場所は遠かった」と話す。

「今では毎日、世界中の魅力的な人々と重要な問題について話す機会がある。世界中を回って1日中、興味深い人々の話に耳を傾けられる」

(Chris Taylor記者)

Reuters
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