11月23日、バイデン米政権がガソリン価格押し下げを狙って日本や中国などと共同で石油備蓄放出に踏み切った一方、シェール企業による増産に向けた再投資の動きは鈍化している。写真あ2019年8月米テキサス州ミッドランド近郊のシェールガス採掘場で撮影(2021年 ロイター/Jessica Lutz)

米シェール業界の再投資鈍化、ガソリン値下げ目指す政権と足並みそろわず

[23日 ロイター] - バイデン米政権がガソリン価格押し下げを狙って日本や中国などと共同で石油備蓄放出に踏み切った一方、シェール企業による増産に向けた再投資の動きは鈍化している。政府と米石油業界の溝が深まっていることが改めて示された格好だ。

ライスタッド・エナジーのデータによると、米シェール企業が事業で得た現金を原油・天然ガス掘削のために振り向ける比率は第3・四半期に46%と、長期平均の130%を大幅に下回って過去最低を記録した。これらの企業が配当や自社株買いを通じて株主への現金還元を優先している様子が見て取れる。専門家の話では、この再投資率は今後さらに低下する可能性もある。

米シェール企業が目指す来年の生産量の伸びは横ばいから5%で、来年12月までの増産幅は最大でも日量50万バレルにとどまる、というのがライスタッドの見通し。こうした生産ペースで推移していることで、米国の石油生産量はピーク時を下回り続けている。過去最高の生産量は2年前に記録した日量1297万バレルだが、来年は平均で1190万バレルと予想されている。

EOGリソーシズやダイヤモンドバック・エナジーといったロイターが取材したシェール企業は、今回の石油備蓄放出についてコメントを拒否した。ただ増加する利益のうち投資に回す分を控えめにしていることから、原油価格上昇時に思い切って増産に動いた過去の行動にはもう戻らない様子がうかがえる。調査会社クリアビュー・エナジーのマネジングディレクター、ケビン・ブック氏は「潤沢なシェール生産はかつて市場の不安を和らげてくれたが、もうそれは存在しない」と述べ、業界が慎重姿勢に転じたとの見方を示した。

プリトリアン・キャピタルのハリス・クッパーマン最高投資責任者は、バイデン大統領がパイプラインを撤去し、許認可の面で混乱をもたらしており、それが企業の事業展開を難しくしている」と指摘する。

米国石油協会(API)も、バイデン氏が新規パイプライン設置を認めず、連邦用地のリースを停止していることが、業界の投資抑制の原因だと批判。APIのチーフエコノミスト、ディーン・フォアマン氏は、政権が予見可能な将来に化石燃料の全廃を望んでいる以上、業界の資金繰りがより厳しくなると再投資に消極的な事情を説明した。