中国北京、バス運転手に電子ブレスレット装着要求 党大会前で監視強化

2022/09/26
更新: 2022/10/21

10月16日に5年に1度の党大会を控える中国共産党政権は首都・北京市と周辺重要都市の治安維持を強化するため、長距離バスの運転手に対して、監視用の電子ブレスレットを装着するよう要求した。専門家らはプライバシーの侵害だと批判している。

中国政府系新聞・北京日報21日付で、北京公共交通控股集団有限公司(以下は北京公共交通集団)は今月中旬、他省を結ぶ長距離バスや高速バスの運転手に、「身体反応・情緒感知装置」と呼ばれる電子ブレスレット1800個を給付したと報じた。

電子ブレスレットは運転手の体温、心拍数、血圧、睡眠、ストレスなどを監視し、「運転手の心身の健康」を守り、公共交通機関の安全性を高めるために使われる。北京公共交通集団は随時、これらのデータにアクセスできるという。

中国の王琮瑋弁護士は香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストに対して、近年、中国では重大な交通事故が頻発しているためだと推測。いっぽう、「バス運転手の個人情報をたくさん収集する必要があるのかについて、考えなければならない」と指摘した。

香港大学ロースクールの何維倫准教授は「情緒や健康状態に関する電子ブレスレットの信頼性と正確性に着目すべきだ。正確でないデータは、不公平な扱いやいじめなど、必要のない苦痛をもたらすからだ」と批判した。

中国政府はここ数カ月、電子ブレスレットを通し、国民への監視を強化している。

北京市昌平区などの住民は7月、地方から北京市の自宅に戻り隔離している間、7日間の電子ブレスレットの着用を政府に命令されたとSNS上で訴えた。電子ブレスレットはスマホの専用アプリと接続しているため、体温などのデータが自動的に関連機関に報告される。一部のコミュニケは住民の強い反発を受けて、電子ブレスレットの装着要求を撤廃した。

四川省成都市は3月、電子ブレスレットとスマホのGPS機能で、犯罪容疑者や保釈された被告人らへの監視を始めた。

張哲
張哲
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