【菁英論壇】李克強の死と習近平の混乱  中国は新たな局面へ(1)

2023/11/02
更新: 2023/11/02

中国共産党(中共)の李克強前首相(68)は休暇中の上海で水泳中、心臓発作を起こし、急遽の治療にもかかわらず命を落としたことになっている。李氏の突然の死が、中国全土を大きく揺るがしている。

だがこの公式見解には 多くの疑念が寄せられている。多数の市民が、李克強氏が自然に心臓疾患で死去したのではなく、「心臓疾患にされた」と考えているのだ。

その上、李克強氏が上海の東部のホテルで休養中であったのか、もしくは何らかの制限下にあったのか、という疑問がネット上で取り沙汰されている。

李氏の死去を受け、中国共産党は情報の封鎖を実施し、この出来事に対する社会の関心を抑えようとした。しかし、人々の間に大々的に李克強氏を追悼する動きが現れた。これは、1976年の周恩来の訃報や、1989年の胡耀邦の死と同じように、中国の政治や社会に大きな変化をもたらす可能性があるとの見方が強まっている。

李克強の突如とした訃報、背後に潜む疑問

中文「大紀元時報」の総編集長、郭君氏は新唐人テレビの『菁英論壇』にて以下のように指摘した。

医療技術が現在ほど進んでいなかった時代、李克強氏のような高い地位にある指導者の中で最も早く死亡したのは胡耀邦で、彼は73歳で亡くなり、その前は周恩来で77歳での死であった。他の共産党の指導者たちは、80代、90代、あるいは100歳を超えてからの死が多かった。そのため、現代の先進医療技術下で、李克強氏が68歳で急死したことは、多くの疑問を生じさせている。

中国共産党の政治局以上の役職にある者、すなわち国の副首相クラスの要職にある人々は、医療面での制約が一切なく、最先端の技術や専門家の診療を受けることができる。彼らの年間医療費は数千万元にも上ると言われている。李克強氏のようなトップリーダーは、常日頃から専門の医療チームに囲まれており、少なくとも4〜5人の医師や看護師が健康を監視しているのである。

現代の医療技術により、人工心肺を活用すれば人体の血液循環を維持することができ、心筋が全て壊死しても、この外部の心肺補助(ECMO)を使用すれば、一時的に生命を保つことができる。多くの高官が死亡前の長い期間、そうした外部の心臓の助けを借りて、ほぼ植物状態で生命を保っているとされている。

生命維持装置を利用することは一般的と言えるが、李克強氏に対してこのような措置が取られていないことは不思議である。

上海にはかつて西郊ホテルというものがあり、迎賓館としての機能を果たしていた。しかし、新しく建てられた東郊ホテルは、さらに豪華で、西郊ホテルの迎賓館としての地位を引き継ぎ、中共の指導者や外国の来賓は、この東郊ホテルを利用することが普通である。 

一部の情報によれば、江沢民は晩年に東郊ホテルで生活していた。その選択の理由はホテルの良好な設備にあったと考えられる。東郊ホテルの警護は北京の中央警護局が行っており、上海側からの干渉は許されていない。このことから、江沢民は実際には東郊ホテルに軟禁されていたような状態であったと言われている。 

李克強氏が東郊ホテルでの休養を公式に発表しているが、江沢民と同様に彼も軟禁されていたのではないかという意見が一部には存在する。習近平氏が南アフリカを訪問した際、李克強氏が突然敦煌に現れたことは、インターネット上で話題となり、習氏の不快感を引き起こしているとの報告がある。 

最近、中央規律委員会が、かつての中央政治局常任委員である汪洋氏と胡春華氏の家族に対する調査を開始したとの情報が出てきており、習近平氏が青年団派への介入を開始したのではないかという推測が生まれている。これらの情報を組み合わせると、李克強氏の死に関する何らかの背景が存在するのではという疑念が持たれる。 

政治評論家の横河氏は『菁英論壇』で、李克強氏が東郊ホテルで健康状態が悪化し、その後、曙光病院に搬送された経緯に疑問を提起している。 

東郊ホテルは、迎賓館としての役割を果たしており、ホテルのサービスや設備は、北京の迎賓館と同様のものが揃っていることが予想され、指導者の健康を確認するための施設や緊急時の対策が整っているはずである。このような施設で突如として近くの病院を探し、搬送する必要が出る事態は通常考えられない。 

また李克強氏自身、スタッフチームに常時監視されているため、突然の心臓の障害により倒れる可能性は低いと考えられる。 

横河氏は「米国では、一般市民であっても、退職後に心臓や冠状動脈の機能を定期的に診断することが必要である。中国においても、医療保険を有する場合、基本的には定期的な健康診断を受けることが期待される。国家の指導者である彼の健康状態は、冠状動脈の太さや運動量など、細かく監視されており、簡単に水泳をさせることは考えにくい」と指摘する。

(続く)

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