ドナルド・トランプ米大統領は3日、メキシコとカナダからの輸入品に課す予定だった25%の追加関税発動を1か月間停止すると発表した。両国が不法移民や合成麻薬の流入阻止に向けた国境警備強化策を約束したことが理由とされる。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領との電話会談後、トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「メキシコが1万人の兵士を即時配備することで合意した」と表明。関税停止期間中に両国当局者が追加対策を協議する方針を示した。シェインバウム氏もX(旧ツイッター)で「アメリカへの麻薬流入阻止に向け国境警備を強化する」と確認している。
カナダのジャスティン・トルドー首相も同日、13億カナダドル(約1400億円)を投じた国境監視強化策を発表。24時間体制の監視システム導入と米加合同の麻薬対策部隊創設を明らかにした。これを受けトランプ氏は「カナダとの関税発動を30日間停止する」と追って表明した。
両国への関税は当初2月4日午前0時1分(米東部時間)からの発効を予定していたが、新たに、発動日を「3月4日」に設定した。
中国への10%追加関税については4日発効予定のまま維持しているが、トランプ氏は3日に「24時間以内に習近平国家主席と協議する」と述べていた。
今回の関税措置は「アメリカへのフェンタニル流入阻止」が名目で、800ドル未満の小口輸入品への免税制度(デミニミス・ルール)停止が含まれている。中国EC大手の「SHEIN(シーイン)」や「TEMU(テム)」のビジネスモデルに影響を与える可能性がある。
アメリカ株式市場では3日、S&P500が0.76%下落するなど関税政策への不安を反映した。自動車産業界からは「関税発動でアメリカ企業のメキシコ工場が打撃を受ける」と懸念が示されている。
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