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来年4月施行「自転車青切符」反則金制度とは何か 対象違反・金額・注意点

2025/04/25
更新: 2025/04/25

2026年4月1日から、自転車の交通違反に対し、「青切符」(交通反則告知書)による反則金制度が導入される。この制度は、これまで自動車やバイクに適用されてきた軽微な交通違反に対する反則金制度を、自転車にも広げるものである。自転車利用者を対象にしたこの仕組みは今回が初めてである。

警察庁は制度導入の背景として、自転車が関係する交通事故の増加と深刻化を挙げている。全国の交通事故件数全体は減少傾向にある一方で、自転車関連の事故件数は近年増加しており、2023年には約7万件と、2年連続で増加した。特に死亡や重傷事故の約7割では、自転車側の信号無視や一時不停止、前方不注意といった違反行為が関係している。これまでの警告中心の取り締まりでは、十分な抑止力を発揮できていないという課題が顕在化していた。

主な違反行為と反則金額

青切符制度の対象となるのは、16歳以上の自転車利用者である。反則金の対象となる違反行為は113種類に及ぶ。代表的な違反例として、信号無視、一時不停止、右側通行(逆走)、歩道通行区分違反、スマートフォンや携帯電話の「ながら運転」などがある。

反則金額は、信号無視が6千円、一時不停止が5千円、スマホ「ながら運転」が最高1万2千円、並走や二人乗りが3千円、傘差し運転やイヤホン使用が5千円と定められている。

 

これまで自転車の違反に対しては、悪質なケースを除き、警告や指導にとどまる対応が取られてきた。その結果、違反に対する抑止力が弱く、ルール軽視や違反の常態化が進行していた。また、自転車は免許不要で誰でも利用できるため、交通法規の理解や遵守意識が不十分な利用者も多く、事故増加の一因となっている。加えて、スマートフォン操作やイヤホン使用、酒気帯び運転といった新たな危険行為も近年増加しており、重大事故につながる例が目立っている。

警察庁は、青切符制度の導入によって、自転車利用者に対しても自動車やバイクと同様の実効性ある取り締まりを実現し、交通ルールの遵守を強く促す姿勢を示している。反則金を科すことで違反行為の抑止効果が高まり、事故防止や被害者保護にもつながる。さらに、自転車利用者が加害者となる事例も多いため、「自転車も車両である」という意識と責任を社会全体に浸透させる狙いもある。

制度への賛否と主な懸念点

青切符制度には賛成意見が多く寄せられる一方で、反対や懸念の声も存在する。以下に主な意見を紹介する。

交通インフラ未整備のままの厳罰化への疑問

「自転車専用レーンの整備が進んでいない」「路上駐車が多く、車道の走行が危険」といった現状で、歩道走行を取り締まることに対して疑問を呈する声が目立つ。例えば、「歩道走行を禁止するなら、自転車専用レーンを全道路に設けてほしい」「路上駐車で通れないから歩道を使っているのに罰金を取られるのか」といった意見が代表的である。

子供や高齢者への適用とルール周知の難しさ

自転車は免許が不要で、子供や高齢者を含む幅広い世代が利用する。そのため、「交通ルールが十分に浸透していない状態で、いきなり罰金を科すのは過酷である」「違反かどうか分からないまま処罰されるケースが増えるのではないか」といった不安の声が寄せられている。

生活手段としての自転車利用への影響

「幼児を同乗させている場合、歩道の利用はやむを得ない」「生活道路での取り締まりが厳しくなると、日常生活に支障が出る」といった、生活の足として自転車を使う人々からの懸念も見逃せない。

順序の逆転を指摘する声

「まずはインフラ整備や交通教育の充実が先であり、厳罰化はその後に行うべきである」との意見も根強い。制度の実効性を高めるには、取り締まりだけでなく、環境整備と啓発活動の両輪が不可欠である。