結婚率・出生率の急落と離婚率の上昇が止まらない中国で、このゆゆしき状況をどうにか改善しようと、中国政府は補助金支給や手続きの簡素化などの施策を講じた。
5月10日、中国当局は、新たな「婚姻登記条例」を施行し、結婚・離婚の手続きにおいて、従来必要だった戸籍書類(戸口簿)の提示を不要とするなど、手続きの簡素化を図ったが、しかし、手続き上昔よりいくらかスムーズになったということだけで、人々は結婚するだろうか?
「あまりにおめでたい発想だ。未来が見えない、夢も持てない、子を持つことが負債になる社会など、誰が進んで家庭を築こうとするのか」とする反発の声も多く、出生率や結婚率の低迷の背景に「将来への絶望感」があった。
住宅価格の高騰、教育費や医療費の負担増、雇用の不安定さのほか、中国特有の「子を持つことがリスクになる」という社会構造も関係する。
共産党政権下では、子供を「人質」のように扱い、大人を当局に従わせる手段として利用する場面も少なくない。例えば、政府に異を唱えた市民が「子供の進学や就職に影響するぞ」と脅され、沈黙を強いられたケースは後を絶たず、そのため、若者たちは「子供を持てば国家に弱みを握られる」との不安を抱き、あえて家庭を持たない選択をする傾向すら見られたのだ。「生まれ変われるなら、もう中国人にはなりたくない」と、ある若者によるSNS投稿は、数百万回シェアされた。そのコメント欄には、絶望を共有する声が相次いだ。
つまり、若者が結婚をためらう原因は、将来に対する漠然とした絶望感だ。これこそが最も大きな壁であるということが、政府にはわからない。将来への「希望の光」が見えない限り、どんな改革も無駄に終わるに違いなかった。
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