「美しく豊かな中国」──日本の大手メディアがしばしば描くそのイメージは、現実とはあまりに大きくかけ離れていた。
今、中国の一線都市・上海や広州の橋の下では、家賃を払えない配達員や出稼ぎ労働者が密集して眠る姿が日常で、大都市の陸橋下にびっしりと並べられた段ボールの簡易宿やテント、こうして橋の下に広がる光景は、大手メディアが報じない「もう一つの中国」の素顔である。
(橋の下で眠る中国の労働者たち)
なぜ世界第二の経済大国が橋の下で眠る人々を生み出してしまったのか?
なぜかつて「中流」と呼ばれた人々までもが貧困に追いやられているのか?
私たちはいま、隣国のこの現実を、真正面から見つめ直すべき時にきた。
企業の大量倒産、職の激減により、路上生活者は、若年層にも広がっており、中には女子学生の姿も見られる。
不動産不況などが地方財政を直撃するなか、こうした貧困の波は、公務員や教師といったかつての「安定職」にも及んでおり、「ボーナスカット」や「何か月も給与がもらえない」などの状況が、もはや日常茶飯事だ。

「給料を払え!」と横断幕を掲げるなどして、工事現場や企業前、地方政府の門前で抗議する労働者や経営者たちの姿も、今では、見慣れた風景となってしまった。経済成長の果てに残ったのは、不正と絶望ばかりで、私たちは今、問い直さねばならない──なぜ、中国はここまで崩れてしまったのか。
(「お願い、約束したお金をください、家族は今日食べる物もないんです」と国営企業の門前で担当者の足に抱きついて給料の支払いを求める労働者の女性、2024年11月19日、江蘇省連雲港市灌雲県)
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