【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

共産主義中国と貿易すべきか?

2025/06/19
更新: 2025/06/19

米国は中国と引き続き貿易を続けるべきか、それともデカップリングやリスク回避に舵を切るべきか? 中国は「人民の国」ではなく、1949年以降ずっと中国共産党(中共)によって上意下達で統制されてきた。

中共の政権維持を最優先し、国全体や国民の福祉を二の次とする国家と、我々は今後も貿易を続けるべきなのだろうか? 少数民族にとどまらず、全市民を常時監視し、社会信用スコアを含む広範な管理体制を敷く体制と、果たして対等な取引が成立するのか? 

強制労働と杜撰な品質管理のもとで、安価な製品を大量に生産する体制と、私たちは本当に取引を続けるべきなのか? 他国の知的財産を盗用し、海外からの投資や人・物の流入を恣意的に制限する体制と、果たして健全な関係を築けるのか? あらゆる宗教を弾圧し、言論の自由や政権批判を徹底的に封じる無神論的な国家と、私たちは協力し続ける道を選ぶべきなのか? 

生きた健康な人間から臓器を強制的に摘出し、年間数千件にのぼる移植手術を行っている事実がありながら、その実態を一貫して隠し続けている国家と、果たして私たちは経済的な関係を維持すべきなのか? 国外に住む自国民にまで監視と圧力を及ぼし、政権に批判的な言動を封じ込めようとする体制と、私たちは、果たして信頼を前提とした取引を続けられるのか? 

中共は他国に無許可の「海外警察拠点」を設け、海外在住の中国人に対して忠誠を強要して、「一帯一路」構想と一方的な貿易体制のもとで、世界中のレアアース資源をかき集め、発展途上国を債務の罠に陥れて、その支配を強めようとする。そこに、人間的な互恵性は存在すると言えるのだろうか? 

米欧諸国では、「孔子学院」と称する機関が多くの大学に設置されてきた。孔子とは本来、孝や徳を説いた古代中国の思想家であり、教育と礼節の象徴とされてきた。しかし、これらの学院は、その名とは裏腹に、孔子の思想とは無関係であり、中共政権による人権侵害や弾圧の実態を覆い隠し、体制に都合のよいプロパガンダを広める役割を果たしているだけである。であれば、その実態に即して「共産党学院」あるいは「プロパガンダ学院」と名称を改めるべきではないか?

防衛の範囲をはるかに超えた軍備拡張を進め、アジア全域で影響力を強めようとする国家と、私たちは引き続き貿易を行うべきなのか? 中共はアフリカや中南米の戦略的港湾を商業と軍事の両面で掌握しようとし、さらに多数の港湾用クレーンに、スパイウェアを仕込んで情報を収集しているとも指摘されてきた。

サイバー攻撃や偽情報の拡散、さらには経済・軍事・政治を含む「超限戦」の手法を駆使して、世界支配を目論む体制と、私たちはなお取引を続けるべきなのか? 中共は米軍基地への浸透や周辺土地の買収を試みる一方で、中国国内では同様の行為を一切許さず、厳しく制限してきた。このような一方的な相手と、果たして誠実な交渉が成り立つと言えるのだろうか?

日米欧を中傷し、共産主義政権を称賛するプロパガンダをSNS上で拡散する中共の代弁者たちを、私たちはどうして信用できるのか? 2020年初頭、COVID-19を世界中に拡散させながら自国の都市を厳格に封鎖した中共は、その後、発生源が武漢であるという事実を隠蔽し、責任を他国へ転嫁しようとした。

特に危機的な状況において外国の選挙に介入し、エリート層の取り込みを狙う誘惑手段で、他国の指導者を腐敗させようとする中共と、私たちはいかに交渉すればよいのか? さらに中共は、製造・流通目的で致死性の高いフェンタニルの前駆物質を、メキシコに輸出しているという深刻な問題も生み出してきた。

中共政権との均衡ある貿易は、もはやほとんど不可能となり、その理由は、中共が世界貿易機関(WTO)が定める公正な貿易ルールを順守せず、国連海洋法条約にも背き、海上交通路の安全確保を怠ってきたからだ。加えて、自国民の基本的な生活ニーズすら満たさず、輸出主導の体制のもとで、過剰生産した製品をダンピングし続けてきた。さらに関税合意を回避し、輸入制限を設け、通貨操作によって、他国に貿易赤字を強いるなど、あらゆる国際条約を軽視する姿勢が明らかであった。

中共は常に二枚舌を使い、公正な貿易や国際規範、法の支配を掲げながら、実際にはその真逆の行動を繰り返してきた。自由諸国は、国家安全保障を脅かす共産主義中国との貿易から、段階的に距離を置く時期に来たのだ。

デカップリングには、軍民両用技術や医薬品、レアアースといった戦略物資の管理が含まれ、これを怠れば、自らの安全保障を損なう自滅行為となりかねない。ただし、米中双方の労働者の利益を考慮しつつ、安全保障に影響を及ぼさない物資の貿易は継続すべきである。グローバルなサプライチェーンと貿易には、道義的な側面が不可欠なのだ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
カリフォルニア州オレンジ郡を拠点とする教育者、指導者、アメリカ沿岸警備隊(USCG)の退役軍人、そして作家。カリフォルニア州立大学フラートン校で修士号を取得し、同大学では学生グループの指導や識字教育プログラムに関わっている。関心分野は、文化、経済、教育、国内および外交政策、さらには軍事問題に及ぶ。