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北京市 夏休みの帰京を前倒し通知 抗日戦争勝利パレード控え移動制限強化

2025/07/25
更新: 2025/07/25

7月22日、北京市当局は、管内の学校に対し、教師および学生の夏休み期間中の帰京日程を、大幅に前倒しする内部通知を発した。この通知では、「教師は8月中旬までに帰京」「学生は8月下旬までに北京市内に戻ること」、さらに「8月20日以降は原則として北京市外への移動を認めない」と明記しており、9月3日に予定されている中国共産党主導の「抗日戦争勝利80周年記念パレード」に向けた異例の措置と見ている。

この通達によって、北京市内の教育現場や保護者の間には、突然の変更に対する困惑や反発が広がった。

各地の通知内容と現場の反応

北京市大興区の教員は、「8月15日までの帰京」を学校から指示された。また、生徒に対しても8月21日までに北京市に戻るよう求められ、外国籍の親族との接触に関する報告義務も課した。東城区の中学校でも同様の指示が出ている。

大興区亦荘地区の保護者によれば、子供に伝えられた帰京日程は「8月20日まで」としていた。「夏休み開始時の話では20日ではなかったが、直前に通知が来たため理由は不明」と述べ、混乱が広がっている。西城区の別の保護者は、「8月18日までの帰京」を求められたと明かし、「9月3日の大規模軍事パレード準備に関連して、観光目的での訪京は早めるか10月以降にずらすよう推奨している」と語った。

東城区に在住する小学1年生の保護者は、「8月20日以降は北京市から出ないように」と厳格なルールが示されたと話す。さらに、今年から新たに小学1年生全体を対象とした集団入学研修を導入した点にも言及し、「進級年(中三・高三)に限らず、小学生まで対象とした措置は前例がない」と驚きを示した。

このような対応により、教師や保護者のみならず、一般市民の間でも「会社は8月から北京離れが制限される」といった声が上がり、北京市全体が強い統制下に置かれつつある様相を呈した。

背景にある「管理と社会の安定の維持」

現地作家の蔡慎坤氏は、今回の異例措置について「学生を夏休みのまま各地に分散させた状態では統制が難しい。9月3日の大規模軍事パレード期間中に学生が移動していれば、予期せぬ事態に対応しきれない。そのため、あらかじめ全員を北京市内に集めることで、当局にとって都合のよい管理体制を構築できる」と分析した。

さらに蔡氏は、「移動実態の把握も当局の狙いであり、学校側が学生の行動を監督し、不穏な動きを報告する責任を負うようになる」と述べた。特に重大行事の前には、「思想学習」や「行動審査」などを通じた徹底的な統制が強化される傾向が強いと指摘した。

北京市内で「空域制限区域」設定

7月16日、北京市政府は、東城・西城・朝陽・海淀など9つの主要区を「空域制限区域」に指定した。これにより、無人機や模型飛行機などの飛行を全面的に禁止し、空中秩序の維持および治安対策を強化中だ。重大イベント時における市内外の出入りや活動の厳格な管理は、かねてから常態化してきたが、今年は大規模軍事パレードを控えて特に厳格な対応が目立つ。

教師・保護者からの不満と困惑

保護者や教員からは、「旅行の計画を立てて飛行機も予約済みであるにもかかわらず、帰京命令が出た場合の対応が不透明だ」「突然の通知で生活の予定が大きく狂った」「規定の根拠が不明確で納得できない」といった声が相次いだ。

北京市以外でも、上海では「8月20日以降の北京入り自粛」や「主要イベントの前倒し」などの通達が発せられており、全国規模で統制の波が広がっている様子がうかがえる。

駱亞