アメリカのトランプ政権は10月9日、中国の航空会社がアメリカとの間で運航する旅客便について、ロシア領空を飛行することを禁止する提案を発表した。米中航空会社間に存在する競争上の格差を是正する狙いであり、米中間航空便を巡る対立の新たな局面となっている。
長年、アメリカの航空会社は、米政府が一部の中国便にロシア領空飛行を認めてきたことを問題視してきた。この経路は飛行時間の短縮や燃料消費の削減につながり、中国側に有利な条件をもたらしている。
ロイター通信によれば、アメリカ運輸省は9日に公表した提案命令の中で「この不均衡は重要な競争要因となっている」と指摘し、中国航空会社のロシア領空飛行を禁止することで「米中航空会社間の競争格差を縮小する」と説明した。
ロシアは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、アメリカ政府がロシア発着便のアメリカ領空通過を禁止したことへの報復として、アメリカおよびその他の外国航空会社のロシア領空飛行を認めていない。
今回の提案は、中国国際航空(エアチャイナ)、中国東方航空、厦門航空、中国南方航空が運航する一部のアメリカ便に影響を及ぼす可能性がある。アメリカ運輸省は、中国航空会社に対し命令への回答期限を2日間とし、最終命令を早ければ11月にも発出する方針を示した。
一部のアメリカ航空会社は、ロシア上空を飛行しない場合はコストが増加するため、アメリカ東海岸から中国への直行便は採算が合わないと、トランプ政権に伝えた。
2024年2月、アメリカ運輸省は、2024年3月31日から中国の旅客航空会社がアメリカとの往復便を週35便から50便へ増やす可能性を示した。この水準はパンデミック前のおよそ3分の1に当たる。米航空会社にも週50便の中国便の運航が認可されているが、現状ではこの本数に達していない。
ロイター通信によれば、当時アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空などの企業および労働組合を代表するアメリカ航空輸送協会は、アメリカ運輸省と国務省に宛てた書簡で「中国航空会社は依然としてロシア領空へのアクセスにより優位に立っている。一方、米航空会社は2022年3月以降、ロシア領空を飛行できない状況にある」と指摘した。
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