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中国鉄鋼業 出口なき過剰地獄 世界鉄鋼協会「危機的水準」

2025/12/10
更新: 2025/12/10

世界鉄鋼協会は最近、中国の鉄鋼産業において、積年の課題である過剰生産がいっそう深刻化していると指摘した。主な理由は、中国のマクロ経済が鉄鋼業と密接に結びついており、生産削減を目的とした直接的な政策はいずれも、地方経済や雇用、さらには上流の原材料産業にまで連鎖的な打撃を与えるためである。同時に、11月の中国の対米輸出は二桁台の大幅減少が続いている。最近、両国間で貿易協定が締結されたにもかかわらず、中国の輸出低迷は止まっていない。

世界鉄鋼協会のエドウィン・バッソン事務局長はブルームバーグに対し、中国の鉄鋼業は過去20年間にわたり急速に拡張し、粗鋼の年間生産量は近年、10億トンという高水準を維持してきたと述べた。しかし、不動産市場の低迷と国内需要の弱さにより、鉄鋼業は新たな構造的な生産過剰の局面に直面しているとしている。

中国共産党(中共)政府は2016年から2020年の間に、一部の老朽化した製鉄所を閉鎖したものの、地方政府が鉄鋼企業に財政収入を依存していることに加え、民間・国有企業が交錯する産業構造になっている。また、雇用への圧力などが重なり、全国的な鉄鋼生産量は依然として高止まりしており、過剰問題は解消されていない。

国内需要の低迷が続く中、中国の鉄鋼輸出は歴史的な高水準に達している。今年の第1〜第3四半期にかけて、中国の鉄鋼輸出量は前年比9.2%増の8796万トンに達した。しかし、価格競争の激化が欧米やアジアの鉄鋼企業にも大きな圧力をかけている。

近年、ベトナム、タイ、メキシコ、ブラジル、さらには複数のEU加盟国が、中国の各種鉄鋼製品に対して反ダンピングや反補助金措置を導入しており、一部製品の関税は数十%に達している。

トランプ米大統領は今年初め、鉄鋼などの輸入品に追加関税を課したこともあり、世界の鉄鋼貿易環境は一段と緊張を増している。

中国・江蘇省鉄鋼協会の陳洪兵会長は、今後5年間で中国の鉄鋼直接輸出量は半減する可能性があり、これにより業界全体の構造が根本から再編されるだろうと分析した。

一方、中国の税関総署が12月8日に発表したデータによると、11月に中国の対米輸出は前年同月比で28.6%急減し、これで8か月連続の二桁減となった。今年8月以降では最大の下げ幅である。

輸入は前年同月比で1.9%増となったが、市場予想の3%を下回った。不動産市場の低迷と雇用不安が依然として国内の消費環境を抑制していることがうかがえる。また、米国からの輸入は前年同月比で19%減少した。

専門家らは、中米が貿易休戦に達したとしても、米国が中国製品に課す関税は依然として他国よりも高いと指摘している。データによると、米国による中国製品への平均関税率は約47.5%、中国が米国からの輸入品に課している関税は約32%となっている。