イラン政権内の対立鮮明 ホルムズ海峡めぐり方針二転三転

2026/04/20
更新: 2026/04/20

イランではこのところ、政策の二転三転が相次いでいる。ホルムズ海峡の再開放方針を急きょ撤回したことや協議代表団に最終決定権がないとみられることなどから、専門家は、外交部門など表に出る政府側と国内強硬派との亀裂が深まっているとみている。

アラグチ外相は4月17日、Xでホルムズ海峡の開放を表明し、トランプ米大統領もこれを歓迎した。だが、発表から24時間もたたないうちに、イラン軍上層部は方針を覆して海峡の再封鎖を表明し、高速艇で通航船を妨害、攻撃したため、一部の商船は引き返しを余儀なくされた。

イギリスの海事機関によると、オマーン沖付近ではタンカー1隻に革命防衛隊の砲艇が接近して発砲したが、死傷者は確認されていない。さらにイランはインド籍の船2隻も攻撃し、インド政府はイラン大使を呼び出して、安全な通航の早期回復を求めた。

イラン軍は「アメリカが港湾封鎖を続ける限り、ホルムズ海峡の封鎖も続ける」と主張している。これに対しトランプ氏は、イランが核兵器を完全に放棄するなどの実質的な合意に達しない限り、対イラン封鎖を続ける考えを示している。

ウォール・ストリート・ジャーナルが入手した録音では、革命防衛隊海軍の関係者を名乗る人物が海上無線で、ホルムズ海峡は閉鎖されたままで、通航には許可が必要だと警告していた。この人物は、海峡を開けるかどうかは最高指導者の命令で決まるのであって、(イラン外相の)Xでの投稿一つで決まるものではないとも述べた。

一方、革命防衛隊系のタスニム通信も、アラグチ氏がXで政策を発表したことを批判し、こうした発信のあり方を見直すべきだと主張した。強硬派のマフムディ議員は、アラグチ氏の発言が原油価格を下落させ、アメリカを利する結果になったと非難し、更迭を求めた。

また、最高指導者の後継者モジタバ師は、3月初めの就任以降、公の場に姿を見せていない。イスラエルの空爆で重傷を負ったとの見方や、死亡説まで流れており、政権中枢の実態をめぐる憶測が広がっている。

分析者らは、最近の政策の二転三転から、外務当局と軍を握る強硬派の間に温度差があるとみており、今後の米イラン協議に影響する可能性があると指摘している。

トランプ氏は、4月22日の停戦期限までに合意に至らなかった場合について問われ、「イランへの封鎖は継続する。その時には再び爆撃せざるを得なくなる」と述べた。

ウィルソン・センターのイラン問題専門家モハメド・アメルシ氏は、西側はイランを通常の国家のように捉え、外務省と合意すれば最終決定になると考えがちだが、「実際には土壇場で銃やドローン、高速艇を握る側が物事を決める」と指摘する。

クインシー責任ある国家運営研究所のトリタ・パルシ執行副所長も、現在は対米融和派より強硬派の反対論のほうが強く、それが重大な政治課題になっていると分析している。

テネシー大学のイラン安全保障部門の専門家サイード・ゴルカル氏は、ハメネイ師の死によって国内の不安定さが増し、各派閥の分裂と争いが激しくなっていると考えている。

呉瑞昌