スペースXが最大750億ドル規模のIPOを実施へ。個人投資家にも購入機会が広がる一方、需要はすでに過熱。参加方法、配分の実態、そして投資リスクまでを整理する。
6月12日、アメリカ・テキサス州に本社を置くスペースXが、初めて株式を公開する見通しである。これにより、投資家は同社株を直接申し込んで購入できるようになる。
今回のIPOは過去最大規模となる可能性があり、同社は上場後、米国企業の時価総額上位に入ると見込まれている。調達額は最大で750億ドル(約11兆7000億円)とされる。個人投資家への配分割合も従来より高くなる見通しであるが、規模が大きいため、機関投資家の保有も広がるとみられる。
ブルームバーグは関係者の話として、11日午後の時点で個人投資家からの申し込み額がすでに1000億ドル(約15兆6000億円)を超え、IPOは最終段階に入ったと伝えている。
投資家は何を把握しておく必要があるのか。

スペースXのIPOは何が異なるのか
スペースXは現在、マスク氏と複数の民間投資家が所有しているが、今回初めて株式を公開する。
同社は米東部時間11日夜に公開価格を決定し、12日にナスダック市場に上場する見込みである。ただし、今回の価格決定の方法は従来のIPOとは異なる。
通常のIPOでは、企業と引受証券会社が投資家の需要を踏まえて公開価格を決定する。価格は事前に示されたレンジの範囲内で設定されるか、上下に調整されることが一般的である。
一方、スペースXは目論見書で公募価格を1株135ドル(約2万1000円)と明示し、価格レンジを設けなかった。このため、今回の価格決定は形式的なものになるとみられる。
この価格を前提とした場合、調達額は約750億ドル(約11兆7000億円)、時価総額は約1兆7800億ドル(約278兆円)に達する見込みである。
スペースXの狙い
今回のIPOは、宇宙開発や通信事業などの拡大に向けた資金調達を目的としている。投資対象には、衛星通信、SNSの「X」、人工知能プラットフォーム「Grok」などが含まれる。
マスク氏は、調達資金を既存事業の拡大に加え、小惑星採掘や火星移住、宇宙空間でのデータセンター構築などのプロジェクトに充てるとしている。
同社の資料では、人類が単一の惑星に依存しない将来像が示されている。これについては実現性に疑問を示す声もあるが、これまでの実績を評価する見方もある。
上場後の企業価値は約1兆7500億ドル(約273兆円)と見込まれており、AI分野の競合であるAnthropicやOpenAIを上回る一方、アルファベット、アップル、マイクロソフト、アマゾンといった主要IT企業には及ばない規模となる見通しである。

誰でも株を購入できるのか
スペースXの株式は、ナスダック市場で取引される予定である。機関投資家に加え、個人投資家も一部の証券会社や投資プラットフォームを通じて購入を申し込むことができる。
同社は1株135ドルで、5億5000万株以上を売り出す計画である。
ブルームバーグによると、個人投資家からの申し込みはすでに1000億ドルを超えており、同社はおよそ20%を個人向けに配分する見通しである。ただし需要が大きく、すべての申し込みが満たされる可能性は低いとみられる。
投資判断は各自で行う必要があり、上場後は市場の評価によって株価が大きく変動する可能性がある。
また、年金基金や投資信託を通じて間接的に同社株を保有するケースも想定される。この場合、多くの個人資産が同社の業績の影響を受けることになる。

投資リスクと見通し
アナリストは同社の動向を注視しているが、株価の推移を正確に予測することは難しいとされる。
同社はこれまで、開発や生産の課題、政治的な議論などに直面してきた。特にAI分野は資金需要が大きく、不確実性も高いことから、評価額に対する懸念も出ている。
2025年の売上高は186億ドル(約2兆9000億円)で、純損失は49億ドル(約7600億円)だった。
目論見書では、継続的な損失計上と、今後も収益化できない可能性がある点がリスクとして示されている。
一部の投資家は事業の幅広さを評価する一方で、財務面の不透明さを指摘する声もある。現在の評価額を維持するには、今後の収益拡大が重要になるとみられる。
株主の影響力
上場後もマスク氏は80%以上の議決権を維持する見通しであり、経営の主導権は引き続き同氏が握るとみられる。
複数企業を同時に経営している点などから、経営への関与の度合いを懸念する声もある。一方で、同氏の影響力を評価する投資家も多い。
今回の上場が計画どおり実現すれば、マスク氏の資産規模はさらに拡大する可能性がある。
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