中国の対日レアアース輸出が停止 ガリウムなど4品目ゼロ 通商白書が供給網リスク警告

2026/07/21
更新: 2026/07/21

中国共産党(中共)税関当局が7月20日に発表したデータによると、中国は6月、日本向けにガリウム、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムをいずれも輸出しなかった。5月の状況からさらに悪化しており、外交摩擦を背景とした日中間の重要鉱物供給をめぐる緊張は、なお緩和していないことを示している。政府が6月に公表した2026年版『通商白書』も、中国のレアアース輸出規制とサプライチェーンへの影響を分析している。

中共税関が同日発表した6月の対外輸出データによると、日本向けのガリウム、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムの輸出はいずれもゼロだった。これらの製品の輸出は、数か月連続で極めて低い水準にとどまっている。

これに対し、税関が6月20日に発表した5月のデータでは、ジスプロシウムとテルビウムはほぼ輸出がなく、イットリウムはごく少量にとどまった一方、ガリウムは数か月ぶりに輸出を再開していた。また、中国の5月の対日レアアース磁石輸出は123トンで、4月の188トンから34.6%減少し、2025年5月以来の低水準となった。

中共による一年半の輸出規制

中国以外で、日本は世界最大のレアアース磁石産業を有している。しかし、他国と同様、一部のレアアース原料については依然として中国からの供給に大きく依存している。

経産省が6月に公表した『通商白書』(以下『白書』)は、「重要鉱物および関連製品のサプライチェーンは、少数の国に徐々に掌握されつつあり、上流・下流産業の双方にとってリスクとなっている」と指摘した。

『白書』はそのうえで、中共政権が2025年2月以降に打ち出した輸出規制を次のように列挙している。

2025年2月、中共商務省や税関総署などの輸出規制当局は公告を発表し、タングステン、テルル、モリブデン、ビスマス、インジウムなどの関連品目に対して輸出規制を実施した。

2025年4月、中共商務省はジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなど7種の中・重レアアースおよび関連磁性材料について輸出規制を実施すると発表した。

2025年10月、中共側は規制対象をさらに拡大し、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの5種のレアアースと関連材料を規制リストに追加した。さらに、海外にある関連レアアース品目や再輸出も管理対象に含め、中国由来の特定レアアースを含む製品については、たとえ第三国で製造した場合でも、中国側の許可が必要となるとした。

2026年1月、中共商務省は、日本向けの軍民両用関連物資の輸出管理を強化すると公告した。

2月には一部の日本企業を規制リストや注視リストに加えた。その後、規制対象品目を日本へ輸出する場合、中共の規定に基づいて輸出許可を申請する必要が生じた。中共は、最終用途、最終使用者、企業リストなどに基づき、輸出を認めるかどうかを判断できるようになった。

昨年2月、中共がレアアース輸出の管理を始めた背景には、米中間の技術・貿易摩擦の激化があった。

昨年11月、高市早苗首相が国会答弁で、「台湾有事」が日本の「存立危機事態」に該当する可能性に言及したことに対し、中共当局は強く反発した。その後、中共側はレアアース輸出への制限を強め、日本経済に打撃を与える狙いを見せた。

サプライチェーンへのリスクと対応

『白書』は、「サプライチェーンリスクは、国家経済を左右し得る時代に入った」と指摘している。

続いて『白書』は、中共政権によるサプライチェーン操作が日本に与える影響について、「中国のグローバルバリューチェーンへの影響力は大きく、供給途絶等のサプライチェーンリスク。サプライチェーンリスクを低減し、貿易の安定性を確保するためにもルールが重要」と述べた。

レアアースの調達先をどのように広げるかについて、『白書』は供給源の多角化を提起している。共通のルールを持ち、政治的に安定した国々とのサプライチェーン構築が必要だとし、その対象として、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダなどのG7各国、オーストラリア、東南アジア諸国、インド、その他の資源国を挙げている。

『白書』はさらに、資源国との協力も必要だとし、とくに鉱山開発、精錬能力、加工技術、投資協力を重視している。白書が掲載した図表には、中国が多くの重要鉱物の精錬工程で非常に高いシェアを占めていることが示されており、この点が懸念となっている。

また、『白書』はリサイクル利用の重要性も強調している。これは、日本の資源戦略で以前から重視してきた「都市鉱山」の考え方である。都市部にすでに存在する廃棄製品を一種の鉱山とみなし、そこから有価金属を回収することで、地下から新たに採掘する鉱物だけに依存しない体制を目指すものだ。

レアアースについては、廃棄した電子製品、廃棄スマートフォン、古いモーター、産業機械などから回収し、材料の循環利用率を高めることで、新たな鉱山資源への依存を減らすことを想定している。

『白書』はまた、国内技術や代替材料の活用によって重レアアースの使用量を減らすこと、レアアースを使わない、または使用量を抑えたモーターを開発すること、磁石材料の効率を高めることにも言及している。日本企業はすでにこうした取り組みを進めており、風力モーターや風力発電などの分野では、レアアースの使用量を減らす研究を進める企業もある。

『白書』は日中貿易全体について、日中の経済関係は依然として重要である一方、中国に過度に集中したサプライチェーンは経済安全保障上のリスクになっていると評価している。日本は今後、貿易関係を維持しながらも、脆弱性を低減していくとしている。

李思斉