「中国ショック3.0」は、国際社会が中国経済とその戦略的拡張を改めて見直す上で、新たな概念となりつつある。
「中国ショック1.0」「中国ショック2.0」と異なり、学者らは、新たな「中国ショック」が法律、人工知能(AI)、国防・安全保障、世界の産業チェーンなどの分野にまで広がり、米国と世界の産業構造に一層深刻な影響を及ぼしていると指摘する。国際社会に対し、速やかに連携して対応するよう呼びかけている。
分析「中国ショック3.0」は法律を武器化
台湾・政治大学国際関係研究センターの上級研究員、宋国誠教授は24日、番組「新聞大破解」で、独自の視点から「中国ショック3.0」を分析した。中国共産党(中共)による法律の域外適用、広範なスパイ活動、世界規模の浸透工作も、「中国ショック3.0」の表れだと指摘した。
宋氏によると、「中国ショック3.0」は過去2回と異なる。これまでの影響は主に経済・貿易分野に集中していたが、「3.0」の衝撃は経済や貿易にとどまらず、国際軍事、安全保障、法律などの分野へ広がっている。中共はこれらの分野で対外拡張を進め、外部への脅威を拡大し、「より大きな破壊力を生み出している」という。
宋氏は、中共による「中国ショック3.0」には主に、法律の武器化、人間関係を利用したスパイ活動、AIを使った包囲網への対抗戦略という三つの形があると分析した。
台湾国家安全会議の呉釗燮秘書長は8月22日、中共が「インターネット情報サービス管理規則」の制定を進めていると警告し、台湾を弾圧する新たな手段として利用されることへの警戒を呼びかけた。
宋氏は、中共の狙いは中国本土の内部統制だけではなく、主として法律を道具に台湾へ越境弾圧を行うことにあるとみている。中共は「一つの中国」の名の下、世界規模の法律戦を展開しているという。
中共の法政策は台湾で直接効力を持たないものの、第三国・地域を通じて間接的に影響を及ぼす可能性がある。例えば、マレーシアは中共政権との間で犯罪人引渡条約を結んでいる。宋氏は、中共のこうした動きに対抗する必要があると訴えた。
米国の国防戦略を脅かす
英語版大紀元のコラムニスト、アンダース・コール(Anders Corr)氏は6月16日付の記事で、北京がAI分野で占める地位により、「中国ショック3.0(China Shock 3.0)」が米国へ深刻な打撃を与える可能性があると警告した。米国の国家安全保障に関わるAI分野に対する中共の影響を厳重に防ぐよう呼びかけた。
『アジア・タイムズ』(ASIA TIMES)が4月14日に掲載した学者ビム・ブルテル氏の記事は、米国とイランの戦争の状況から「中国ショック3.0」がすでに米国の国防戦略を脅かしていることが分かると指摘した。
一方、中共の国営メディアは、西側が提起する「中国ショック3.0」に強く反論し、中国の輸出拡大は世界にとって市場の締め出しではなく、「イノベーションの恩恵」であると主張した。
「中国による圧迫」北京の輸出戦略
インドの経済学者ショウミトロ・チャタジー氏とアルビンド・スブラマニアン氏は6月18日、米誌『フォーリン・アフェアーズ』に「中国は後続のためのはしごを外そうとしている」と題する記事を発表し、「中国による圧迫(China Squeeze)」という概念を提起した。
その後、一部の論評は、この「中国による圧迫」を「中国ショック3.0(China Shock 3.0)」と関連付けている。
両氏は記事で、従来の「中国ショック」を巡る議論では、中国の輸出が米国や欧州の労働者に与える影響が主に注目されてきたと指摘した。しかし現在、より注目すべきなのは、中国の輸出競争力によって、貧しい国々が労働集約型製造業を発展させる本来の機会を失う可能性があることだという。
両氏は、低技術の労働集約型製造業の輸出において、中国は現在も世界市場で非常に大きな割合を占めており、貧しい国々が労働集約型製造業と輸出を通じて工業化を実現するための余地を圧迫していると論じた。
記事の副題は「北京の輸出戦略はいかに貧しい国々を貧しいままにするのか」となっている。
「中国ショック3.0」産業チェーンを掌握し、世界に衝撃
インドの両学者による「中国による圧迫」論は、「中国ショック3.0」の原型とみなされている。しかし、その1年前には、日本の学者がすでにこの概念を明確に提起していた。
2025年8月29日、米国研究センターが第2回経済安全保障対話シリーズを開催し、東京大学教授の宗像直子氏が招かれて講演した。宗像氏は講演で「中国ショック3.0」という概念を提起した。
内閣総理大臣秘書官を務めた宗像氏は、中国共産党が体系的に産業チェーンを構築し、世界へ及ぼしている衝撃を「中国ショック3.0」と呼んだ。
宗像氏によると、中国が世界貿易機関(WTO)へ加盟して間もないころ、宗像氏はワシントンで勤務していた。当時、中共による規則順守の問題を指摘する声が少なくなかった。宗像氏は、中共が進める「自主イノベーション」計画について知ったという。
宗像氏は、中共政権の戦略には主に三つあると指摘した。合弁事業を通じた技術導入、現地化と現地調達の優先、巨額の補助金による国家的な有力企業の育成である。
中共は2006年2月、「国家中長期科学技術発展計画綱要(2006~2020年)」を発表した。同綱要は、外部の供給網に依存することには危険があり、真の中核技術は買うことができないとした。
宗像氏は、これは警戒を要する兆候だったと分析した。2008年に日本政府で勤務していた宗像氏は、WTOのルールに基づいて不合理な産業政策の問題をどのように解決するかを検討したが、最終的には実現しなかったという。
2010年に尖閣諸島を巡る事件が発生した後、日中関係は次第に悪化した。中共による日本向けレアアース輸出の制限から、現在の複数の重要鉱物資源と関連技術に対する規制強化まで、その動きは中共による30年に及ぶ戦略的布石がさらに変化したものであり、この戦略分野を強固に掌握する方針と一致していると宗像氏は指摘した。
中国共産党、産業チェーンを政治的手段として支配し、競争相手を妨害
宗像氏は講演で、中国共産党は2010年代から「中国ショック3.0」に向けた準備を進めてきたと述べた。「中国製造2025」などの計画や、民生技術を軍事目的に利用できるようにする軍民融合政策も、その一部だという。
中国へ投資した国際企業の多くは、同じような経験をしている。事業は当初歓迎され、速やかに認可される。その後、技術を現地化するよう圧力を受け、続いて中国の有力企業が急速に能力を高め、最後には当初の協力相手が取って代わられる。宗像氏は、「どの企業も、これを事前に完全に予見することはできなかった」と指摘した。
宗像氏によると、中共は2020年4月、管理可能な産業チェーンと供給網を構築し、国際的な供給網を中国へ依存させる方針を明確に打ち出した。多くの証拠は、中国の供給網が政治的手段として利用されていることを示しているという。
中共がその後講じた措置には、海外での上流資源の確保、国内における中流工程の生産能力拡大、第三国での下流工場の建設も含まれる。中共は政策面からこれらの海外事業を支援するとともに、重要な投入財に対する輸出規制を実施している。
宗像氏は、自身が「中国ショック3.0」と呼ぶものは、上流資源から中流の部品、さらに下流システムの支配に至る、こうした垂直統合を指すと説明した。この支配は、競争相手を妨害することができるという。
ある企業がこの産業チェーンの外側で生産能力を構築しようとすれば、原材料の供給が逼迫する可能性がある。一方、中国企業はより安い価格で製品を販売し、他国企業が生産する部品の採算が取れなくなるまで、下流市場を大量の低価格製品であふれさせることができる。これが、中共による一貫した長期戦略だと宗像氏は指摘した。
宗像氏は最後に、「中国ショック3.0」へ対処するため、国際社会には前例のない規模の連携と、それに応じた措置が必要だと訴えた。国際社会が行動を起こさなければ、今後数年のうちに関連する生産能力が中共によって強固に囲い込まれる可能性があると警告した。
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