中国共産党(中共)当局は長年、EUとの関係改善を図るため働きかけを続けてきた。しかし欧州議会は10月7日、中国に対してより厳しい姿勢を求める決議を圧倒的多数で採択した。
採決結果は賛成454、反対86、棄権110だった。
決議は、中国をロシアによるウクライナ侵攻を支える「決定的な支援国」と位置づけ、台湾海峡とその周辺で「継続的な海軍艦艇の展開と共同演習」を行うよう求めた。また、中共の産業政策がEUの存立を脅かしかねないとして、迅速な対応を促した。
今回の決議に法的拘束力はなく、EUの対中政策を直接変更するものではない。ただ、2023年以降、欧州議会で中共に対する警戒感が強まっていることを改めて示した。
決議の採択は、EUと中国が8日から重要な通商協議に入る前日に行われた。欧州議会はEUに対し、中国への対応を一段と強化するよう求めている。
決議は、中国の過剰な生産能力について「EUの産業基盤を空洞化させる恐れがある」と警告。中国製EVについても、欧州の安全保障と経済に「重大な脅威」をもたらすとした。
決議は「中国側との協議が効果を上げない、あるいは不十分であることが明らかになった場合、EUは経済安全保障戦略に基づき、独自の措置を取る可能性を排除しない」と記している。
また、中共は「ロシアによる違法で、いわれのないウクライナ侵攻を支える決定的な存在」であり、ロシアへの軍民両用物資の最大の供給国として、制裁回避を支援していると批判した。
中共は、ウクライナ戦争では中立の立場を取っており、ロシアとの貿易も通常の経済活動だと主張している。一方、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、中共はロシアを公に非難せず、関係を維持してきた。こうした中露の緊密な関係に、EUでは警戒が強まっている。
台湾をめぐっては、欧州議会はEUに対し、「加盟国や地域の他の民主主義国との安全保障面での連携を強化し、地域の安定に向けて継続的な海軍艦艇の展開や共同演習を行う」よう求めた。
さらに、中共との関係が疑われるスパイ事件が相次いだことも、欧州議会内の警戒を強めている。
決議案の報告者、ヒルデ・ヴァウトマンス欧州議会議員は6日の討論で、次のように述べた。
「われわれは、北京が国際法の限界を探る動きを目の当たりにしてきた。欧州議会は明確なメッセージを発することができる。ダンピングをやめ、スパイ活動をやめ、公正に競争せよ」
議員の間では、EU内で対中政策をめぐる認識がまとまりつつあるとの見方も出ている。
討論後、ヴァウトマンス氏は「もはや欧州議会や特定の政治会派だけの立場ではない」と述べた。
「欧州には、より一貫した対中政策が必要だという認識が広がっている。対話と協力には開かれた姿勢を保ちながら、必要な時には自らの利益を守る意思を、より明確に示す必要がある」
中共の働きかけ実らず 「体制上のライバル」を最終文書に復活
今回の採択は、中共側の思惑とは異なる結果となった。中共は長年にわたり、欧州議会への働きかけに力を入れてきた。
「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、中共の外交官は今回の決議文を修正するよう議員らに働きかけていたという。
草案では一時、「体制上のライバル(systemic rival)」という表現が削除されていた。これはEUが2019年から、中国を「協力相手」「競争相手」と並んで位置づけてきた公式表現の一つである。
関係者によると、ヴァウトマンス氏は社会民主進歩同盟の反対に配慮し、この表現を削除していた。しかし、最終的に採択された文書では再び盛り込まれた。
一方、採択された修正案では、EUと中国を「包括的戦略パートナーシップ」と位置づける表現も復活した。社会民主進歩同盟が提出した2件の修正案によるものだという。
欧州議会では、中道・右派の主要会派を中心に中共への警戒感が強い。
欧州議会の対中関係代表団トップで、中国情勢に詳しいエンギン・エログル氏は「中国(中共)は体制上のライバルだ。北京が理解する言葉は一つしかない。外交ではなく、力だ」と指摘した。
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