日本造船業の再生を検討へ 第1回「造船ワーキンググループ」開催

2026/02/24
更新: 2026/02/24

令和8年2月20日、国土交通省および内閣府は、我が国造船業の再生に向けた実効的な官民投資策を検討するため、第1回「造船ワーキンググループ」を開催した。本会議では、今後の日本の造船産業が生き残るための道筋について、産学官の有識者を交えた議論が交わされた。

国家の成長戦略に位置付けられた「造船」

本ワーキンググループが設置された背景には、政府が推進する新たな成長戦略がある。令和7年11月4日の日本成長戦略本部において、「危機管理投資」および「成長投資」の戦略分野の一つとして「造船」が位置付けられた。これを受け、同年12月24日の日本成長戦略会議にて、造船分野の具体的な検討を進めるためのワーキンググループの設置が決定された。日本経済の自律的・継続的な成長と経済安全保障の観点から、造船業の再生が急務とされていることが伺える。

人材育成の課題と企業間連携の強化

第1回となる今回の会議では、主に「修繕の現状と課題」「人材育成の現状と課題」「連携の現状と方向性」について、関係者からのプレゼンテーションと議論が行われた。

人材育成のセッションでは、大阪大学や海事都市である愛媛県今治市などから報告がなされた。大阪大学の報告では、造船系学生の定員規模が小さいことや、研究のための水槽実験設備などが老朽化しているという構造的制約が指摘され、教育インフラへの投資の必要性が訴えられた。また、副専攻プログラム(造船造機AIデジタル専攻など)の設置や、産学連携による企業技術者の教育への関与など、海事分野への入り口を広げる取り組みが提言された。今治市の報告でも、地元工業高校から愛媛大学、さらには社会人のリスキリングに至るまで、地域が一体となったシームレスな海事人材育成サイクルの構築が紹介された。

一方、将来の建造需要への対応に向けては、造船事業者間の「水平連携」や、海運・舶用工業も含めた「垂直連携」のあり方が議論された。日本の造船業は1事業所あたりの規模が相対的に小さく、中国や韓国のようなロット受注への対応が困難であるという弱みがある。この課題を克服するため、複数社による共同設計、ブロック製造の連携、共同調達などを通じて生産性の向上とコスト低減を図り、競争力を確保することが重要視されている。

次世代船舶での主導権獲得とロードマップ策定へ

今後は、3月19日に第2回ワーキンググループが開催され、修繕・国際戦略の方向性や人材育成の方向性に加え、エネルギー安全保障上も重要となるLNG運搬船の建造体制について議論される予定である。その後、第3回ワーキンググループを経て、今春までに予算措置や税制などの政策パッケージを盛り込んだ「造船分野官民投資ロードマップ」が策定される見通しだ。

今後の日本の造船業は、日本の強みである「高い生産性」や「優れた燃費性能」などを活かし、アンモニア燃料船をはじめとするゼロエミッション船などの次世代船舶の開発・建造において世界を主導していくことが予測される。DXやAI、ロボット技術の導入による生産性のさらなる向上を図るとともに、業界再編や多様な協業体制の構築によって事業基盤を強化し、市場支配力を強める中国や韓国に対して確固たる競争優位性の確立を目指していくことになるだろう。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。