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柏崎刈羽原発再稼働へ 新潟県知事が国に同意伝達

2025/12/24
更新: 2025/12/24

23日、新潟県の花角英世知事は、総理大臣官邸において高市総理大臣と面会し、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機および7号機の再稼働方針について、国への了解(同意)を伝えた。同日、花角知事は赤澤経済産業大臣とも面談し、再稼働の条件とも言える計7項目にわたる要望書を提出した。これにより、同原発の再稼働に向けた手続きは、地元の同意という最大のハードルを越え、大きく進展することとなった。

知事が提示した「7項目の要望」

赤澤大臣の会見によれば、知事から提示された要望は、原子力防災の強化や東京電力の体質改善、さらには地域振興にまで及ぶ極めて具体的な内容である。

赤澤大臣は、花角新潟県知事と面談(出典:経済産業省公式Xアカウント)

背景には、柏崎刈羽原発が県民からの信頼を十分に得られていないという現状がある。赤澤大臣は会見において、知事から示された認識を「大変重く受け止めている」と述べ、7項目の要望について政府方針を回答した上で、実現に向け最大限の努力をする考えを表明した。

政府としては、地域の声を真摯に受け止め、内容を新潟県民へ伝えていくことで、少しでも理解を深めていく姿勢である。要望の詳細は以下の通りだ。

  1. 原子力発電の必要性と安全性についての理解促進:国が主体となり、国民や県民に対し、なぜ原子力が必要なのか、どのように安全が確保されているかを丁寧に説明すること。
  2. 安全性の向上への不断の取組:現状に甘んじることなく、常に最新の知見を取り入れて安全対策を向上させ続けること。
  3. 緊急時の対応に関する取組:万が一の事態が発生した際の実効性ある対応体制を確立すること。
  4. 原子力防災の充実・強化に向けた取組:避難道路の整備など、地域住民の安全を確保するためのインフラ整備や防災計画を強化すること。
  5. 原子力に係る諸課題への取組:使用済み核燃料の処理など、原子力発電に伴う広範な課題に責任を持って取り組むこと。
  6. 東京電力の信頼性確保に向けた取組:相次ぐ不祥事などで損なわれた東京電力の信頼を回復するため、ガバナンス(企業統治)の強化を徹底すること。
  7. 電源三法交付金の見直しの検討:立地地域への経済的支援の枠組みである交付金制度について、現状に即した見直しを検討すること。

経団連による歓迎

この判断を受け、日本経済団体連合会(経団連)の筒井会長はコメントを発表し、「新潟県の判断を心より歓迎する」と表明した。経団連は、同原発を日本のエネルギー安定供給とカーボンニュートラル実現に寄与し、広域のレジリエンス(強靱性)強化に資する「重要電源」と位置づけている。

あわせて経団連は、新潟県民の理解をさらに醸成するため、東京電力と国に対して安全・防災対策の着実な実行を要請した。また、東京電力には原子力規制委員会の検査への適切な対応と、安定的な発電所運営を強く求めている。

今後の予測と展望

今後のプロセスとして、柏崎刈羽原発は試験運転を経て、安定を確認した後に営業運転(再稼働)へと移行する見込みである。赤澤大臣は、安全確保の状況を自ら確認するため現場を視察する意向を示しているが、現場への負担を考慮し、最も適切な時期に訪問するとしている。

政府は今後、原子力防災の強化や地域振興策を通じて、県民の不安解消に努める方針だ。一方で、経団連が新潟経済界との交流・連携を深める意向を示すなど、再稼働を契機とした地域の活性化が期待されている。