日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏らは、スイス・ジュネーブで開催された国連人権理事会などに赴き、沖縄の人々を「先住民族」とみなす動きに対する抗議と事実関係の是正を訴えた。
仲村氏と元沖縄県議会議員の座波一氏、牧師の砂川竜一氏は3月30日、記者会見で、活動内容と国連で進行する状況を報告した。
国連では2008年以降、沖縄の人々を先住民族とみなす勧告が計6回出されている。仲村氏らは、これらの勧告が沖縄県議会などの民主的手続きを経ず、ごく一部の独立派などの声のみが反映されたものだと指摘した。
圧倒的多数の県民は自らを先住民族ではなく日本人と認識しているとし、石垣市や豊見城市、糸満市などの地方議会で抗議決議が出されている事実を国際社会に示すため、ジュネーブに赴いたとしている。一行はNGOの枠組みを通じ、人権理事会やサイドイベントで発言した。
仲村氏は「沖縄の人々を先住民族と定義するのは重大な事実誤認である」と述べ、サンフランシスコ講和条約の際に沖縄県民が署名運動により日本への復帰を勝ち取った経緯を挙げ、現在の国連の動きはこれに逆行していると訴えた。
牧師の砂川竜一氏も、1972年の本土復帰が県民の意思によって実現したものであり独立を求めたものではなかったと指摘した上で、沖縄が先住民族として独立すれば、在日米軍や自衛隊が撤退を余儀なくされ、力の空白が生じる可能性があると警鐘を鳴らした。
ジュネーブには琉球王国を400年間にわたって治めた第二尚氏の第23代当主の尚衛氏の代理人として橋口顧問弁護士も赴き「沖縄県民は先住民族ではなく日本人である」とした上で、1879年の琉球処分は強制ではなく、日本への統合を選んだ歴史的決断であったと主張した。さらに、「沖縄は中国のもの」とする主張に利用されかねない危うさにも言及した。
今回の派遣では、国連の場で沖縄の主権を巡る動きが進んでいる実態も報告された。琉球独立運動を行う人物が国連の人権メカニズムの専門委員に立候補していたが、今回はインドの候補が選出され、就任は回避されたという。派遣団は、仮に就任していれば一部の意見が全体の代表として扱われる危険があったと指摘した。
また、香港の親中派NGO代表が「琉球諸島の先住民族が軍事化を強いられ、日本の植民地国家の監視下で苦しんでいる」とするスピーチを行ったことも明らかにした。派遣団は、沖縄の基地問題や人権問題を主権問題や植民地化へと結び付ける意図的な動きとの認識を示した。
さらに、国連の「脱植民地化委員会」へのリスト入りの可能性が最大の懸念として挙げられた。リスト入りすれば沖縄は日本が暫定的に管理する地域と位置付けられ、先住民族の権利宣言に基づき軍事活動の制約が生じる可能性があるとし、日本の防衛に影響を及ぼすリスクがあると仲村氏は指摘した。
仲村氏らは、この問題が基地問題以上に沖縄の安全保障とアイデンティティに関わる重要な課題であるとし、6月に予定される脱植民地化委員会に向けて、県議会や市町村議会の議員など民主的手続きで選ばれた代表の派遣を目指すとしている。
また、日本政府に対し、沖縄県民が先住民族ではないことを示す正式文書を作成し、国連加盟国に配布するよう求める方針も示した。派遣団は、多くの県民が国連の動きを認識していない現状に懸念を示し、事実の周知が急務であるとしている。
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