イランは自らを「手出しできない存在」と過信 だがトランプがルールを変えた

2026/04/22
更新: 2026/04/22

一体、彼らは何を考えていたのか。いかにして自らをこのような窮地に追い込んだのか。彼らに何が起きたのか。端的に言えば、彼らは自らに対して誇大妄想的とも言える、膨れ上がった自己像を抱いていた。なぜか。

以下は、ポッドキャスト番組『ヴィクター・デービス・ハンソン:自らの言葉で』の4月20日放送回の書き起こしを、一部編集したものである。

現在、対イラン軍事作戦は7週目に入っている。交渉中のため現在は小康状態にあるが、戦争は継続している。

イランの現状を見れば、極めて奇妙な状況にあることがわかる。指揮統制系統は壊滅した。軍隊は、いわば「機能不全」な状態にある。空軍は存在せず、海軍に残っているのは哨戒艇のみだ。これは空戦であるため、陸軍は何の役にも立たない。核・軍事・産業の複合体は粉々に爆破された。イランは、不満を募らせる国民を犠牲にして、半世紀にわたり軍備や軍需産業に投じてきた5千億ドルにものぼる投資を、おそらく失ったのである。

オバマ政権時代、国務省とバラク・オバマ大統領本人はイランに対し、ある種のメッセージを送った。それは、テヘラン、ダマスカス、ベイルート、ガザ、そしてイエメンの人々を結ぶ「シーア派の三日月地帯」が、湾岸諸国のスンニ派アラブ人の資金力や、ユダヤ国家イスラエルの軍事力に対抗するバランス・オブ・パワーになり得るというものだった。そしてオバマは時折介入し、これを裁定しようとした。彼らはこれを「創造的緊張(creative tension)」と呼んでいたのだろう。

言い換えれば、我々はイラン陣営とその対抗勢力の間に道徳的な差はないと公言したのだ。当然ながら、そこには明らかな差が存在したにもかかわらずだ。

こうした姿勢は、我々が彼らを恐れている、あるいは常に譲歩する用意があるという印象をイランに与えた。ジョー・バイデンが就任して最初に行ったのは、イラン核合意への復帰を懇願することだった。これが彼らの自尊心をさらに肥大化させた。さらにバイデンは制裁を解除し、1千億ドルの新たな収入を彼らに与えた。

その間、イランはロシアのウクライナ侵攻を注視していた。米国はといえば、侵攻が小規模な侵入(マイナー・インカージョン)に留まるか、全面侵攻かによって対応を変えるなどと示唆しただけで、実質的には傍観していたに等しい。そして10月7日が訪れた。イランは、イスラエルの周囲に「火の包囲網」を形成したという自負のもと、ヒズボラ、ハマス、フーシ派、そしてシリアやイラクの代理勢力や追随者に資金を供給してきたのである。

10月7日の大虐殺の後――イランは関与を否定したが、明らかに代理勢力とともに戦略的に計画したものだ――彼らは米国が何もしないだろうと考えていた。そしてバイデン政権下では、その予測はほぼ的中していた。いや、それ以上に悪かった。

米国はイスラエルと距離を置くような素振りを見せ、イランはそれを察知した。彼らは、10月7日の出来事がイスラエル政府にとってあまりにトラウマ的な経験であったため、イスラエルは大きな行動に出られないと感じていた。こうした判断の多くは、彼らが軍事的に無敵であるという「偽りの名声」に基づいていたが、それが真実であるという証拠は一度もなかった。

彼らは1980年のイラン・イラク戦争を戦ったが、戦果は芳しくなかった。イラクの約1.5倍の人口を抱えながら、ホメイニは和平を乞わざるを得なかった。しかし、彼らは中東の恐怖の象徴であった。人々は「アフガニスタンやイラクに行こうが、爆撃しようが自由だが、イランにだけは近づくな」と言い合っていた。

「彼らは狂っている。人口は9,300万人もいる。中東で人口第2位、面積も第2位の国だ。危険な連中だ」と。

彼らは熱狂的なシーア派であり、大義のために死ぬことを厭わない。しかし、彼らの実際の行動を詳しく見れば、その名声はテロの代理行使によって得られたものだとわかる。大使館の爆破、海兵隊宿舎の爆破、個人の暗殺、アフガニスタンやイラクで米国人を殺害するための武器供給などだ。戦場、つまり海・陸・空において、彼らが印象的な軍事的成果を見せたことは一度もない。

それゆえ、彼らは10月7日の事件を起こしても逃げ切れると考えた。代理勢力と自国の兵器庫を合わせれば、30万発もの短・長距離ミサイル、ロケット、ドローンを保有しており、イスラエル全土を火の海に沈めて壊滅させられると豪語していたため、彼らの自己評価はさらに膨れ上がっていた。

10月7日の後でさえ、彼らは中国やロシア製の精巧な防空システムがあるため、イスラエルは手出しできないと考えていた。だが、彼らが計算に入れていなかったことが2つある。

第一に、10月7日はイスラエルの精神構造を完全に変えてしまった。それはホロコースト以来、最大のユダヤ人の命の喪失であった。イスラエル人は「このような状況で生きることはできない。国を維持することはできない。定期的に振り下ろされる『ダモクレスの剣』を甘受することはできない」と決断したのだ。

したがって、我々は「蛇の頭」を叩かなければならない。ヒズボラ、ハマス、フーシ派、シリアの勢力、これらすべてに対処する。しかし、いずれにせよ彼らはテヘランから資金と武器を得ているのだ。

そして我々は、彼らが不屈だとは信じていない。今や、10月7日の後ではなおさらだ。昨年の12日間にわたる戦争で、イスラエルはイランの全防空システムを破壊し、次いで軍事能力、核産業、インフラを叩き始めた。

彼ら(イスラエル)は我々(米国)を呼び、要請した。そして我々は喜んでそれに応じた。それが我々の国益にかなっていたからだ。わずか25時間から30時間のうちに、我々は彼らの核施設を爆破した。それで終わりかと思った。彼らがメッセージを理解したと考えたのだ。だが、当然ながら彼らは理解していなかった。

彼らの代理勢力は再びミサイルを撃ち始めた。我々の諜報活動によれば、彼らは核施設での作業と核拡散への動きを再開した。そのため、米国は再び彼らとの交渉に入った。イランとのあらゆる交渉がそうであるように、それは引き延ばされた。再軍備し、ウランをさらに濃縮し、あるいはテロ代理勢力をイスラエルにけしかけ、西側の個人をテロ攻撃するための時間を稼ぐのが目的だった。

しかし繰り返すが、彼らは2つのことを計算に入れていなかった。だが、彼らはまたしても計算を誤っていた。ドナルド・トランプも、ベンヤミン・ネタニヤフも、彼らの脅しなど一切物ともしないからだ。こうして彼らは戦争を再開した。現在、7週目に入り、イランの資産はすべて破壊された。米国の封鎖により、1日あたり4億ドル以上の収入が失われている。彼らに打てる手札はもう残っていない。

彼らに残された唯一の望みは、誰かが米国を制止してくれることだ。イランを土壇場で救うかもしれない「誰か」については、後の動画で語ることになる。もし米国が橋を落とし、発電能力を破壊し、彼らを交渉の席に――交渉のためではなく、条件に従わせる(屈服させる)ために――引きずり出すと決めれば、イランはもはや自力で自らを救うことはできないからだ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ビクター・デイヴィス・ハンソン(Victor Davis Hanson)は、古典学者および軍事史家です。カリフォルニア州立大学の古典学名誉教授であり、スタンフォード大学の古典学・軍事史シニアフェロー、ヒルズデール・カレッジのフェロー、そしてセンター・フォー・アメリカン・グレートネス(Center for American Greatness)のディスティングイッシュト・フェロー(特別客員研究員)を務めています。 ハンソン氏はこれまでに、『The Western Way of War(西洋の戦争のやり方)』、『Fields Without Dreams(夢なき耕地)』、『The Case for Trump(トランプを支持する理由)』、『The Dying Citizen(死にゆく市民)』を含む17冊の著書を執筆しています。