中共 香港経由の資金流出を封じ込め 汚職官僚の逃避ルートに照準

2026/05/28
更新: 2026/05/28

最近、中国共産党(中共)当局は、中国国内の資金が海外へ流出するのを厳しく取り締まっている。老虎証券、富途証券、長橋証券などのオンライン海外証券取引プラットフォームは、中共の金融監督部門から処分を受けた。中国本土の投資家の既存口座については、売却のみ認められ、買い付けはできない。中共金融界の情報筋によると、当局はこの3か月間で、数千億元の資金が金融商品の取引を通じて香港に移されたことを把握したという。

汚職官僚の資金移転ルート 人民元を香港に移し外貨へ

今回の取り締まりの重点は、中国本土の資金が香港を経由して海外市場へ流れるルートである。中共の関係者、江さんは大紀元に対し、当局が最近、汚職官僚の資産を調査する中で、摘発対象となった人物の資金の流れに共通点が多いことを発見したと明かした。

「多くの人がさまざまな方法で人民元を香港に移し、米ドルやユーロなどの外貨に換えていた。海外証券口座を通じて海外株を購入している人もいた」

江さんによると、当局が内部調査で海外証券会社の顧客名簿を調べたところ、一部の汚職官僚の家族や親族、知人が名簿に含まれていたという。

「調査では、これらの腐敗官僚は国内に不動産以外の現金をあまり持っていないことが分かった。老虎証券や富途証券の顧客名簿を調べると、その親族が見つかった。こうした親族や知人が海外株を購入する形で、資金を外へ移していた。大口顧客の中には、高級幹部と一見関係がなさそうに見える人も多いが、実際には何人も間に挟んでつながっている可能性があり、調査は非常に難しい」

銀行ルートを通じた資金流出も発覚

中国証券監督管理委員会は5月22日、老虎証券、富途証券、長橋証券の中国国内外の関連主体からすべての違法所得を没収し、3社に処分を科す方針を発表した。中共証券監督管理委員会(証監会)は、これらの機関が認可を受けず、証券仲介業務や信用取引業務の許可も得ないまま、中国国内で証券取引の宣伝・勧誘、取引指示の処理などのサービスを行い、収益を得ていたとし、違法な証券業務にあたると通報した。

情報筋によると、証監会による今回の取り締まりは、海外証券会社だけを対象にしたものではない。当局は内部システムを通じ、中国国内で業務を展開する外資系銀行に対し、中国本土住民による香港での口座開設や資金移転を制限するよう求めているという。

体制内関係者の盧耀亮さん(仮名)は記者に対し、最近数か月にわたる中共党内の一連の反腐敗調査で、香港に移した現金が3千億元を超えることが判明したと明らかにした。

「調査チームが香港の金融システムから調べたところ、3千〜4千億元を確認したと聞いている。その大半は老虎証券や富途証券を通じて移されたものだった。調査チームは、汚職官僚をさかのぼって調べる中で、現職幹部も一部摘発した」

盧さんは、反腐敗調査をさかのぼる過程で、当局が資金流出のルートも発見したと述べた。

「銀行システムが最大の流出ルートだ。銀行幹部とつながりがあれば、資金を国外に移すことができる。親族や知人を使ったり、口座を分散させたり、複数の投資口座を経由させたりする人もいる。調査を深めると、一部の口座が失脚した官員や現職官員と関係していることが分かり、逮捕につながった」

一部香港銀行、本土顧客の投資口座開設規則を厳格化

5月27日、複数の中国本土のネットユーザーは、香港上海銀行(HSBC香港)で、以前のようにオンラインで投資口座を開設できなくなったと投稿した。ネットユーザーによると、口座を開設するには香港の支店に出向き、「声明書」に署名し、資金の出所が中国本土ではないことを保証する必要があるという。後に資金源が申告内容と異なることが判明した場合、銀行は投資口座を閉鎖し、さらに法的措置を取る権利を有する。ロイターも同日、HSBC、恒生銀行、中国銀行香港などの香港銀行が、中国本土顧客の投資口座開設規則を厳格化したと報じた。

香港の中資系銀行で安全管理責任者を務める李さんは大紀元に対し、香港は世界最大のオフショア人民元取引センターであり、中国国内の資金がいったん香港に入ると、当局は中国本土と同じように管理することが難しくなると述べた。

「香港の特徴は、中国の一部であると同時に、国際金融市場とつながっている点にある。中国本土の個人は、香港の銀行口座と証券口座を持てば、多くの国内規制を回避できる。そのため中共金融監督当局は香港の主要銀行に対し、中国本土から香港に来て口座を開設する人について厳格に審査するよう通知した。問題が起きれば銀行の責任が問われる。すでに一部の地元銀行は、中国本土からの旅行者による香港での口座開設を停止している」

資金流出が政治リスクに

中共国家外貨管理局が公表した2026年第1四半期の国際収支統計の速報値によると、中国の経常収支は1841億ドルの黒字だった。このうち、貨物貿易の黒字は2474億ドルに上った。一方、資本・金融収支は同じく1841億ドルの赤字だった。これらの数字を合わせて見ると、中国が貨物輸出で得た大幅な黒字が、資本・金融収支の同規模の赤字によって相殺されたことがわかった。

こうしたデータを現在の監督強化の動きと照らし合わせると、北京当局が香港を通じた資金流出ルートを厳しく封じ込めているのは、数社の証券プラットフォームを調査するだけの問題ではなく、資金流出圧力の高まりを受け、香港という出口を締め付ける動きとみられる。金融学者の舒暢さんは、中共が中国国内と香港に二重の防御線を設け、資金が香港を経由して海外市場へ流れ続けるのを防ごうとしていると指摘した。

「第一の防御線を突破して資金を香港に移したとしても、香港の銀行はいま第二の防御線を築いている。中国国内の顧客による大口預金の受け入れを避け、資金の出所を説明するよう求めている。資金がどこから来たのか説明できなければ、口座の閉鎖を求められる。銀行側はこうした顧客との取引を避けている。私の友人は、香港の5つの銀行口座をすべて閉鎖された」

舒さんは、中共が最も恐れているのは、資金流出が一時的な動きではなく、流れとして定着することだと述べた。

「一般の人が資金を海外に移すのは、人民元資産に対する信頼がないからだ。官員が資金を移すのは、この体制に対する信頼がないからだ。この2つが重なれば、当局はそれを金融リスクであると同時に政治リスクだと受け止める。だから今は単に証券会社を調べているのではなく、香港の銀行も巻き込み、資金流出を抑え込もうとしている」

孫誠