中国では消費・投資・工業生産がそろって減速し、内需低迷が鮮明となっている。不動産不況や民間経済の停滞が影響する一方、輸出は一時的に増加。しかし専門家は、在庫需要や外部要因による伸びに過ぎず、輸出依存の経済モデルは持続困難と指摘する。
中国国家統計局が5月18日に発表したデータによると、消費の指標である社会消費財小売総額は4月にわずか0.2%の増加にとどまり、2022年12月以来最低の伸び率となった。一方、中国税関総署の統計では、4月の輸出額は前年同月比14.1%増、前月からは11.6ポイントの大幅上昇となった。専門家は、小売額が40か月ぶりの低水準を記録し、中国経済は不均衡な状態にあり、大規模な輸出に依存する現状は持続不可能であると指摘している。
中国の内需不足では経済全体を牽引できない
中国国家統計局が5月18日に公式サイトで発表したところによると、4月の消費財小売総額はわずか0.2%の増加にとどまり、市場予想の2%を大きく下回ったうえ、2022年12月以来最低の伸び率を記録した。同時に、4月の一定規模以上の工業付加価値は4.1%増にとどまり、市場予想の5.9%を下回り、ここ3年で最も低い水準となった。また、1月から4月までの全国不動産開発投資は前年同期比13.7%減少し、同期間の固定資産投資も1.6%減となり、第1四半期の1.7%増から大きく落ち込んだ。
消費、工業生産、投資を含む各種経済指標は全体的に減速している。新唐人テレビの番組「時事縦横」において、上海の元企業家である胡立任氏は、内需と外部環境の両面から分析を行った。
まず、国内経済の不調が内需の低迷を招き、不動産に依存した経済成長モデルが機能不全に陥っていると指摘する。
第一に、不動産バブルの崩壊である。ここ数年、不動産市場全体の状況は極めて厳しい。2026年4月には不動産開発投資が前年同期比14%減、新規着工面積は22%の大幅減となり、住宅販売額も継続的に減少している。その結果、家具、家電、建材など住宅関連の消費が抑制されている。また、中国では約60%以上の住民資産が不動産に集中しており、資産価値の目減りや所得の伸び悩み、将来所得への不確実性が、住民の高額な消費への慎重姿勢を強めている。
第二に、民間経済の停滞である。中国経済は「国進民退」の状況にあり、民間経済は厳しい局面に直面している。これが経済全体および雇用に打撃を与え、住民全体の所得低下を招いている。
第三に、地方財政の枯渇である。従来、地方政府は土地財政に依存し、土地売却を主要な財源としてきたが、不動産市場の低迷が続く中、インフラ投資も減少し、地方財政は深刻な状況に陥っている。その結果、多くの地域で民間企業から短期的な利益を吸い上げるような政策が取られ始めている。
胡氏は、このような状況では中国の内需だけで経済全体を押し上げることは極めて困難であると指摘する。
イラン戦争による輸出増は持続困難
中国経済の内需不足が続く一方で、輸出は高い伸びを示している。中国税関総署の統計によれば、ドル建てで4月の輸出額は前年同月比14.1%増となり、3月から11.6ポイント上昇し、市場予想の7.9%も大きく上回った。米経済メディアCNBCは、イラン戦争によるコスト上昇を懸念した海外バイヤーが在庫を積み増したことが、この輸出増加の一因であると指摘している。
胡氏は、現在の輸出増は一時的な表面的な現象にすぎないと分析する。多くの国際企業が在庫を積み増しており、イラン戦争の影響で、中国から製品を購入する小売業者や企業は戦争の長期化を懸念し、4月に大量発注を行った。そのため、現在の輸出データは実際の需給を反映したものではなく、戦争終結後には反動減が生じるため、持続は困難であるとする。
また胡氏は、中国の従来型産業が多くの国から反ダンピング措置を受け、輸出が打撃を受けていると指摘する。輸出量が減少すると、中国政府は企業に対し国際市場での投げ売りを促し、同時に補助金を段階的に拡大している。多くの企業は利益を度外視してダンピングを行い、その結果、さらなる反ダンピング措置や「脱中国化」を招いている。
このような状況の中、中国は新エネルギー産業の発展に注力している。具体的には、電気自動車、リチウム電池、太陽光パネルの三分野での技術的進展である。いわゆる「新三種」産業も現在、国際市場でダンピングが指摘されており、多くの欧米諸国が中国製品に対して新たな関税や非関税障壁の導入を進めている。
胡氏は、こうした投げ売りにより企業収益が大幅に圧迫され、その結果として従業員の所得も増加しないと述べる。この状況では、中国の消費層はすでに消費の原動力を失っていると指摘する。
さらに胡氏は、輸出の増加だけでは経済全体の低迷という現実を変えることはできないと強調する。実際、中国経済はすでに厳しい局面に入り、現在の政治体制の下では状況の打開は困難であるとの見方を示している。
一方、英国のオックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)は報告書の中で、「予想を下回るデータは、中国経済の成長が減速し、今後の回復余地が限られるという我々の見解を裏付けるものであり、2026年のGDP成長率を4.7%とする全体予測に対する下振れリスクとなる」と指摘している。
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