今年上半期、中国では自動車ディーラーの7割以上が販売目標を達成できなかった。一部の自動車メーカーでは、管理職の給与を「ゼロ」にするという極端な対応も伝えられている。業界関係者は、新車を仕入れ価格より安く売らざるを得ない「逆ざや」、在庫の高止まり、来店客数の減少が重なり、ディーラーの経営を圧迫していると指摘する。今後は、アフターサービスや中古車事業が打開策となる。
「月収1万元超」から「月収3千元」へ
最近、自動車ブロガーの「孫少軍」さんはSNS上で、中国の大手100社に入る自動車ディーラーグループの人事部が出した緊急の業務連絡書とされる文書を投稿した。文書は同グループの人事部が7月1日に作成したもので、グループ傘下の各店舗と本部各部門に宛ていた。件名は「グループの経営見直しおよび給与・評価管理に関する通知」となっている。
文書によると、同グループは今年第2四半期に大幅な赤字を計上した。そのため、グループ本部と、各事業責任者が管轄する赤字部門では、マネージャー級以上の7月分給与を支給しない。本部の一般社員には、給与の7割を支給するとしている。
文書にはさらに、「出資者側は、借り入れによって全社員の給与をまかなう状況を、これ以上続けることはできない。すべての赤字事業部門で厳格な業績評価を全面的に実施し、成績下位者を入れ替える『末位淘汰』の仕組みを導入する」と記している。
また、「経営圧力は、グループ全体のマネージャー級以上の管理職にとどまらず、すべての現場チームにも及ぶ。全社員は赤字の現状を直視し、経営上の厳しさに向き合わなければならない」としている。
「毎日経済新聞」の報道によれば、この文書の真偽は現時点で独自に確認されていない。ただ、複数の販売員が証言した収入減少の状況は、業界団体が公表しているデータとおおむね一致している。
10年前を振り返ると、自動車販売の仕事は羨望の対象だった。当時はショールームに顧客が自ら訪れて相談し、販売員が強く成約を迫る必要はなかった。一部の人気車種は供給が需要に追いつかないほどだった。業界歴13年の販売員は、当時は月収が軽く1万元を超え、考課による減額もほとんどなかったと振り返る。しかし、現在の状況は一変している。
ある中国メーカー系ブランドの販売店の販売員によると、現在は1台売って得られる歩合が約500元で、顧客がローンを利用すればさらに200元の歩合がつく。ただ、毎月の成約台数は限られており、先月の手取り収入は約3千元にとどまったという。別の販売員は、ショールームにある一部の展示車について、昨年から値下げして販売しているものの、買い手はほとんど現れていないと話す。同僚も相次いで退職しているという。
こうした傾向は、業界全体の雇用規模にも表れている。中国自動車流通協会、以下「流通協会」が今年5月に発表した報告書によると、過去5年間で国内大手100社のディーラーグループの従業員総数は42万4千人から31万7千人に減少した。累計で約11万人減ったことになる。
業界全体に圧力 7割超の店舗が半年目標を達成できず
個々の販売員の収入減少の背景には、業界全体の経営悪化がある。流通協会の最新の在庫警戒指数調査によると、2026年6月の全国自動車ディーラー在庫警戒指数は57.2%だった。前年同月比で0.6ポイント上昇し、好不況の境目とされる50%を引き続き上回った。
フィッチ・レーティングスのアジア太平洋地域企業格付けディレクターで、自動車アナリストの楊菁さんは、在庫が長期にわたり高止まりすると、ディーラーの運転資金が圧迫され、利払い負担や流動性リスクが高まると指摘する。流通協会も、ディーラーは新車販売の逆ざやや来店客数の減少など、複数の圧力に直面している。
流通協会が今年上半期のディーラーの目標達成状況について行った調査では、上半期の販売目標を予定通り達成した店舗は12.0%にとどまった。達成率が90%から100%だった店舗は11.1%で、両者を合わせても全体の4分の1に満たない。
一方、76.9%の店舗が半年間の販売目標を達成できなかった。このうち、達成率が70%未満だった店舗は39.8%に上った。
流通協会の文思婧副秘書長は、最近開かれた業界フォーラムで、新車販売の逆ざや、在庫圧力、資金繰りの悪化に加え、家賃や人件費などの運営コスト、完成車メーカーから課される販売目標が重なり、ディーラーは総じて大きな圧力にさらされていると述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。