英高裁 中共のメガ大使館計画を審理 住民側が司法審査求める

2026/07/15
更新: 2026/07/15

中共がロンドンに「メガ大使館」を建設する計画をめぐり、英政府の承認手続きの合法性に疑問があるとして、ロイヤル・ミント・コート住民協会が司法審査を求めていた件で、7月14日、英高等法院で審理が始まった。

英政府は今年1月、中共当局が旧王立造幣局跡地に新大使館を建設する計画を承認した。これを受け、ロイヤル・ミント・コート住民協会(Royal Mint Court Residents’ Association)は、司法審査を申し立てる方針を示していた。

この訴訟は現在、ロンドンの高等法院で審理されている。原告の住民協会は、地元住民や企業を代表して訴えを起こしている。主な被告は、新大使館の建設を承認した中央政府の閣僚であるスティーブ・リード住宅・コミュニティ・地方自治相である。

裁判資料には、ほかにも訴訟に関係する省庁などが名を連ねている。治安、警察活動、デモ対応に関わる内務省、外交関係を所管する外務・英連邦・開発省などである。在イギリス中共大使館は、申請者として利害関係人に位置づけられていたが、この司法審査を担当するリーベン判事に書簡を送り、手続きには参加しないと伝えた。この対応について、イギリスの政治家からは「イギリスの司法手続きを軽視している」との批判が出ている。

住民協会は、英政府が中共のメガ大使館建設を承認する際、法律上求められる検討を十分に行わなかったと主張している。具体的には、大規模な抗議活動が住民に及ぼす影響を十分に評価していないこと、海外にいる中国の反体制派が監視や脅迫を受ける「越境弾圧」のリスクを十分に検討していないこと、さらに英政府が大使館に課した都市計画上の条件についても、外交施設が外交特権を有するため、実効性を確保できない可能性があることを挙げている。

中共は2018年、旧王立造幣局跡地を約2億5千万ポンドで購入した。敷地面積は約5.4エーカーで、中共はここにヨーロッパ最大規模の大使館を建設する計画である。建物群には、大使館の事務棟、領事館、外交官宿舎、文化交流施設、地下駐車場などが含まれる。

2022年、当時のイギリス保守党政権は、中共によるメガ大使館建設の申請を却下した。旧王立造幣局跡地を管轄する地方自治体は、住民生活への影響、大規模デモによる交通問題、安全上のリスク、歴史的建造物の保存、さらに大型抗議活動の秩序維持が困難だとする警察の見解などを理由に、計画を認めなかった。

警察は当時、この場所がイギリス最大規模の対中関連抗議活動の拠点になる可能性が高いとみていた。抗議参加者には、香港の民主活動家、法輪功学習者、ウイグル系団体、チベット系団体、各種人権団体などが含まれると想定されていた。

2024年に労働党政権が発足した後、スターマー首相は英中関係の改善を望んだ。英政府は、スターマー氏が今年1月28日に訪中する前に、大使館建設申請を承認した。このため、多くのメディアは、大使館承認が二国間関係改善の重要な象徴だとみている。一方、英政府は、これが何らかの交換条件だったとの見方を否定している。

メディアや反対派は、英政府がメガ大使館計画をめぐり、少なくとも次のような譲歩をしたと指摘している。まず、地方自治体の従来の判断を覆したこと。次に、中央政府が介入し、住宅相に再判断を委ねたこと。そしてその過程で、中央政府が警察と協議し、警察側が安全対策を追加すれば大規模デモに対応できると判断した結果、従来の反対意見を撤回したことである。

住民協会は、問題の本質は交通ではなく、外交施設が特別な地位を持つ点にあると主張している。仮にデモ参加者が中共大使館の敷地内に引きずり込まれた場合、英警察の執行権限は限られるからである。

2022年10月16日午後、民主派団体「捍衛港人陣線」が中共駐マンチェスター総領事館の外で抗議活動を行っていた際、香港出身の抗議参加者1人が門の内側へ引きずり込まれ、覆面姿の男らに殴打された。英警察は一時、総領事館の敷地内に入って制止しようとし、抗議者の身柄をめぐって双方がもみ合う場面もあった。

原告側の弁護士は裁判資料の中で、政府はこの場所が「越境弾圧」の主要拠点にならないよう、対策を講じるべきだったと指摘している。

一方、リード住宅相側の弁護士はこの主張について、政府が大使館計画を承認する際にすでに検討した問題を、改めて蒸し返しているにすぎないと反論している。

この裁判は、中共が海外でスパイ活動を行っているとの懸念が高まる中で開かれている。今年5月には、英中二重国籍を持つ2人が、中共のために香港の反体制派を監視したとして有罪判決を受け、先月、禁錮刑を言い渡された。

中共大使館は、関連する疑惑を改めて強く否定している。同大使館は以前、この2人に対する有罪判決について「法律を乱用した政治的操作」だと表現し、中共がスパイ活動の脅威になっているとの警告についても「悪意ある中傷」だと主張していた。

李思斉