米ルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事は、米国が数十年前、重大な過ちを犯したと語る。
トランプ米大統領のグリーンランド特使を務めるランドリー氏は、デンマークの自治領である同地への初の訪問を終え、5月21日に「エポックタイムズ」の取材に対し、「冷戦が終結した直後、米国の『平和の配当(Peace Dividend)』は、実質的にグリーンランドを見捨てる結果となった。我々が基地の要員を事実上引き揚げてしまったからだ」と語った。
エポックタイムズの単独紙面インタビューに応じたランドリー氏は、同行した医師が保健相との会談を果たせなかったものの、現地グリーンランドの人々からは圧倒的に友好的な歓迎を受けたと述べた。
同行した医師であるジョセフ・グリフィン博士も、エポックタイムズの取材に応じた。
ランドリー氏はまた、トランプ氏によるグリーンランド買収の動きのなかで、米国とグリーンランドの絆を強化するための潜在的な施策を提示した。同氏が可能性として視野に入れているのは、海運、空路、そして一部の基地への再駐留などである。
トランプ氏や他の政府高官との一連の会談を控えて行われたこのインタビューで、同氏は「具体的な成果を示す『短期的な勝利』は、6〜8ヶ月で実現可能だ」と述べた。
かつて米国は、他の施設と合わせて17の基地を置いていた。現在、その存在は極北にあるピトゥフィク宇宙基地(旧チューレ空軍基地)のみに限定されている。
ランドリー氏によると、これらの拠点が大量に閉鎖されたことで、グリーンランドの多くの小さな村々で過疎化が進んだという。
ロシアや中国との間で大国間競争が繰り広げられる新たな時代を迎え、状況は一変した。
「冷戦後は『もう誰のことも心配する必要はない』と感じていたのだろうが、今こうして再び同じ局面を迎えている」とランドリー氏は語り、トランプ氏には「過去の過ちを正す」チャンスがあると述べた。
さらに「大統領がグリーンランドを再び世界地図の上に位置づけたことは疑いようがない」と付け加えた。

グリーンランドでのランドリー氏
知事はグリーンランドの首都ヌークを訪問した。
同氏は、現地の人々から歓迎されたと語っているが、この評価は今回の訪問に関する一部のメディア報道とは一線を画している。
コペンハーゲン・ポスト紙が発表した2月の世論調査によると、グリーンランドの住民の76%が米国への編入に反対している。
5月18日にランドリー氏と会談した後、グリーンランドのイェンス=フレデリック・ニールセン首相は記者団に対し、「進展はあると信じている。グリーンランド側としては、我々全員にとって有益な解決策を見つけることに注力している。そして何よりも、グリーンランドとそこに住む人々に対する併合、乗っ取り、あるいは買収の脅威が生じないようにすることが最も重要だ」と述べた。
5月21日にはヌークに新しい米国総領事館の建物が開設されたが(ランドリー氏は出席せず)、これに対して抗議活動が起きた。
しかし、ランドリー氏は、自身が対話した何百人もの中で「反米的な見解を目にしたり、耳にしたりしたのは、記憶している限りわずか3人だけだった」と語った。
また、デンマーク人はグリーンランドの人々を「少し二級市民のように」扱っているとも指摘した。
同氏によると、大半のグリーンランド人は米国とのより緊密な関係を望んでおり、多くの人々が米国に対して基地の再活性化を求めてきたという。
「彼らは間違いなく、自由連合協定のようなものを望んでいると思う」と同氏は述べ、米国が軍事拠点を置くいくつかの太平洋諸国との間で結んでいる自由連合協定の形態に言及した。

グリーンランドに対する米国の関心が、長年の冷え込みを経て再び高まるなか、ランドリー氏は、ニールセン首相やムーテ・B・エゲデ外相が「米国の門を叩いている」と感じている。
「問題は、我々が今回、その門を開けるかどうかだ」と同氏は付け加えた。
特使は、大統領や国務省の高官に提示する予定の一部の施策について概説した。
「教育の機会を強化し、グリーンランド人が米国へ入国しやすくする方法を検討すべきだ。また、往復の航空便の運航を約束し、グリーンランドと米国を結ぶ直行海運ルートを確立し、基本的には基地への人員駐留を確約すべきだと考えている」と語った。
ランドリー氏は、トランプ政権以降もグリーンランドに関する政策の継続性を保つため、「軍事的な要素と、経済、教育、医療の要素を重複(オーバーラップ)させる」アプローチが可能であるとした。
それらの決定により、変化を恒久的なものにする必要があるという。
同氏によると、グリーンランドの人々はレアアース(希土類)や貴金属の採掘に関心を示している。
しかし、クリス・ライト米エネルギー長官らは、これほど寒冷で遠隔の地における鉱物資源の採掘に伴う、物流(ロジスティクス)面の課題に注意を促している。
ライト氏は2月にフランスで開催された会議で、「レアアースを採掘する上で、もっとはるかに魅力的な場所は確かにある」と述べていた。
これに対し、ランドリー氏はより楽観的な見方を示した。
「過酷な気候だからといって、我々の経済を偉大にするために必要なものを手に入れるのを諦めるのだろうか」と同氏は語った。
また、同氏はグリーンランドの先住民イヌイットに対してある種の親近感を表明し、自身のルーツであるケイジャン文化と彼らの生き方を比較した。
「ここには、独自の言語を持ち、大地から恵みを受け、狩猟や漁業で生計を立てている人々がいる。彼らはきわめてユニークな文化を守ろうとしている。それは、ケイジャン文化がかつて経験したことと同じだ」とグリーンランドの人々について語った。

ルイジアナ州のケイジャン(フランス系移民)の先祖の多くは、1750年代から1760年代のフレンチ・インディアン戦争の際、英国人によって歴史的な地域であるアカディアから強制的に追放された。
その多くが、当時はスペイン帝国の領土であったルイジアナにたどり着いた歴史がある。
医師の視点
ランドリー氏が一部の高官と会談できた一方で、ボランティアとして同行したルイジアナ州の血管外科医、ジョセフ・グリフィン博士は、予定されていたグリーンランド保健相との会談が行われなかったことを明らかにした。
同氏はその理由について「わからない」とし、会談は米国国務省とグリーンランド保健省との連絡を通じて調整されていたと述べた。
「正直に言って、これ以上我々に何ができたのかわからない」と同氏は語った。
エポックタイムズは詳細を求めてグリーンランド保健省に問い合わせを行っている。
グリーンランドのアナ・ヴァンゲンハイム保健相は、メディア各社への声明の中で、グリフィン氏の訪問を非難した。
「移動距離が非常に長く、医療従事者が慢性的に不足し、人口動態の変化がシステムを圧迫している我が国の社会は脆弱だ。だからこそ、グリーンランドを米国の一部にしようという政治的使命を帯びた人々が、我々の『ニーズを評価する』ために、いわゆるボランティア医師をヌークに送り込んでくることは極めて問題である」と述べた。
一方、グリフィン氏は、現地の人々は医療に関する懸念を熱心に自分に共有してくれたと語った。
「彼らの国立病院は、基礎的、あるいはそれ以上の医療を提供している」とした上で、透析や心臓カテーテル治療、その他の多くの処置にはアイスランドやデンマークへの渡航が必要であると指摘した。
同氏は、米国が「彼らがすでに持っている医療を補完し、あるいは増強する」ことができると述べた。

ヌークの大自然は同氏を圧倒した。
「一人の人間として最初に実感するのは、飛行機から降りた瞬間に文字通り新鮮な空気と健康的な環境を肌で感じることだ」と語った。
グリフィン氏はまた、現地の人々がどのように寒さに身をさらしているかなど、彼らの伝統的な習慣から学ぼうとした。
身体が寒さを感じて熱を作り出す仕組みは、人間の健康的な「褐色脂肪(脂肪を燃やす細胞)」を活性化させることができる。
「それは非常に、非常に健康的な行為だ」とグリフィン氏は語った。
グリフィン氏は、同国の氷河の水には、水素の同位体である重水素の含有量が少ないことに注目した。科学者たちは、重水素減少水ががんや糖尿病、その他の疾患との闘いにおいて持つ潜在的な有用性を研究している。
同氏によると、あるグリーンランド人の男性は、子供の頃に病気になった際、沸騰させた氷河の水を飲んだと話してくれたという。
「人々は回復するのだが、なぜ治るのかその理由は分かっていなかった」と同氏は述べた。
グリフィン氏は、自身の訪問が相互に学び合う経験を意図したものであり、米国がグリーンランドの医療システムを乗っ取ろうとする試みではないと強調した。
「北極圏の医学を我々が理解できるよう、グリーンランドの医療が我々に歩み寄る必要があるのだ」と同氏は語った。
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