小泉防衛相 非核三原則も「タブーなく議論」 被爆地への思いと抑止をどう両立

2026/09/29
更新: 2026/09/29

小泉進次郎防衛相は9月29日の会見で、広島・長崎の惨禍を繰り返さないとの思いを強調する一方、戦争を防ぐための抑止力の必要性を訴えた。前日の番組では非核三原則や原子力潜水艦を含め「タブーなく」議論すべきだと発言。被爆地から反発が出るなか、政策を議論することと採用することは別だと説明した。

28日のテレビ番組では、非核三原則や原子力潜水艦をめぐり、「タブーなく、選択肢を排除せず議論すべきだ」と述べていた。核兵器をめぐる議論に「タブーなく」という言葉を使うことには、被爆地から反発も出ている。長崎の被爆者団体など32団体は8月、小泉氏の同趣旨の発言に抗議する声明を発表した。

被爆地への思いと抑止の必要性

小泉氏は会見で、被爆地や被爆者が訴え続けてきた「核兵器のない世界」への願いに強く共感すると述べた。昨年末に長崎市の平和公園で献花した経験にも触れ、広島と長崎の惨禍を「決して繰り返してはならない」とする決意は変わらないと強調した。

一方、防衛相としては抑止の必要性を訴えた。日本への侵攻を考える相手に、侵攻の目的を達成するのは容易ではなく、「侵攻はやめた方がよい」と思わせる態勢を整えることが、新たな戦争を防ぐために不可欠だという。核の惨禍を繰り返さない決意を持ちながら、現在の安全保障上の脅威にどう向き合うか。被爆地への思いと安全保障上の備えを切り離さずに考えるべきだというのが、小泉氏の説明である。

「議論」と「政策決定」はどう違うのか

小泉氏は、番組での発言を「防衛政策に関する一般論」と位置づけた。国民の命と平和な暮らしを守るための政策について、タブーを設けず、国民に丁寧に説明しながら議論すべきだという趣旨だったと述べている。

ただし、ある政策を議論することと、採用することは別である。小泉氏は安全保障関連3文書の改定を前に、現時点で「何かを決め打ちした議論をするつもりはない」と明言した。防衛力の具体的な内容や防衛費の水準についても、日本が主体的に判断し、必要な防衛力を具体的に検討した上で決めるとしている。前日の番組でも、防衛費は規模や国内総生産(GDP)比を先に決めるのではなく、「質、中身」が重要だと述べていた。

一方で、「あらゆる選択肢を排除しない」と述べるだけでは、個々の政策についてどう判断するのかは見えてこない。とりわけ非核三原則に関わる議論では、抑止にどのような効果があるのかに加え、被爆国として守ってきた方針とどう向き合うのかを明確に説明する必要がある。議論の幅を広げるほど、個々の選択肢を何のために検討し、何を基準に判断するのかが問われる。

小泉氏は、中国、北朝鮮、ロシアを含む周辺国の動きや、各国の安全保障政策の変化に言及し、日本を取り巻く環境について「楽観視できる要素は皆無だと言っていい」と述べた。そうした危機感を国民と共有するため、防衛白書やSNSなどを通じて説明を続ける考えも示した。