呉芬湘コラム

親友が明かす ドナルド・トランプ「解説書」 その2

2017年07月03日 09時00分

無知を認め、必要な時に学ぶ

 トランプ大統領を多面的にとらえてみると、建築業者としては、コストをカットし工期を短縮できるならば、建築現場の作業者だろうがエンジニアだろうが、あらゆる人の意見に耳を傾けるという、柔軟で気さくな一面も持っている。

 経営者として見ると、トランプ氏と、ウォールストリートの金融マンやワシントンの政治家との間に大きな違いがあることが分かる。トランプ氏は、ビルを一棟建設して販売するという「現物取引」を習慣にしているが、後者は分厚い書類にたくさんの公式や理論を並べてプロジェクト完成後これだけの利益が得られるという「紙上の空論」に満足する。

 政治家としては、外交や内政のかじ取りをするうえで、トランプ大統領は知識を単なる問題解決のための道具としか考えていない。知識をひけらかし、虚栄心を満たそうとは思っていないことが見て取れる。

 例えば、大統領選の最中に、あるテレビ局のキャスターがトランプ氏に中東の過激集団のリーダーの名前を質問した時のことだ。普通の候補者なら適当にお茶を濁すか話題を変えるところだが、トランプ氏は率直に「知りません」と答えた上で、このように続けた。「彼らに会ったこともないからね。もし(当選以降も)彼らがまだ健在だったら、彼らのことについては(知識のある)あなたよりも詳しくなるだろうね」「時期が来たら、あなたより私の方が詳しくなりますよ。それには大した時間はかからないはずです」

 仮にも大統領候補者がここまで率直に無知を公言するなど、エリートには到底理解できない。高等教育を受けた弁護士や著名人、ジャーナリストたちが、誇りに思っているのは、役にも立たない知識をたくさん持っていることだ。

 トランプ氏は彼らと全く逆だ。大統領はおそらく、華麗に高論を垂れるために必要な知識は持ち合わせていないだろう。だが、その知識がひとたび必要になれば、それを吸収して身に着けることのできる人物だ。そのため米国の有権者の多くは、トランプ氏が一部の公務細則や外交政策に疎いことを気にしていない。

トランプ大統領を目の敵にするエリート層

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