THE EPOCH TIMES

アングル:コモディティー市場、コンピューターが「主役」に

2018年02月17日 09時00分

[ロンドン 12日 ロイター] - コモディティー市場はコンピューターを駆使したアルゴリズム取引や超高速取引(FHT)が急速に広がり、人手を介する従来型ヘッジファンドは大量のデータ処理で不利な立場に立たされ、次々と閉鎖に追い込まれている。

ココア取引で富を築き、スパイ映画「007」の悪玉「ゴールドフィンガー」になぞらえて「チョコフィンガー」の異名を取ったアンソニー・ウォード氏は昨年末、ココアとコーヒーに投資するヘッジファンド「CC+」を閉鎖した。コンピューターによる取引が拡大し続けた結果、相場に歪みが生じ、投資家のみならずコモディティーに依存するさまざまな企業にとっても先を読むのが難しくなったというのが理由だ。

ウォード氏は2016年1月のココア相場について、天候要因でコートジボワールとガーナの収穫が落ち込んで上昇すると予測し、いずれも収穫量は予想通り減少した。しかし相場は下落し、同氏のファンドは損切りを余儀なくされた。

ウォード氏はコンピューターを駆使したファンドが中国の経済指標に反応して売りを出し、ファンダメンタルズと無関係な相場変動を引き起こしたとみている。

同氏はコンピューターを使った取引について「あまりにも巨大で速くて、影響力が大きい。ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を全く無視している」と話す。

1月末にはスティーブン・ジャミソン氏がコモディティー・ヘッジファンド「ジャミソン・キャピタル・パートナーズ」を閉鎖。同氏は投資家に対して、機械学習や人工知能(AI)の普及で短期的な取引機会が失われ、長期的にみるとコモディティー取引で利益を上げるのは難しいと説明した。

昨年は著名石油トレーダーのアンドルー・ホール氏も旗艦ファンドを閉鎖。コンピューターを使った自動取引の急速な普及を受けて、投資家は続々とコモディティーファンドから逃げ出している。

米商品先物取引委員会(CFTC)の昨年の調査によると、先物取引所最大手CMEグループ<CME.O>ではコンピューターを使った取引が占める比率は農産物で49%、エネルギーで58%に達した。

また調査会社ヘッジファンド・リサーチのまとめによると、昨年のヘッジファンド全体の平均リターンは8.64%だったが、コモディティー・ヘッジファンドは0.43%にとどまった。

ウォード氏によると、コンピューターによる自動取引によって生じる価格の歪み、つまり基礎的諸条件からみて正当と考えられる水準からの乖離は、以前は10─15%だったが、今では25─30%に拡大した。

コンピューターによる取引を導入したファンドは、アルゴリズム取引は市場に不可欠な流動性を供給しており、市場の流れをつかまえる上で従来型ファンドよりも効率が良いと主張している。こうした取引の普及はAIやロボット化など社会全体の大きな流れの一環だという。

GAMシステマティックの共同ヘッドのアンソニー・ローラー氏は「(従来型の資産運用会社に対して)すまないという気持ちはない」と話す。情報はかつては高価で入手が難しかったが、今ではいたるところに存在しており、それを素早く消化し、分析したものが優位に立つとの立場だ。

ローラー氏もコンピューターによる取引が間違いを犯すことがあり得ると認めているが、それは従来型のファンドにとってむしろチャンスになるはずだと指摘した。

しかし農産物の生産者などは、証券取引所が一部の金融機関や投資家に取引所内にコンピューターを設置し、注文執行時間の短縮を認めているのは不公平だと訴えている。

一方、ファンドマネジャーやアナリストからは、コモディティ市場は銀行や年金基金が資金を引き揚げた結果、コンピューターを使った取引によって相場が大きく変動しやすくなっているとの声も上がっている。

(Eric Onstad記者)

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