【医学古今】 糖尿病と鍼灸療法

2015年06月10日 07時00分

【大紀元日本6月10日】最近、膝関節症の治療で鍼灸院に通っている60代の女性患者さんから、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が7.5から6.7に下がったという報告を受けました。予想もしていなかった効果に、患者さんは大変喜んでおられました。

 この患者さんは3カ月前に膝関節痛のため、鍼灸治療を求めて来院されました。初めの1カ月は週2回治療を受けていましたが、症状が大分緩和したため、その後は週1回通院されていました。そして治療を始めて3カ月後、HbA1cが下がったことを話してくれました。

 彼女は7年前から糖尿病を患っており、ずっと病院で治療を受けていました。しかし服薬、食事療法、運動療法等を根気よく続けても、HbA1cの数値は7以下にはなかなか下がりませんでした。ところが鍼灸院で膝関節の治療を始めると数値が次第に下がっていき、3カ月目には6.7になりました。

 彼女の話では、この3カ月間で変わったのは鍼灸治療を受け始めたことだけで、他には何も思い当たらないとのことでしたので、鍼灸治療が糖尿病にも良い影響を与えたのではないかと考えています。

 鍼灸院では膝関節痛を中心に治療し、糖尿病に関しては意識していませんでした。しかし治療で使ったツボには、脾経の陰陵泉、地機、三陰交などが含まれています。

 現代医学の認識では、糖尿病は膵臓から分泌されるインシュリンの代謝が強く関係しています。膵臓の機能は漢方医学では脾臓に含まれます。そのため、脾経のツボに鍼灸を施してインシュリンの代謝に影響があったとしても、何ら不思議なことはありません。実際、糖尿病を鍼灸で治療する際には、脾経のツボを取る場合が非常に多いのです。

 治療目的とは違う病気、症状まで改善したという症例は、鍼灸治療の領域ではよく見られます。ツボの刺激は一部分のみならず、経絡を通じて内臓から全身に影響を与えます。局所的な効果に留まらないことも鍼灸療法の大きな魅力の一つでしょう。
 

(漢方医師・甄 立学)

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