金正日「訪中作戦」:綿密な警戒体制、龍川駅爆発事故の教訓か

2006/01/12
更新: 2006/01/12

【大紀元日本1月12日】北朝鮮金正日総書記の中国訪問がスパイ映画のように進行されている。金正日は 10日午前まで、メディアの報道とは違い、特別専用列車ではなく政府専用航空機で中国上海を訪問したと11日、聨合通信が伝えた。

金正日の中国訪問を把握するために各国大使館とマスメディアは大きく混乱した。AP通信は最初、金正日が専用列車で平壌を出発、中国上海に到着したと報道した。11日午前には専用列車でロシアに向かったという誤報まで出た。

北朝鮮、中国の両国は金正日の訪中を極秘機密として扱いながら、金正日が普段外国旅行に利用する専用列車を先に出発させるなど、緻密な演出力まで発揮した。ここに中共外交関係者らが未確認情報まで流し続け、混乱を加重させた。

金正日が飛行機で中国を訪問したのが事実として確認されたら、これは史上初めての事である。この変化は 2004年の龍川駅爆発事件の影響が大きかったようである。2004年4月22日、中国訪問を終えた金正日の特別列車が龍川駅を通過した9時間後に同駅に爆発事故があった。大型爆破事故にニアミスしたのが汽車旅行を忌避した理由、という分析だ。

金正日が飛行機を利用したのは 1965年、金日成と一緒にインドネシアを訪問したのが最初。1983年から 2004年まで中国を 4回訪問しながら毎回専用列車を利用した。2001年と 2002年ロシア訪問時も、汽車旅行を好んだ。

当時、列車旅行に対して金正日は自ら、「飛行機に乗って行ったら、私は何も見られない。私は自分の目でロシアの長所短所を直接見たい」と答えた。

しかし、平壌から北京まで毎度窓向こうで中国発展の姿を把握するため汽車を利用するという主張は釈然としない。汽車旅行は大型事故発生の危険が少なく、レール確保を通じて事前に危険要素をとり除くことができる。専用列車は防爆装置が皆揃ってかなりの爆発にも耐えるという証言もある。

その間、金正日が飛行機を忌避して来た理由は、一部の観測のように高所恐怖症のためではなく、飛行機テロを憂慮するからと分析されてきた。金正日は 大韓航空機機爆破指令を下すなど、直接飛行機テロを指揮した経験がある。テロの恐ろしさがよく分かっているのだ。飛行機を忌避したことはひたすら身辺の安全を図るためだ。今度の専用機訪問も身辺警護に最優先を置き、皆が列車利用を予想していたところに専用機で裏をかいた。

金正日の警護は中東圏の王をも凌ぐ。金正日が警護にどの位とらわれすぎるかは金正日の元警護員、脱北者リ・ヨンクッさんの証言でも分かる。「金正日の出席する行事は事前に報道されない。現地視察時、基本的には列車で移動するが、 距離が短くて道路の良い所は自動車を利用する。すべての行事は秘密裡に進行される。金正日の出発に先立って選抜列車が出発すれば北朝鮮鉄道は全区間の電源を消して一般列車を停止させる。住民たちは理由も分からないまま 、6-8時間、足を止められる」。

2000年代に入って金正日の極秘外国訪問が年例行事のように繰り返されながら、周辺国はその所在の掌握に難渋してきた。飛行機を通じた中国訪問は、金正日が龍川駅爆発事故を尋常に思っていないという証拠だ。今回の訪中で分かるように、今後金正日の海外訪問はスパイ作戦を彷彿させる特急警護作戦が引き続いて行われると予想される。

シン・チュヨン記者 shin@dailynk.com
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